かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(27) 僕を愛した二つの国/ヨーロッパ、ヨーロッパ 〜 これってギャグ? 必死に生きる 8点】

【かわまりの映画ルーム(27)  僕を愛した二つの国/ヨーロッパ、ヨーロッパ  〜  これってギャグ? 必死に生きる 8点】平均点:7.50 / 10点(Review 6人)  1990年【独・仏・ポーランド】 上映時間:111分.   クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=11739

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【あらすじ】

乳児の時に受けた割礼によってサラモンの体にはユダヤ人の徴が刻み込まれていた。十三歳の時にナチスの迫害で一家が離散し、ソ連の孤児院で博愛主義とロシア語を学んだ後、独ソ戦争の際にドイツ軍に保護されたサラモンは名前をヨゼフと偽り、生きるためにドイツ軍に献身的につくす。下半身さえ隠しおおせば、サラモンの素性を疑う者はない。前線を突破してソ連に戻る計画は不発に終わり、十六歳のサラモンには危険と隣り合わせの名誉が与えられる。それはエリート少年集団、ヒトラー・ユーゲントへの所属を許されたことだった。

 

【かわまりのレビュー】

何これ?戦争ギャクの連続?ではなくて実話なんだそうです。宗教かぶれの少年が「天にましますわれ等が父よ、われ等にキャンディーを与えたまえ。」と言っても何も起きないのに社会主義かぶれの女性が「偉大なるスターリンよ、われ等にキャンディーを与えたまえ。」と言ったら本当にキャンディーが天井から降ってきたり(もちろん陳腐なやらせです)、ついでに塵芥も降ってきて「ドイツが攻めてきた!」ということになったり、非戦闘員や牛や馬を戦闘機が攻撃したり・・・。それから例の割礼・・・これはイスラム教徒とユダヤ人の男児が結婚後の奥さんの健康のために生まれた直後に受けることが慣例になっていて医学的根拠もちゃんとあるのですが・・・割礼がこれほど赤裸々といおうか下世話に描かれているのも初めて見ました。「はい、ズボンとパンツを下ろして・・・。」なんていうことを人を人とも思わないナチスドイツの軍人は被占領国の男性に対して平気で言うのですね。戦争中の日本軍人は韓国人や中国人に(当たり前だけど)こんなひどいこと命令してはいないでしょう。果ては、ユダヤの血を引いているという説もあるヒトラーが主人公の夢の中でスボンははいているものの、急所を手で覆ったぶざまな恰好で登場したりして・・・。元来、戦争というものは悲惨なだけではなく下世話でもあるようです。戦争のひとコマひとコマは涙なしには語れない悲劇でも全体を眺めた時は「何の利益があってこんなドンパチやって、ぶっ壊したりぶっ殺したりしてるの?」という疑問しか出てこない、戦争それ自体がすでに一大ナンセンスで、この作品はまさにその一大ナンセンスのネガ・フィルムみたいな作品です。コメディー、ミュージカル、アニメ、純娯楽作品に私がつけることにしている最高点で、チャップリンの「独裁者」につけたのと同じ8点を献上。作品全体は全然下世話ではなくリアルすぎるといった感じで、主人公の男の子が本当に魅力的なのでそれだけでも一見の価値はあります。

 

【全員集合】

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=11739

 

【独り言】