【映画ルーム(158) パラサイト 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 5点】

【かわまりの映画ルーム(158) パラサイト 〜 韓流ドラマは苦手だけれど…韓国は断末魔では… 5点】 平均点:7.30 / 10点(Review 47人)  2019年【韓】 上映時間:133分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=25556

 

【あらすじの独り言】

この作品のあらすじ執筆だけは勘弁してください。「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)」の会員のどなたか、お助けを!

 

【かわまりのレビュー】

えらく評判がよくていろんな国際映画祭の賞をいくつか受賞していることと昨今の日韓の軋轢を理解し、隣国をより良く理解する一助にならないかと思って映画館に出向きました。結果は完成度という点ではかなり高得点をつけてもいいけれど、隣国を理解できるかという点においてはほとんど得るものがなありませんでした。それになんと言っても後味の悪さ、胸糞の悪さは半端ではありませんでした。このままで行けば本作品はオスカーの外国語部門にノミネートされるのではないかと思いますが、今まで日本の作品でノミネートされたり受賞に漕ぎ着けた作品は全て、多かれ少なかれ、日本をアピールするものでした。そうでない場合は、アニメ作品に顕著ですが、「魔女の宅急便」のように外国を舞台にしたりしています。でも本作品で韓国を写しているところだあるとしたらそれは階級格差なのか、作品の中盤で登場する多重債務男なのか。。。 鑑賞中半ばで隣に座っていた中年のアメリカ人男性が席を立ちました。エンドロールの時に後ろに座っていた若いカップルが「良かった!」と言ったので「ハリウッド映画のコピーじゃない。だったら字幕のないハリウッド映画を見た方がいい。」と言ったら納得していました。家に帰ってから「おくりびと」の巻頭の部分を見ましたが、やはりのっけから仏教の様式美とチ〜〜ンの音。。。本作品をあえて劣化コピーとは呼びませんが、監督も製作者もハリウッド映画を見まくって「こうでないといけない」という型を学んで模倣しているとしか思えませんでした。本作品の完成度に高得点を付けるのは構いませんが、世界の知られざる文化を紹介しているかいないかという点においてはオスカー受賞は別の作品であって欲しいです。過去に7点をつけた韓国作品の「シュリ」も同じで最近減点しようと思っていたのであらかじめ低い点をつけておきます。暴力と流血がダメな方にはお勧めしません。

 

10 点をつけた方(1人)のレビュー

《ネタバレ》 金持ち家族に「寄生」することで、束の間の“優越感”を得た半地下の家族たちは、今までスルーしてきた家の前で立ち小便をする酔っ払いを、下賤の者として認識し、“水”をかけて追っ払う。
その様をスマートフォンのスローモーションカメラで撮りながら、軽薄な愉悦に浸ってしまった時点で、彼らの「運命」は定まってしまったのかもしれない。

世界中に蔓延する貧富の差、そして生じる「格差社会」。世界の根幹を揺るがす社会問題の一つとして、無論それを看過することはできないし、自分自身他人事じゃあない。
ただし、この映画は、そういった社会問題そのものをある意味での「悪役」に据えた通り一遍な作品では決してない。
確かに、“上流”と“下流”、そして更に“最下層”の家族の様を描いた映画ではあったけれど、そこに映し出されたものは、富む者と貧しい者、それぞれにおける人間一人ひとりの、愚かで、滑稽で、忌々しい「性質」の問題だったように感じた。

どれだけ苦労しても報われず、働いても働いても豊かになるどころか、貧富の差は広がるばかりのこの社会は、確かにどうかしている。
でも、自分自身の不遇を「社会のせいだ」「不運だ」と開き直り、思考停止してしまった時点で、それ以上の展望が開けるわけがないこともまた確かなことだろう。

そう、どんなにこの社会の仕組みがイカれていたとしても、どんなに金持ちが傲慢で醜かったとしても、この主人公家族の未来を潰えさせてしまったのは、他ならぬ彼ら自身だった。と、僕は思う。

千載一遇の機会を得た半地下の家族たちは、能力と思考をフル回転して、或る「計画」を立て、実行する。そしてそれは見事に成功しかけたように見える。
しかし、彼らの「計画」はあくまでも退廃的な“偽り”の上に存在するものであり、「無計画」の中の虚しい享楽に過ぎなかった。

“無計画な計画”は、必然的に、笑うしか無いスピード感でガラガラと音を立てて崩壊し、大量の濁流によって問答無用に押し流される。
そして同時に、己をも含めたこの世界のあまりにも残酷で虚無的な現実を突き付けられて、父子は只々愕然とする。

本当に裕福な者たちは、自らが“上流”に居ること自体の意識がない。
下流”に住む貧しい者たちの存在などその認識から既に薄く、蔑んでいることすら無意識だ。
“臭い”に対して過敏に反応はするものの、その正体が何なのかは知りもしないし、知ろうともしない。
勿論、大量の“水”で、押し流していることに対しての優越感も、罪悪感も、感じるわけがない。その事実すら知らないのだから。

なんという「戦慄」だろうか。
そのシークエンスの時点で、観客として言葉を失っていたのだが、もはや「世界最高峰」の映画人の一人である韓国人監督は“水流”を緩めない。

「惨劇」の果てに、計画どころか「家族」そのものが崩壊し、消失してしまった父と息子は、それぞれに、「無計画」であり得ない逃避と、あり得ない希望に満ち溢れた「計画」を立てる。
すべてを失った者たちが、それでも生き抜く力強さを表現している“ように見える”描写を、この映画は、最後の最後、最も容赦なく押し流す。
父親が言ったとおり、「計画」は決して思い通りにはいかない。父と息子は、地下と半地下でその短い命を埋没させていくのだろう。

完璧に面白く、完璧に怖く、完璧におぞましい。だからこそこの映画は、完膚なきまでに救いがない。
とどのつまり、このとんでもない映画が描き出したものは、「格差社会」などという社会問題の表層的な言い回しではなく、その裏にびっしりと巣食う際限ない人間の「欲望」と「優越感」が生み出す“闇”そのものだった。


世界中に蔓延するこの“闇”に対して“光”は存在し得るのだろうか。

金持ち家族の幼い息子がいち早く感じ取った“臭い”。
彼はその“臭い”に対して、どういう感情を抱いていたのだろうか。
“トランシーバー”を買ってもらうことで自らの家族と距離を取ろうとした彼の深層心理に存在したものは何だったのか。

このクソみたいな世界の住人の一人として、せめて、そこには一抹の希望を見出したい。
【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 10点

 

最低点4点をつけた方(1人)のレビュー

《ネタバレ》 パラサイト-寄生。なんかこの言葉から連想する厭らしい「したたかさ」や「ジメっとした感覚」そんなちょっとした「怖いもの見たさ」を満足させてくれる映画を期待していった訳ですよ。「庇を貸して母屋を取られる」的なジワジワした怖さをね…でもごめんなさい、全然違っていましたね。
前半の金持ち一家への侵入は、多分コメディーパートなのでしょうか、正直あまり面白くなかったです。金持ち一家に入り込んで寄生する過程がもっと綿密で絶妙なものを期待していたのに、胸をすくような詐欺手口とは全く別物。あの社長一家はみんなしてチョロすぎでしょう。家庭教師はともかく、自分の命を預ける運転手や食事を任せる家政婦の選定にこの杜撰さはちょっと…。そんな有り得無さがのほうが気になってしまい、ほとんど笑えませんでした。
でも後半の計画が破綻し始めるあたりから怒涛のスプラッターな展開、こうなってようやく持ち直してきた感はありました。「匂い」の使い方なんかはとても印象的で良かった。でも前半のがっかり感を挽回できるような、うならせる展開には残念ながら至らなかったようです。

全体をとおして思い返してみれば、格差社会批判としても詐欺モノとしてもコメディーとしても微妙な感じの仕上がりだと思うのですが、なぜこんなに話題作とされているのか…2019年は映画不作の年だったってことですか?
ひょっとしたら、「初のアジア発作品賞」とか「定説を覆した四冠達成」っていう話題性を作り上げないといけないほど、アカデミー賞自体が行き詰まっているってことなのかもしれませんね……
【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 4点

 

9点の方レビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=25556

5点の方のレビュー (わたしも5点をつけました。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=6&TITLE_NO=25556

8点(最頻出)の方のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=9&TITLE_NO=25556

 

【独り言】

最高点(10 点)最低点(4点)つけた方の両方に突っ込みどころがあるんですよね。もっともディスりではありません。本ブログ【映画ルーム】の母体である「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)」では他のレビューワーを貶すことは禁止されていて禁を破るとレビューを消去されてしまいます。わたしは他の方レビューを褒めて消去されたレビューが一つあります。ということで、「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)」のほうでは他レビューワーに触れるレビューワーは皆無なのですがご心配をなく。10 点をつけた【鉄腕麗人】さんレビューからですが、「単なる格差社会を描いたのではなく人間の飽くことのな欲望と優越感が作り出す闇を描いている」ので戦慄覚えるとのことですが、これはあくまで韓国という特殊な社会であるから飽くことのない欲望が格差社会形成に結実してしまったのであってわたしは楽観視しています。18世記後半にスコットランド産業革命の初期段階を目撃したアダム・スミスは経済主体のそれぞれが自分の欲望を追求してもなお経済や社会の秩序が保たれることを説くために有名な「国富論」を執筆しました。但しこれには但し書きがはずで、アダム・スミスはそのことを「国富論」を超える大著になるはずだった「道徳感情論」で表そうとしましたがこれは絶筆に終わってしまいました。スコットランドを含むイギリスはこの後本格的な産業革命と階級分類を経験し、アダム・スミスから約百年後にイギリス滞在したドイツ人のカール・マルクスが階級社会をつぶさに観察して「資本論」を執筆して資本主義の不公平は共産主義革命によって正されると説いたのですが、結局共産主義革命が起きたのは先進資本主義国ではなく、資本蓄積が未熟な発展途上国においてでした。この事実をマルクスが生きていたらどう説明したのでしょうか? わたしはかえすがえすももしアダム・スミスが「道徳感情論」を完成していたら、あるいはマルクスが図書館に通う代わりにイギリスの国会に通い詰めて議会を傍聴していたら独裁者スターリン台頭もクメールルージュの大虐殺も中国の文化大革命での混乱もなかったのではないかと思うのです。さて、韓国ですが、1911年に日本が併合した時も、また日本の敗戦によって1945年に独立した時でさえ、朝鮮半島は資本蓄積が充分だとは言えませんでした。だから韓国の事業家が発展を継続させようとしたら間違っても本作品の中のパク家のように高台の豪邸に住むべきではなく、社内留保を厚くし、自ら質素な生活甘んじ、レトルチャパックのジャージャー麺を食べたくなったら奥さんが自分で料理するべきなのです。そうすることによって給与の低い若年従業員に会社の発展に資する献身と倹約の精神を教え込むことができるのです。日本の企業はそうして発展してきました。この点はマルクスが「資本論」の中で「拡大再生産」という労働力の搾取を原資とするいかにも汚らしいものとして記述しているようですが、見方を変えれば(それほど大部でもないのに恥ずかしながら未読ですが)マックス・ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で説いている禁欲と欲望のバランスが社会と経済を発展させるという仮説が説明する挑戦的な社会に韓国は到達する前に左翼政権の出現やコロナウイルスによる社会の改変に直面させられてしまったような気がするのです。韓国における資本蓄積の未達は工場設備などといった有形の資本に置いてではなく知的財産権などの無形の資本に於いて著しく、韓国のGDPの2割の生産を担った年もあるサムスン電子は世界各地でアップルが提訴した特許訴訟に敗れて合計金額です東京スカイツリーは建つという賠償金を支払わされつことになりました。更に顕著なのは韓国社会全体、特に若い人たちが敷かれたレールの上で競走馬のように競い合うことにはやぶさかではないものの、未知の未来に挑戦する柔軟性を備えて育っているのかどうかが不明なまま、昨今の経済の落ち込みによって若年層の相当割合が社会で学ぶ機会を得られない失業者となっている事実があります。敗戦後しばらくの日本とは異なり、「我が国では大規模な実験設備を可能にするだけの研究予算がないので理論研究盛んになった。」と胸を張るような理論系科学者がいるとも聞かず、少なくともそのような科学者がノーベル賞を取ったことがありません。ともあれ、現在の韓国は正に未知の未来を自分たちで切り開くしかない状況にあります。

 

最低点の4点をつけた方へはただ一言、映画を含む芸術の賞というものは「趨勢的に水準が下がってきた」とか「作られた当初よりもレベルが上がった」とiいうように批評できるものではなく、本来年によってレベルが激しく上下するものだということを訴えておきたいです。例えば革命の動乱の中で翻弄されて身を寄せ合う男女の不倫の愛を描いてアカデミー賞美術賞を受賞した「ドクトル・ジバゴ」は本来ならばノミネートされた多くの部門の賞を総なめしたかもしれない優れた作品でしたが、同じ年に他部門にノミネートされたのが不朽の名作「サウンド・オブ・ミュージック」だったのです。ナチス・ドイツの暴虐から逃れ、子供たちを守るために亡命を企てる軍人と家庭教師上がりの後妻の継母の献身の物語に不倫の話はいくらスケールが大きく画面が美しくとも勝てなかったということです。

【映画ルーム(157) タクシー運転手 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 9点】

【かわまりの映画ルーム(157) タクシー運転手 〜 韓流ドラマは苦手だけれど…歴史がそこにあるということ 9点】  平均点:7.58 / 10点(Review 19人)  2017年【韓】 上映時間:137分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=24548

 

【あらすじの独り言】

韓国語は勉強しようと思ったことがなくいちいち英語字幕を読むのが面倒だったので勘弁願います。もう一度じっくり見てから書くかもしれません。あるいは「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)の会員の方どなたかお願いします。

 

【かわまりのレビュー】

主演男優の喜劇役者っぽい風貌のジャケットに惹かれてブルーレイを購入してしまった韓流ビデオ3本目です。これを見て韓国よりもどちらかと言えば中国寄り(政治的にではなく文化的に、もっと言うと映画的に)のわたしは「ああ天安門事件の映画はいつ製作されるのだろう?」と思ってしまいました。この作品が扱っている光州事件の引き金となったのは金大中氏の拘束だったと伝えられています。その金氏が大統領に選出され、歴代の韓国大統領の中では唯一かもしれない老衰による穏やかな死を遂げられてからもうしばらくになります。天安門事件もそうでしたが渦中にある人間には結構何が起きているのか訳がわからないことが多いのです。この作品の邦題にはぱっと見では訳がわからない副題がついていますがその訳は巻頭ですぐに理解することができます。重要脇役と言っていいドイツ人ジャーナリストの決死の光州への潜入が物語の鍵になっています。そして銃声から倒れる人々、銃弾が発せられた方向までの詳細な映像記録が光州で起きたこの民衆蜂起の本質が何であったのかを如実に物語り、韓国の現代史の貴重な1ページとなっているのです。これは実態が何だったのかわからない従軍慰安婦や徴用工(応募工)よりもはるかに重要な、韓国国民が誇るべき歴史だと思うのですがさて、韓国の現状はどうなのでしょうか。。。 終盤のカーチェイスはやはりハリウッドの真似かと思わせます。まあハリウッドの何を真似しようがテーマがオリジナルであれば瑣末事ではありますが。。。

 

 

9点(最高点)をつけた方のレビュー (わたしも9点をつけました。)

1.《ネタバレ》 2018.4.27金正恩軍事境界線を超え南に、金正恩文在寅が手をつないで北に行った日。
その翌日に1980年の光州事件を題材にした力作を見ました。
韓国映画の底力がすごい!自分の国の負の歴史、軍隊が自国民に銃口を向けたこと、しかも真実が隠されたこと、それをエンタメ映画にしてしまう。そこが韓国映画とソンガンホのすごさであり、受け入れる大衆の強さなのでしょう。セクハラで右往左往している国との違いでしょうか。

ソンガンホが演じる役は、いつもリキミがなくてちゃっかりした普通の庶民。
今回も滞納家賃を稼ぐ為、外国人レポーターを、そうとは知らずにタクシーに乗せ危険区域まで走らせてしまう。真実を何も知らないタクシー運転手は、歴史を何も知らない視聴者と共に、歴史の不条理を目の当たりにします。ちゃっかり者だったはずの運転手が、観て、震えて、感じて、泣いた、その気持ちを私たちも共に味わう。すごい映画です。それでてエンターテイメントです。
この映画の面白さと醍醐味を楽しむファンがたくさんいるんですね。立ち見までいました。今時立ち見席のある映画館があるんですね~。驚きました。【LOIS】さん [映画館(字幕)] 9点

2.「パラサイト」つながりでソンガンホ主演作を見ることにした。
自分がボーッとしていたのかもしれないが、こんな良い作品があったことを全く知らなかった。
登場人物に人間の良心を感じる。これはオススメです。【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 9点

 

【独り言】

本作品から判るように、韓国の民主主義は血で贖われたものなのです。フランス大革命やアメリカ独立、アメリカの南北戦争でも流血によって参加した人々は貴重なものを得ることができました。でも昨今の韓国を見る限り、韓国の人々はそのことの真髄に気付いているのだろうかと疑問に思わざるを得ないのです。韓国の民主主義は血によって得られたと認識してはいてもその民主主義とは何なのか果たして分かっているのかどうかが疑問なのです。民主主義とは決して多数決ではありません。多数決とは民主主義という過程を締めくくる儀式のようなものであってそこ至るまでに代表となるものが意見を戦わせ少数意見の長所を取り入れ、選ぶ者と選ばれる者とが知見を広めていってこそ儀式としての多数決により多くの人々の利害と見識が反映されるはずであり、だからこそ人々は自分たちの選択に責任を持つという責任が生まれると思うのですが、韓国では蝋燭デモによる朴槿恵大統領の弾劾の過程を見る限り国民が自分たちが選んだ朴槿恵大統領に責任を持ったとは到底思えず、大統領に対して正義の鉄槌を下したと言えば聞こえはいいけれど結局は大統領の私的な友人に対する妬みがに突き動かされて自分たちに直接影響する経済政策について全く無知だった文在寅大統領に選んでしまったとしか思えないのです。そして文在寅が取った左寄り路線は韓国経済を破壊したのみならず、北朝鮮に接近することによって今や言論の自由や人権など民主主義の根幹までが揺るがされているような気がしてなりません。韓国国民はもう一度光州事件によって流血という代償を支払った民主主義の本質について考えていただきたいものです。

【映画ルーム(156) シュリ 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 7点】

【かわまりの映画ルーム(156) シュリ 〜 韓流ドラマは苦手だけれど…南北分断版ロミジュリ 7点】 平均点:5.82 / 10点(Review 264人)  1999年【韓】 上映時間:125分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=567

 

【あらすじ】

韓国政府諜報部員のジュンウォンは恋人ミョンヒョンとの結婚を控えていたが北朝鮮の女性諜報部員が犯人とみられる韓国要人射殺事件の解明に余念がなかった。おりしも新種の大量破壊兵器北朝鮮のしわざと考えられる巧妙な手口で奪われて兵器の移動や韓国側の諜報部員の動きが全て北朝鮮側に先読みされているという恐ろしい事実が発覚、南北共同開催によるワールドカップ・サッカー大会を控えた韓国諜報部は警戒を強める。一方、私生活では理由もないのに酒にのめり込むミョンヒョンをジュンウォンはどうすることもできなかった。

 

【かわまりのレビュー】

冒頭だけでもいいですからアメリカの政府高官やCIAの人に是非この映画を見てほしいです。国家を最優先して指令どおりに殺戮と破壊を行うことを使命として国家とは何かなどと考えもしないような人間を養成する某国と国境で接したり大陸間弾道弾の射程距離に入っている韓国や日本のことを、イラクに行く前に考えてほしかったです。ハリウッドばりの派手なアクションや撃ち合いが見せ場ですがハリウッドがこの手の現代物の作品を作っても国家やイデオロギーの対立までは描けず、せいぜいギャングの撃ち合い程度の作品に終わるだけでしょう。貧しい北朝鮮と豊かな韓国の日本と変わらない日常生活との対比にも考えさせられました。でも北朝鮮の諜報部員が「北の人間が飢えているのに南の人間は・・・。」なんて言ったりするでしょうか・・・。北朝鮮は日本や韓国の国民は資本主義の重圧と搾取に喘いでいると頭から思い込んでいるはずなんですが・・・。(でもこれはさほど重要なことではありません。)北朝鮮よ、くやしかったら資本主義の重圧に喘ぐ人民を救済するスーパーマン映画でも作って日本やアメリカでヒットさせてみろ!韓国と朝鮮が東西ドイツのようにハッピー・エンドに終わることを願って、この悲しいストーリーは娯楽系作品に私がつけることにしている最高の8点-1点とします。

 

10 点満点をつけた方の中から秀逸なコメント

1. メッセージ性と娯楽性をともに備えた秀作だと思います。、、、、、(誤解があるかもしれませんが)、、、、チェ・ミンシクの狙いは、南北の両首脳、つまり金正日金大中を同時に抹殺して、その混乱に乗じて南北統一を図ろうというもので、赤色革命を行おうというものでは決してないですよね。もちろん、直接名指しで登場すると問題もあるので、金正日金大中という名前は使ってないけど。、、、、、、彼らの目標は、北のような社会主義ではなく、あくまで祖国統一。将軍まんせいなんて一言も言っていない。、、、、、北朝鮮の悲惨な状態を野放しにしている金正日、そしてそれを容認している金大中太陽政策に対する、痛烈な批判。、、、、彼らのテロを、ヤンゴン事件や大韓航空機爆破事件と重ね合わせてしまい、チェ・ミンシクのターゲットが金正日であるということを見落とすと、全然違った、どうしようもない映画に見えてしまうでしょう。、、、、キム・ユンジンも南と北のどちらをとるかで揺れているのではなく、祖国統一と南での個人的幸福の間で揺れている。(社会学者のM台氏もちゃんとみてんのかなぁ??、、、M台氏は、この映画は北を批判していないとか、太陽政策の肯定だとかいっているけど、何をとぼけたこといっているのだろう。キム・ユンジンが最後に狙う、警備された車に乗っているのは、誰だと思ったのか!!!! 金正日か、金大中かどっちかでしょ!!!!)、、、、、私の個人的な思いこみかもしれないですが、キム・ユンジンが最後まで狙ったのが金正日だと仮定して、キム・ユンジン最後のシーンを思い浮かべると、これを書いている今も、あふれる涙を抑え切れません、、、、。【王の七つの森】さん 10点

2. とにかく泣けました。一日で二回見た映画はなかなかありません。二回とも泣いてしまったな~。日本語版で見たのですが、同じアジア人のせいかなんの違和感なく台詞が耳に入ってきました。評価が低いのは字幕バージョンのせいなのかな??日本語版で見るのをお勧めいたします。【シネマパラダイス】さん 10点
3. 《ネタバレ》 意外に少ない「泣けるアクション映画」の傑作。アメリカのアクション映画が確立した「お約束」を使って、独自性のあるストーリーを盛り上げ、感動のクライマックスに導いている。特に「(言葉で上手くあらわせないが)銃を向け合って円陣で囲む」構図は、以前から存在したものだが、効果的に多用されていて、かっこよかった。ところでラストで、ヒロインの銃は、大統領の車に撃った時点で、弾切れだった(装弾数は5発と、最初の方に説明がある)。だから主人公が彼女を撃つ必要は、実は全く無かったのだ。それでも撃ってしまったところに、やるせなさと切なさを感じずにいられない。【IKEKO】さん 10点

 

0点をつけた方からのコメント

アジア映画がハリウッドまがいの映画つくってもしかたない。韓国映画も日本映画のように自分の国らしさをだすべきだ。そうすれば世界の評価も高くなり、荒野の七人やスターウォーズのように向こう(ハリウッド)の方がパクろうという気になるわけだ。ハリウッドは絶対なものではないという意味をこめて、ハリウッドを絶対視したこの映画はあえて厳しく0点。【ワオキツネザル】さん 0点

 

【独り言】

民族の南北分断下での南のエリートと北の工作員のロミジュリ物語という韓国でしか扱えないテーマであることにプラスの評価、そして0点をつけた方の代表意見のようにハリウッドの真似をしてストーリー以外の美術やアクションで韓国らしさを出していないところを大きなマイナスとせざるを得ない作品です。この作品が発表された年はベルリンの壁崩壊からすでに10年、チェルノブイリ原発事故でソビエト連邦の隠蔽体質や国際協調精神の欠如が明らかになり、ソビエト連邦は崩壊していたのにわたしたち日本人の分断国家の片割れである韓国に対する同情は色濃く残っていました。

 

【映画ルーム(155) クロッシング 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 8点】

【かわまりの映画ルーム(155) クロッシング 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 8点】 平均点:7.26 / 10点(Review 19人)   2008年【韓】 上映時間:107分   元のページのURLは次のとおりです。  https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=18209

 

【あらすじ】

元花形サッカー選手だった炭鉱夫のキム・ヨンスは妻とサッカー選手を目指す11歳の息子ジユーンとともに北朝鮮で幸せに暮らしていたが、ある日妊娠中の妻が倒れ、栄養不足による結核感染と診断される。おりしも友人が中国の親戚から贈り物を受けたせいで逮捕され、ヨンスは物資が豊富な中国で妻の病気に効く薬を手に入れようと出国を決意する。しかし危険を冒して出国したヨンスが人道支援団体による保護や韓国籍の取得などを経験している間に妻は亡くなり、孤児になった息子ジユーンは父を追って中国の国境を越えようとする。

 

【かわまりのレビュー】

今から60数年前、日本では天皇の威光を笠に着たエリートを自称する軍人集団は自分たちの体面を守るために国民を盾にしました。「硫黄島からの手紙」に描かれているように、国民を守るために体を張って玉砕した軍人もいないわけではありませんでしたが、「日本の一番長い日」に描かれた本土決戦の主張は国民を盾にすることに他ならず、空襲での市民の死と戦場での兵士の死のそれぞれに本作品のようなドラマがあったわけです。そして、ドラマが入り込む余地もなく広島・長崎の原爆投下で蒸発して消え去った何万人かの市民とドラマにするにはあまりに痛ましい原爆後遺症でなくなった数十万人・・・。でも、軍人の復員と海外からの引揚者によって起きた戦後の食糧難の時代、日本人には「これさえ我慢すれば・・・。」という希望があったと思います。一方、この作品を見る限り、今の北朝鮮は日本が60数年前に相次いで経験したことを一度に、しかも希望なしに経験しているようです。他国人を拉致するテロリスト国家」と北朝鮮を非難してみたところで、北朝鮮の国民が民主的な方法で拉致を合法化したわけじゃなし、食料などの人道支援をしても、軍人や官僚の私腹を肥やすだけかと思うとやりきれないです。作品中で主人公が韓国の薬局で北朝鮮の医者に処方された薬を買おうとし、店員が「結核の初期治療は全て無料だから本人が保健所に行けばこの薬も無料。」と言う場面があります。つまり、日本や韓国では伝染病の予防など、国民の生活を守ることが国家の存在意義なのですが、北朝鮮では国家とは国民を犠牲にしてでも体面を保ち、存続しなければならない怪物なのです。この作品は多くの脱北者の証言に基づくリアリティと家族愛のドラマで迫ってくるものがありますが、この内容が早く時代遅れになってほしい、現状が変わってほしい、こんなことが長く続くはずがないと思わずにはいられないのでそこそこの点数をつけます。

 

9点(最高点)をつけた方、全員集合!

1.「胸が引き裂かれる想い」という言葉が映像化されているかのような実情は絶句で言葉が失われるほどでした...。政治や体制、何が悪い...など難しいことは一切語る事無く、ただ一つの家族が純粋に愛し、想い合う絆が描かれています。育つ環境で「生きる」というそのものが変わってしまう世界。私が生きているこの場所とはあまりにも掛け離れ過ぎている哀しい現実。だからこそ、見て、知っておかなければいけないのだと思わせてくれる作品でした。とても深い部分で家族や愛情、生きるという事を感じられる意味のある映画です。【sirou92】さん [映画館(字幕)] 9点

2.《ネタバレ》 きついパンチをくらった。最後はお父さんと一緒に息子に会えるようにと祈ってしまった。北朝鮮の現実は本当に惨い。「サッカ」ーと「雨」と「天国」が本当に哀しく切ないモチーフとして描かれていて、後半は涙腺が開きっぱなしになってしまった。今現実にこのような事が日本の近くの国で起きているのが本当に信じられない。韓国映画の底力はあっぱれです。社会的問題をこれでもかと見ている者に訴える力作だと思います。【カボキ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点
3.いや~ 覚悟をして観たのですが、ヘビーな内容でした..フィクションとは言え、ヘビーでした.. 似たようなことが、北では起きているんだろうな..と考えずにはいられません..とても不幸なことです..そして、平和ボケした日本人、特に若者たちに観てほしい..それだけの、説得力、価値、があります! 映画としては、冒頭の入り方が秀逸でしたね~ オーソドックスで、シンプルで、登場人物たちの暮らす環境、背景が、すーと入って来て 一目瞭然..その後の展開、演出も、なかなか見事!です.. たくさんの人に観てほしい..そう思わせる、映画です! 良作!!【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 9点

4.おも〜い内容。若い人にみてほしい。【へまち】さん [DVD(字幕)] 9点

 

最低点(4点)の方のコメント

《ネタバレ》 これって実話ベースであるなら、小説の方が感動できたかも。映像にするならドキュメンタリーで。こんな風にすると感動の押し売りのような演出が鼻についてしまう。一つ一つのエピソードは北朝鮮なら十分ありえると思えるが、それを寄せ集めてみました感が出すぎてて、ベタで古くてクサい。ベタは結構好きで泣かせられることもあるのだけれど、これはちょっと無理だった。【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 4点

 

秀逸なコメント

この映画については、まず演出過多な部分、そして事実を正確に伝えているのか?疑問、それについて払拭されない限り高い点数は上げられないです。なぜなら、だれもそれを見ていないから。もし実際に作中のようなことがあるならば、なぜ、アメリカは?韓国は?諸外国は本気で、北の国民を開放する目的のもとで、攻勢をかけないのでしょうか?正直日本人としては、慰安婦も強制があったかなかったか?日本へ対する、過剰なまでの、嫌う態度、こういうものを見るにつけ、この作品にも演出的な要素が強いのではないかと思ってしまいます。それは置いておいても、北の国民自身に罪はない訳ですから、現状なんとかしてあげたい気持ちは皆が持つと思います。あとこの作品については、脱北という観点で見れば、その手法において、随分と「ぼやっとした」描き方をしていると思います。大使館へ駆け込むにしろ、モンゴルへ越境するにせよ、金の流れにせよ、主人公自身は脱北という意識のないまま、南へ渡ったように描かれています。この辺が、本当に描きたい、伝えたいのであれば、「ぼやっとした」描き方はせず、しっかり納得の形で伝えて欲しかったです。【たかちゃん】さん [DVD(吹替)] 6点

 

【独り言】

これから三連ちゃん、もしかしたら4作連続で「韓流ドラマは苦手だけれど…」のキャッチコピーで韓国映画についてお喋りしようかと思っています。元々は「韓流ドラマは嫌いだけれど…」になっていてそれが本音なのですが、理由は簡単、中国人と異なって顔立ちや発声法が似通っているらしく、現代物の吹き替え版だと口の動きと発音が合ってないという声優さんにはどうしようも無い理由で苦手なのです。ただし、韓国の置かれたいろいろな状況下で日本の映画人にはできないことも数多くあり、それは充分に評価しないといけないと思います。

 

さて、第一作。低評価の方で韓国ではどれほど北朝鮮のことを理解しているのだろうか、とか作り話ではないかというコメントが散見されましたが脱北者からの証言もあり、狭い範囲(本作では健康保険制度)に限定すればかなり正確な情報が把握されているのではないかと思われます。個々の脱北者はそれぞれが抱える問題から脱出するために大きな危険を犯して韓国に脱出してきたわけでそのここの事情に焦点を合わせる限り北朝鮮の現状についてはかなりの正確さが期待できるだろうと言うことです。

 

さあ、そこで主人公ヨンスの脱北の原因になった妻の結核罹患ですが、北朝鮮では下手をすれば結核患者会は完全隔離と家族からの生き別れしかなく、治療薬は外国産で労働党員の家族や限られたエリートでないと入手できず、あるいは道端の闇市で法外な価格で得られているものを入手するしかないようです。これはおそらく事実でしょう。一方で韓国ではおそらく戦後GHQが世界大戦中の空襲や原子爆弾投下に対する罪滅ぼしとして日本に導入したのと同じような保険制度があると思われます。ただし、戦後復興とともに資本を蓄積し、古くは江戸時代から創業を開始したような製薬会社が近代的なシステムで次々と新薬を開発していったのと比べると韓国では医薬品は輸入に頼るか、特許の期限切れを待つか、さもなくば他国企業の製法をパクるかしかしなかったのではないかと思われます。昨今の左翼政権の財閥いじめを見ると、あまりに資本蓄積を軽視しすぎ、日本と異なって科学技術の進歩に活路を見出すこともないような気がします。これがやはり、棚ぼたで近代化と独立が行われた韓国の限界であり、命がけで脱北を果たしてまた独り身になってしまったヨンスが38度線より北に生まれてしまったばかりに。。。という行き場のない敗北感にしか終わらない無力な慷慨しかもたらさない結末です。前向きに生きるのはこの民族には難しいのかもしれません。

【映画ルーム(154) フリーダ 〜 画家の妻となった名画家 6点】

【かわまりの映画ルーム(154) フリーダ 〜 画家の妻となった名画家 6点】 平均点:6.54 / 10点(Review 37人)   2002年【米・カナダ・メキシコ】 上映時間:123分  

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=5939

 


【あらすじ】

世界的に有名なメキシコの天才画家フリーダ・ガーロの短くも濃密な生涯を映画化。学生のころに大きな事故にまきこまれ、瀕死の重傷におちいるフリーダ。一命はとりとめたが、その事故をきっかけに生涯にわたって後遺症に苦しむことになる。壁画家との苦い結婚生活や、革命家との浮気、同性愛のエピソードなど波乱万丈なフリーダの愛と芸術に生きた人生を描いたヒューマンドラマ。【花守湖】さん

あらすじ投稿者のページ  https://jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=22070

 

【かわまりのレビュー】

主演の女優さんがとても個性的で印象に残りましたが、どちらかというと演技より顔だち(本人、すなわち自画像にそっくり)の魅力のせいのようです。メキシコ情緒と極彩色の絵は楽しめますが、芸術家の生涯を描くのだからもう少し深みがあってもよかったのではないかという気がしますが、絵と人生が渾然一体となっていた感じはあまりしませんでした。どこをどうすればいいのかははっきり言えないのですが・・・。ジェフリー・ラッシュがトロツキの役やったの・・・へー・・・、で、アントニオ・バンデラスはどこに・・・?といった感じです。

 

10 点の人のレビュー

《ネタバレ》 偉大な文学は不幸から生まれると言ったのはヘミングウェイ。(たぶん) 芸術もしかり。彼女を知らずして彼女の作品を見ることにあまり意味はないと思う、だからこそこの映画は貴重です。私はフリーダのことをたくさん知ってはじめて彼女の絵を見る資格を得た気がします。彼女の背負ったものは不幸であると同時に一種の情熱だったのかもしれません。少なくとも私がこの映画で知ったフリーダ・カーロは、ろうそくの火が消える瞬間のあの激しい炎の揺らめきのように美しい女性でした。彼女はまさに命尽きる寸前に激しい炎を発生させる燃える女でした(萌える女じゃありませんよ!)いっぱい詰め込みすぎた映画であることは否定しませんが、私は逆にもっと詰め込んで欲しかった。フリーダ・カーロを1つの枠に当てはめることなど到底不可能だと言わんばかりに混乱させてくれたほうが、いかにもフリーダらしいじゃありませんか。彼女は混沌の象徴。シュレアリスムという枠に当てはめること自体ナンセンス。彼女の魅力はアンバランス。知的でありながら世俗的で淫らであるということ─、逞しく強そうに見えながら体が小柄であること─、その美しい容貌とは対照的に体は傷だらけであること─、どれもが相反するアンバランスさを抱えながらそれがフリーダ・カーロという人間を形成している─、彼女の自画像はこのアンバランスの魅力だと思えてなりません。素晴らしい映画です。【花守湖】さん [DVD(字幕)] 10点

 

2点(最低点)の人のレビュー

眉毛が気になって全く集中できない。【miumichimia】さん [DVD(字幕)] 2点

 

【独り言】

最低点の人のコメントはお笑いでもあり、ある意味芸術鑑賞の上で主観や個人の体験がいかに影響を及ぼすかの一例でもあります。わたしはというと、なんだかフリーダが走り回っている様ばかりが印象に残っています。高校生の時の通学中に起きた事故もバスで移動中だったし、後に結婚するディエゴ・リベラのもとに自分の作品を携えて赴いた時もちょこまかと小走りだったし。。。 リベラとの結婚後は口論ばかりだったのが耳に残っているし、おまけに病を得て体の自由が利かなくなった時にも屈強な男性の有志数名にベッドごと展覧会の会場に運んでもらっています。でもだからと言って彼女の絵の価値が下がるわけではありません。フリーダ・カーロはメキシコに移住してきた多くのヨーロッパ系移民(彼女の場合はドイツ系)に原住民のインディオが混ざった家系の出身ですが、彼女と夫のリベラの作品にはインディオの影響が色濃く現れていると思います。大胆にも平面的で、リベラが多く描いた壁画は民族の誇りや希望を表現し、フリーダの絵は細やかな精神性を表現しているようです。ここでわたしが思い出すのは詩人兼哲学者としてノーベル文学賞を受賞したメキシコ人オクタヴィオ・パスのノーベル賞受賞講演です。言葉をツールとして自分たち民族の意識の表現に努めたパスは世界の多くの民族が自分たちの言語で自分たちの日常や精神世界を表現するのに対してメキシコでは、言語というものが日常から学術・政治に至るまでに浸透しているが故に、古来からのインディオの言語、つまりメキシコ独自の表現のツールが失われてしまったことを嘆き、民族の精神を理解するのには沈黙して耳を澄ませるしかないと語っています。そしてその結果を可視化したのがフリーダ・カーロという女性画家だったのではないかと思うのです。ですから彼女の業績を映画作品にするのにはちょこまか走る場面ではなく、彼女の視点から見たインディオたちの祭祀や美しい民族衣装を纏った女性や子供たちをもっと多く描いて欲しかったのですが、まあそれはナショナル・ジオグラフィックのような記録映画作成会社がやっていてわたしはすでにそういった記録映画でフリーダ・カーロの作品に開眼させられたので本作品とは別物ということにしておきます。

 

 

【映画ルーム(153) 大いなる遺産 〜 終わり良ければ…画家の道は続く 8点】

【かわまりの映画ルーム(153) 大いなる遺産 〜 終わり良ければ…画家の道は続く 8点】 平均点:6.17 / 10点(Review 96人)   1998年【米】 上映時間:110分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=687&

 

【あらすじ】

両親を亡くした少年フィンはフロリダの海辺で絵を描くことだけを楽しみに姉に育てられていたが、ある日脱走中の囚人らしい男の逃亡を助ける。その後、沼沢地の謎に満ちた邸宅で過去の恋を捨てきれない老嬢とその養女の美少女エステラに出会ったフィンは励まされて絵画の腕を磨くが、エステラとの子供同士の関係が恋愛に変化し始めた頃、エステラは突然フランスに留学して姿を消す。フィンはエステラや屋敷、画家になる夢などを忘れて漁師になるが、成人したフィンに匿名の人物がニューヨークでの画家デビューを勧めて資金を提供する。

 

【かわまりのレビュー】

これもあらすじを投稿してから十年もの間レビュー投稿を忘れていた作品。作品中でイーサン・ホークが演じる一流画家の才能を秘めた漁師の青年フィンの絵画にかける想いに焦点が当てられるわけでもなく、少女から女へ変化していくミステリアスなエステラに対するフィンの恋心に焦点が当てられるわけでもなく、ストーリー的には「中途半端やなあ」という感想しかない本作品に超アマの8点をつける理由はひとえにフィンが描いたことになっている洒脱な絵に魅せられたからです。でもフィン人生はそれでいいのではないかと思います。本当はこうなって、ああなっていればストーリー的に面白いのに、とかもっと幸せになれたとかいう意見を戦わせてみるのもいいかもしれません。映像美は抜群です。

 

10 点の人、全員集合!

1.そもそもディケンスの原作が素晴らしいからそのまま映画化しても面白いに違いないが、この映画はディケンスの原作をより素晴らしい作品にしている。英国や米国の普通の人達であれば、ディケンスの原作を読んでいるはずなので、その前提で作られた映画に違いないと考えると、原作を知らずにこの映画を批評するのはやめるべし。【たかし】さん 10点
2.《ネタバレ》 私の中でこの映画はとても印象に残る映画だった。点数をつける程、私は映画に詳しくないけれど、とにかくこの映画は好きです!子供の頃の話もよくて、水を飲む所はとても心に残る私の好きなシーンの一つになりました。【よっちぃ】さん 10点
3.自分には、ハマッタ作品。映像も綺麗だし、音楽が場面に合っている。原作を読んではいないが、詩的で深い台詞も好きです。男なら、振り回したいと思いつつ、振り回されるのもいいね。映画一本が丸ごと頭に入っています。【ビンセント】さん 10点

 

最低点(1点)をつけた2人の方のコメント

1.出演者はかなりよかった。が、それだけ。個人的にこの映画を見終わったあとの、内容とタイトルの乖離にとまどいを感じた。大阪人とみながら、ツッコミを絶えずいれていた。【ポカホンタス】さん 1点

2.まず、話のテンポが非常によろしくない。男性と女性の子供の頃からのつながりの見せ方は悪くないのだが、内容的に、時間をかけなくとも見せられるモノだし、脱走した犯罪者と浅瀬で出合うシーンや、少年時代に通う不思議な屋敷など、意表のついた設定が得に活かされていない。どうもスッキリしない部分が多く、中だるみ感が強いのもマイナス要因。【sirou92】さん 1点

 

最高点と最低点のコメントから分かる通り、ストーリー派の鑑賞者(点数低め)と美術・音楽派の鑑賞者(点数高め)がはっきりと分かれる作品です。10 点をつけた【たかし】さんのコメントは拝聴に値しますが、畢竟映画作品は原作から独立して一人歩きするものだという自論も捨てられません。わたし自身は原作未読なので読破後にまたコメントを追加したいと思います。

 

ご近所の良レビュー

《ネタバレ》 たぶん20年くらい前に録画したんですが、なぜか一度も観ることはなかったんです。
今回、洋画専門チャンネルで見つけて若いころのイーサン・ホークが見たくて鑑賞しました。

期待以上の面白さでした、特に前半がいいですね。何がいいって、子役の二人が最高にいいんですよ、なのでダンスしながらエステラがグウィネス・パルトロウに変わったシーンの落胆、あの当時ピークだったグウィネス、とにかくヒロイン役であっちにもこっちにも出てた時代だったから仕方ないとこはあるんだけどね。
イーサン・ホークと子役は面影を感じるんですよ、特に目。
だけどさぁエステラの方は子役の方が完全に美形でミステリアス、なんか入り込めなくなってしまいました。

フィンが画家として成功する方はおとぎ話みたいだと思いながら観ていました。エステラに翻弄されまくるフィンをイーサン・ホークは見事に演じてたと思います。ポチャッとして野暮ったい若いころ、でもラストはすっきりシャープになって垢ぬけてる、どっちから撮影したのかわからないけど見た目の変化も見事ですね。
ただ、原作は当然全く違うのはわかりますが「大いなる遺産」なんていうタイトルにしては深みとか奥深さは感じなかったです。
映像とカメラワークは一級品ですね、印象的なシーンがいくつかあります、セントラルパークかな?橋の下で向き合ってエステラがプロポーズされたとフィンに告げるシーン、2人の顔がシルエットみたいになってるとこ。あの橋のとこってよく映画に使われるのかな?なんかいろんな映画で何度も見たことあるような気がするんですよね。
脇を固めるのがデ・ニーロ、アン・バンクロフトクリス・クーパーとなにげに豪華。
んー、この中ではジョーだなぁ。クリス・クーパー昔から大好きです。【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 7点

【映画ルーム(152) 炎の人ゴッホ 〜 画家の伝記に加わる色彩 8点】

【かわまりの映画ルーム(152) 炎の人ゴッホ 〜 画家の伝記に加わる色彩 8点】  平均点:6.18 / 10点(Review 11人)  1956年【米】 上映時間:122分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=13167&

 

【かわまりのレビュー】

長かった。しかも前半ではゴッホの絵はほとんど出てきません。オランダで炭鉱労働者に同情して説教師の傍ら彼らの生活を描くことから画家として出発したゴッホは一説によると売春で自分と子供との生計を立てていたという貧しいシングルマザーに振られ、ものの本によるとイギリスでも誰かに振られ、他人に対する共感性多過だと返って女性には振られやすいのかもしれませんが、彼自身それほど頼り甲斐のある男だったかというとそんなことはなかったわけで、どうせ一夫一婦の誓いを立てて身を捧げるなら、例えば画家に転身する前のポール・ゴーギャンのような稼ぐ男の方が絶対にいいです。そして弟テオの誘いで流れ流れてフランスのパリから南仏のアルル、パリ郊外のサンレミとゴッホの長い長い忍耐の旅が続くのですがこの旅に付き合って退屈させられないのはゴッホと同じくらい共感性の高い人だけかもしれず、そういう人ならこの作品に10点満点をつけるかもしれませんが、わたしは残念ながらそうではないのでこの点数です。アルルでの開放感とゴーギャンとの共同生活と苦い喧嘩別れを起点としてゴッホ特有の数々の名作が生まれるわけですが、ここに至るまでに本作品の鑑賞者が強いられる忍耐はゴッホ自身の忍耐とは比べものにならないはずなので我慢して鑑賞しましょう。絵画に生命力を爆発させたゴッホの生涯を演じたカーク・ダグラスには「迫真の名演技」を超えるものがあります。なぜならゴッホ自身が自殺を遂げてその肉体が滅びた後もゴッホが描いた数々の絵画はこの世に残り、それらに感動を覚える俳優ならゴッホの精神の軌跡を言動で表現することは絵画を見ることと同等なのです。