かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(180) バードケージ 〜 意識の障壁なしに…7点】

【映画ルーム(180) バードケージ 〜 意識の障壁なしに…7点】  平均点:5.31 / 10点(Review 45人)   1996年【米】 上映時間:119分

 

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=23470&TITLE_NO=3305#HIT

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【前口上としての独り言】

東京オリンピック開幕中、日本選手やわたしが贔屓にする主に発展途上国の世界数カ国からの選手たちが繰り広げる熱戦に手に汗を握ってテレビにかじりついていたせいでブログへの投稿がそっちのけに…なったわけではありません。ただこの機会にオリンピック関連の映画のレビューをアップしたかったのです。それがひとつ前の「ミュンヘン」と今回の作品なのです。ただ「ミュンヘン」はあまりに暗いのでもっと明るいものを…と考え、思い当たったものは「炎のランナー (原題: The Chariot of Fire)」だけでした。何でも1924年のオリンピックに関係あるとかで昔に廉価のVCDで見たけれど内容は欧米流スポコンものだったという以外は完全に頭から抜けていました。そこで観点を変え、直接オリンピックに関係なくてもオリンピックで印象深かったある出来事に関してこのブログをご覧くださる皆様と意見か印象を共有できたらと思って選んだのが今回の作品です。その出来事の第一弾は男子飛び込みに出場したカナダ人のトーマス・デーリー選手がたった2秒で勝敗が決定する、そして選手全員が極度の緊張を強いられる演技の合間に編み物をして心の平静を得ていたという事実です。このことについてはNHKの解説者も「心を平静に保つために其々の選手は自分に相応しい方法を見つけますが競技に臨んで編み物をする選手は初めてです。」と解説を加えました👏👏👏。そして出来事の第二弾はこのデーリー選手が高飛び込み飛び板飛び込みかどちらかで金メダルを獲得し、その後の記者会見(ヒーローインタビュー)で「わたしは同性愛者です。わたしと同じ同性愛者のみなさん、あなた方は独りではありません。」と衝撃のカミングアウトをしたことなのです。さて、ここまでお話しすれば今回の作品がどのようなものでなぜわたしが取り上げたのは本作品をご覧になってなくても大体お分かりでしょう。何よりも本作品は今までに取り上げた同性愛者の作品である「ウェディング・バンケット」と異なって保守主義との対立や両者の意識違いを鮮明に描いたものです。同時に本作品は重苦しい「司祭」とは異なる楽しいコメディーです。ではわたし自身が執筆した【あらすじ】からどうぞ。

 

【あらすじ】

フロリダ・ビーチではやりのクラブ、バードケージを経営するアーマンドとクラブのトップスターのアルバートはゲイのカップル。だが、アルバートは最近ミドル・エージ・クライシス気味。そこに手塩にかけて育てた20歳になる息子ヴァルがびっくりするニュースを持ってくる。ヴァルは婚約し、相手はなんと超保守派の国会議員の娘。婚約者の両親が挨拶に来たらアーマンドは職業を偽り、奇妙な母親のアルバートは姿を隠すようヴァルは懇願する。ゲイのタレントが住み込む家は上は下への大騒ぎに。ハートウォーミングなコメディー。

 

【かわまりのレビュー】

アカデミー賞授賞式で助演男優賞(グッド・ウィル・ハンティングの精神分析医役)を受賞してうれし泣きしていたロビン・ウィリアムズの姿が忘れられなくて彼が出る映画はみんな見るようになり、封切り後かなりたってからこの映画を見ました。やはりウィリアムズは貫禄十分で「俺はこの道二十年、いまさら職業をごまかすなんてできない。」と、いいながらも息子の懇願に折れるところとか外交官にばけて二重に演技するところなんかが印象に残っています。でもこの作品で一番功績があるのはアルバート役のネーサン・レーンでしょう。舞台を主に活躍していたせいか映画ではあまりお目にかからなかった俳優さんです。彼のテナーともボーイ・ソプラノともつかないきれいな声の歌唱力もさることながら、「日常的に女性らしく振舞うためにはこんなしぐさをするといい。」というお手本を示してくれます。日本の女性の少なくとも半分はお手本にすべきかもしれません。あとはドタバタも含めたコメディーで私は結構笑いました。

 

10 点をつけた方はいらっしゃいませんが0点をつけた方もなく、偶々現時点で9点をつけた方と1点をつけた方が一人づついらっしゃるので併記します。

9点 -  え~?私はこの作品好きだけどなぁ。DVDで見たんですけど、もう3回くらい見ましたよ。安心して見ていられるコメディ映画です。【みかん】さん 9点

1点 -  ロビン・ウィリアムの「ゲイ」役ってうまそうだし面白そうなので観ましたが今ではどんなストーリーだったかも思い出せません。アリーマイラブの子が出てたなんて知らなかったです。見逃した~!残念。【koko】さん 1点

↑ どちらも褒めているような…。↓8点の方と3点の方も同数、それぞれ2人づつでした。2点の方は途中で寝たということで、お一人だけですがカウントしません。

8点 - 1.メイドもゲイなんだぜ!【horicks】さん 8点

8点 - 2.  ステキな夫婦(?)仲でした。口では何と言ってようと、結局アルバートの機嫌を取るのに四苦八苦するアルマンドの姿が、面白くもあり微笑ましかったです。アルバート、だいぶ我が侭なんですが、オカマだと思うとすごく許せる(笑)ただ息子がなあ、もう少し温かみのある演技が出来てればなあ。なんか始終冷たい感じがして、それだけが難点。【倉持】さん 8点

3点 - 1.  ロビンが好きだからとりあえず観ました。でも多分2回とはみないでしょうな・・・。そこそこのコメディです。【みんみん】さん 3点

3点 - 2.  おもしろくないと思って見たら、おもしろくない。【タコス】さん 3点

↑ 「それでいいのだ!」のコメントです。あと、超保守派国会議員の役で登場したジーン・ハックマンにも言及して欲しかったですがちょっとした笑える悪役(政界での相棒が売春宿で急死して説明を求めるメディアに追いかけられてあたふた!)だと彼の渋い演技が好きな人と悪役が嫌いな人の両方から敬遠されるのでしょうか? ↓ 次にちょっと目についたほのぼの版と大真面目版の良コメントを載せておきます。

ほのぼの版の筆者は【envy】さん (7点)です…すごい酷評なのね。私は結構楽しめましたよ。ネイサン・レインが最高です。彼はたしかカミングアウトしてるんじゃなかったっけ。ロビン・ウィリアムズのゲイ役は自然で、いいのかどうかわからないけど違和感ないですね。フツーの親、家庭ではないし、考え方も生き方も世間一般とは違うかもしれない、けれどやっぱり息子はかわいい、わが子を思う気持ちはみんな一緒、あんなお芝居したのも親心ってやつですね。ジーン・ハックマンダイアン・ウィーストの夫婦も良家の人にありがちな人のよさ、疎さ、まっすぐな正直さが出ていて可愛らしい夫婦でした。私は4~5回観ましたよ。(レビュー内の下線はかわまりによるものです。次のレビューでも同じです。)

真面目版の筆者は【あでりー】さん (5点)です…わりと想像どおりの展開になるのだけれど、そこかしこに堂々とゲイとして生きている姿を演じるロビンが良かった。あとは、上院議員と話が非常によく通じ合った後に、その相手がゲイだとわかった瞬間の戸惑いに対して、「私は私よ。何の違いがあるの?」と問いかけるシーンには、思いがけずじーんとした。話す内容には納得できても、その相手の属性に対して偏見が生まれる・・・。それまでは理解しあえていても、相手がゲイだとわかった瞬間の表情はひどかった。ゲイの夫婦の息子であり、ユダヤ教徒であるという息子と、保守派の上院議員の娘という設定が、この年代の映画になっても出てくるということを、むしろ問題意識として考えたい。