かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(114) にがい米 〜 社会の重圧を写す 9点】

【かわまりの映画ルーム(114) にがい米 〜 社会の重圧を写す 9点】 平均点:7.40 / 10点(Review 5人)   1948年【伊】108分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=7545

 

【あらすじ】

稲作農業で知られるイタリアのロンバルディア地方は農繁期にはイタリア全土から出稼ぎ労働者を集める。地元の女シルヴァーナは都会から来た女のフランチェスカの身辺を探って持ち物を盗みことある毎にフランチェスカと対立する。そして終には実直な軍人の恋人マルコの忠告を無視し、窃盗罪などで警察に追われ恋人のフランチェスカを追って農場に到着して米倉庫に身を隠す色男のワルターと親しい関係になる。マルコとワルターの両方が苦しい農業労働からシルヴァーナを解放することを約束するが、田植えの完了を祝う宴の日に事件が起きる。

【かわまりのレビュー】

シルヴァーナが地元の女だということは誰の口からも語られません。でもラストシーンでの農場の人々の彼女に対する態度(詳しく書くとネタバレになりますが)や彼女のフランチェスカに対する屈折した心情やワルターを巡るライバル意識などから容易に想像がつきます。イタリアは国家として統一された頃から地方格差や貧富の差が大きく、その事実はおそらく現在でも変わってはいないと思われる国ですが、その事実を統計数字などではなく、まだ見ぬ都会に対するせつない憧れや男女の恋で表現してしまうなんてイタリア・ネオリアリズムはすごいと思います。

 

全員集合

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