かわまりの映画評と創作

読書ルームではノンフィクションと歴史小説を掲載

【映画ルーム(84) から騒ぎ 〜 永遠のシェイクスピア 8点】

【かわまりの映画ルーム(84) から騒ぎ 〜 永遠のシェイクスピア 8点】 平均点:6.23 / 10点(Review 39人) 1993年【米・英】 上映時間:111分.  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=1378

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、独り言を除く部分の版権はjtnew.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

シチリア島の貴族レオナートを南イタリアの貴族ドン・ペドロ(ワシントン)と数名の若い貴族が訪問する。目的は集団見合い!? レオナートの娘で可憐なヒーローと姪で勝気なベアトリス(トンプソン)に注目が集まる中、ベアトリスと訪問団の変人ベネディクトとの口喧嘩が縁結びに腐心するドン・ペドロの気にかかる。おまけに、ヒーローと貴族クローディオの純愛を妬む異常性格者が二人の仲を裂くことに成功。ベアトリスはクローディオの薄情を責めてベネディクトに仕返しを依頼し、ドン・ペドロらの親善訪問は大荒れに荒れる。

 

【かわまりのコメント】

《ネタバレ》 「汝、○○を妻としますか?」「はい」「汝、△△を夫としますか?」「はい」・・・教会の牧師さんなら何百回となく経験するだろうこのやりとりで片方が「いいえ」と答えたらどんなドタバタが始まるか、という純粋な娯楽のための娯楽作品。娯楽目的でも中にちらほらと人生に関する深い洞察を含ませるシェークスピア喜劇の映画版では、いわゆる芝居がかった台詞を演技と組み合わせていかに自然にしゃべることができるかに成否がかかっているはずですが、多弁なベネディックも含めて全員が合格点です。音楽と映像もきれいでした。ドッグベリーという名前だと思うのですが、異常性格者ドン・ジョンの悪だくみを告発する脇役が完璧な喜劇役者といった感じではまっていました。本来、白人だけで演じられるこの劇にワシントンが抜擢されたのは彼の実力のなせる技・・・と言いたいところですが、実際、役の上で彼が領主をやっているというスペインのアラゴンは中世には何世紀にもわたってアラブ人に支配されていたので、こんな顔のスペイン人がいてもおかしくないのかな、なんて考えたり・・・彼の風格は素晴らしかったですがドン・ジョンと兄弟にはどうしても見えませんでした。

 

10 点と9点の人、集まれ!

1. 最高♪ニコニコ顔で観れた作品デス。【みる】さん 10点

2. まいった!ケネス・ブラナーにハマりました(笑)テンポが良くって、本当に楽しい映画でした。オープニングからワクワクしっぱなし!口の悪い娘、エマ・トンプソンがすごく魅力的!デンゼル・ワシントンも素敵☆とミーハー心、むき出しで見てました(笑)恋愛映画好きな人なら見てほしい一作。【もみじプリン】さん 10点

3. み終わってからも楽しい気分でいられました。テーマソングいいですね。DVDでないかな~【鯛茶漬け】さん 9点

4. 頭をからっぽにして見れる映画(笑)でもテンポも良くて、言葉のやりとりも面白いから目が離せない。デートムービーには最適なんじゃないかな(^-^)【くみ】さん 9点

 

7点(最頻出てん)の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=1378

 

1点と2点の人(零点をつけた人はいません)、集まれ!

1. おばちゃん、のコメントに全く同じ。なんだ、この映画?というかんじでした。ざんねん。【中野】さん 1点
2. 私は、基本的にはケネス・ブラナー嫌いだけど、どこかにいいとこあるかしらと、こりずに何本か見ています。でも、だいたいハズレ。中でも特にこの「から騒ぎ」はつまらなかった。そもそもブラナーって自意識過剰、自己愛プンプンだと思うのって、私だけなのかしら?〈追記:やっぱり私だけじゃなかったみたいですね。ところで、中野さんてもうレビュー書いていらっしゃらないんですね、ざんねん。共感してもらってますが、私のほうはどんどんコメントを書き加えてしまっています・・。また書き込んでほしいなあ、中野さん。・・それはさておき本題に戻ります。で、なんでこんなのにデンゼルが出てるのよー?って、腹を立ててたら、よくよく見たら本作は米映画だったんですね。どうりでそのせいで、おお味すぎる、ハンバーガーみたいな味になっちゃったわけだー。まあシェイクスピア古今東西、いろんな「実験」が行なわれているから、冒涜ダーなんてことは言わない。こういう映画が存在したっていいけど、でもやっぱりひどいわ。いくらハリウッド製だからったって、このごった煮みたいなキャスティングは、ないっすよ。この面々じゃ演技力(ばかりでなく演技の質や持ち味)に違いがありすぎます。なんか無理して楽しそうなフリして作ったんじゃないのー? と思える映画でした。〉〈またまた追記:一部書き換えました。BS放送ありましたね。一部見てみましたが、印象は変わりません。やっぱりこのキャストには無理があるし、ケネスの自信満々のいやったらしさ! いやだ、いやだ。本物の「から騒ぎ」はもっと面白くできるはずの戯曲ですよん! さて、もう一つ補足。今回改めて気づいたのですが、このときのエマってはっきりいって、キレイじゃなーい! もちろんいわゆる美人女優じゃないけど、本来もっと雰囲気のあるいい女優さんです。本作での表情から、彼女の隠しきれない不満足、不調が読みとれると思います。〉【おばちゃん】さん 2点

3. シェイクスピアの喜劇ってどうも良さが分からないんだよね。現代人とは笑いのツボが違うという感じで。本作にしても一人で勝手に勘違いした間抜けな男に腹が立ってそれに振り回された周囲のドタバタ劇を見ても面白くも何ともなかった。そのような愚にもつかぬ馬鹿騒ぎに付き合えるほど筆者の器は大きくない。たとえ大御所シェイクスピアといえどもその作品全てが傑作というわけではないのだと思った。【カテキン・スカイウォーカー】さん 2点

 

【独り言】

2点をつけた【カテキン・スカイウォーカー】さんへ。シェイクスピアの喜劇は現代日本吉本新喜劇とは趣を異にします。定義はすごく簡単で最後が結婚(式)で終わるということです。一方で悲劇の定義は人の死で終わること...結婚と死は前近代の人々にとっての二大テーマだったと言っても過言ではないでしょう。結婚が出生の前提だとすればこの二大テーマは「生と死」と言い換えることができ、これは現代の文芸(演劇、映画等を含む)に依然として共通するテーマでしょう。ただ「生」について言えば、現代劇がテーマとする「生」は人間の「生」そのものやその根源(としての結婚)ではなく「いかに生きるか」です。でもシェイクスピアの時代とそれ以前では生命をこしらえることが一大事だったのです。医療が未発達で人口減を移民や生産性増でおぎなうといった考え方がなかった時代、出産は一大事、より優秀な子孫と指導者を生み出すための配偶者選びはもっと重要でした。特にキリスト教国では「若げの至りで相手を間違えた」なんて言って離婚は許されません。もちろん地球が何億人を養えるかなどと考える人はなく、ただ自分が属するコミュニティー、民族、後には国家の人口を維持し、あわよくば増やすことだけを考えて若い男女が結婚を決めると周囲はこぞって祝福したのです。加えて結婚は一生で一度の慶事でした。わたしは昔ドイツ語を学んでいたことがありましたが、「Hohozeit(高揚の時)」というのは結婚式を意味するのではなかったのかとうっすら覚えています。シェイクスピアの喜劇にはそこに至る紆余曲折を描いています。

 

以上