かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(146) フランケンシュタイン 〜 SFのはしり 6点】

【かわまりの映画ルーム(146) フランケンシュタイン 〜 SFのはしり 6点】  平均点:6.61 / 10点(Review 92人)  1994年【米・英・日】 上映時間:123分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=23593

 

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【あらすじ】

19世紀初頭。若きフランケンシュタインは、医学を究めるために当時の医療先進国スイスへ向かった。母の死に心を痛める彼は、科学の力で生命をコントロールしたいと願っていたのだ。そんな考えを諌めるクレンペ師の他界で、フランケンシュタインはかつて師が手を染め、封印した研究を続行させる決意をした。電気の力で、死者に生命を与える禁断の研究を…メアリ・シェリーの原作に最も忠実、かつ時代考証の徹底した『フランケンシュタイン』のリアルな映像化。【エスねこ】さん 【エスねこ】さんのページ: https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=23593

 

【かわまりのレビュー】

点数をつけにくい作品。ホラー・ファンには不評のようですが、ブラナーのフランケンシュタイン博士は彼にぴったりだし、デ・ニーロは顔をぐちゃぐちゃにされて気の毒だけれど、元モーツアルト(「アマデウス」の主人公)、トム・ハルスが演じる博士の親友の凡才が登場する度になぜか心が和むし、ボナム・カーターは人形のようなきれいな顔をしているから終わりのほうの・・・これ以上書くとネタばれをオンにしなければいけないのでやめておきます。出演の俳優さんがそれぞれ個性を発揮したいい演技をしています。他の方のレビューの中で「中世は苦手」とかいうコメントがあったので一言。冒頭のテロップで簡単に触れられていますが、時代背景は19世紀始め、フランスは大革命を経験し、イギリスでは議会政治が成熟して産業革命が進行中、ジェンナーが始めた予防接種の科学的根拠が議論され、蒸気機関や電気も応用まであと一歩というところで、当時の知識人の科学に対する信頼と希望は現代人のそれを上回っていたのです。原作者メアリー・シェリーが後に夫となる詩人のP.B.シェリーと駆け落ちしてスイスに滞在していた時、P.B.シェリーがあまりに科学を信じていることに疑問を感じて書いた作品です。人造人間だのクローンだのはとても一人の科学者が達成できるものではなく、例えば遺伝子(DNA)の解明などといった関連の業績がある度にノーベル賞が奮発され、臓器移植にからむ脳死だのが倫理的に取りざたされてきたということを現在のわたしたちは知っていますが、人間による生命解明に対するわたしたちのこういった姿勢も、メアリー・シェリーが科学万能の考え方にいち早く疑問を投げかけてこのような作品を書いたからこそ生まれたのかもしれません。本作品はそこまで深くは考えさせませんが、原作は文学史上で不朽の地位を確立しているし、映像は美しいし映画化の価値は十分に認められてよい作品です。 原作では博士の弟を殺した罪でのジャスティンの裁判がしっかり書かれていました。この経緯が省略され、民主制の当時のスイスではまさかのような唐突な絞首刑のシーンがあって時代背景を中世だと思わせてしまう一因となっていますが、この減点は大きいです。

 

10 点をつけたレビューワーは2人のはずでしたがもう一人の方はどうされたのでしょうか? 平均点には加算されています。

劇場で見た当時は勿論、フランケンの立場で観ていましたが、2回目は色んな人の立場になって観れ、この映画に関しては主人公はそれぞれに設定できると感じました。どちらにせよ、悲しい結末...。
【フィャニ子】さん 10点(2003-06-29 23:33:25)

 

9点の方のレビューをざっと見て見ましょう。短いですが全部良いレビューです。

1.  本当に悲しくて、悲しくて、見てて辛い映画でした。一番恐かったのは、フランケンシュタインが死んだ奥さんを生き返らせるところかな、そこいらへんがホラーなんだと思います。【yuk】さん 9点

2.  この作品はホラーではない。ヒューマンドラマである。【きんた】さん 9点

3.  この映画のラストがどうしても哀しくなる・・。やっぱりフランケンにも「心」はあったんですね。【M・R・サイケデリコン】さん 9点

4.  ただ愛されたかっただけなんだってのが、すごく伝わってきて切なかったです。普通に作ると怪物映画の定番になってしまうところを、よく愛のドラマに仕立てたな~って感心してしまいました。
【カーマインTypeⅡ】さん 9点

 

7点(最頻出点)の方のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=1045

 

低得点(1点、2点、3点)をつけた方のレビュー

1.何これ?って感じでした・・・デニーロかわいそう・・・あんまり良い映画に恵まれなくて・・・
【阿瑠 派智野】さん 1点
2.  美術的に、中世ヨーロッパものは苦手なのかもしれない。ストーリーは及第点だが、フランケンシュタインが可哀相なのと、映画に輝きがないのと、色々といま一つ。【凛々】さん 1点(2003-10-30 22:33:37)(かわまりの口出し: エスねこさんのあらすじにありますが舞台は中世ヨーロッパではなく近代19世紀前半です。)

3.  俺の中で最低ホラー映画。フランケンシュタインマニアの俺としては、恥ずかしくなった。ジェームズ・ホエール監督のフランケンシュタイン(1931)とフランケンシュタインの花嫁(1935)を是非見て下さい。ゴッド・アンド・モンスターも見て下さい。フランケンシュタインの本当の感動が分かると思いますよ。ゴッド・アンド・モンスターだけでも見ると、ジェームズ・ホエール監督のオリジナルの意味が分かります。【だいすけ】さん 2点(2003-06-23 23:48:50)

4.  本題にはいるまでにやたら時間がかかっているのも問題ですが、その後の各登場人物の行動もありきたりで、見るべきところがありません。これでは、デニーロといえども腕の発揮のしようがないでしょう。全体的に、叫ぶような台詞回しが妙に多いのも気になりました。【Olias】さん 2点

5.  公開してたときに観に行ったんだけど、何かヌメヌメドロドロ暗い・・って印象しか残ってないんだな。中世のヨーロッパって何だか全体的に暗くてどうもこっちまで暗くなってしまう・・。【カズレー】さん 3点. 

かわまりの口出し: ここでも舞台が中世だという誤解が… 舞台が欧米で文明の力が見当たらず雰囲気が暗いと中世だと思ってしまう鑑賞者を責めるわけにはいきません。製作者の責任です。)

6.  《ネタバレ》 話は悪くない。まあ、ほぼ原作どおりだからね。『ドラキュラ』の1000万倍はマシ。でも、モンスターにデ・ニーロを使った時点で失敗でしょ。どのシーンを見ても白塗りした坊主頭のデ・ニーロにしか見えない……。orz 最期、モンスターは流氷に乗って流されて行ってしまうワケだが、「あ~あ、デ・ニーロ流れて行っちゃったよ。次の映画、大丈夫なのかな……」と思ってしまう辺り、どーなの?【TERRA】さん [ビデオ(字幕)] 3点

 

【独り言】

ひとつ前のエントリーは詩人のバイロンシェリー、そしてシェリーと駆け落ちした自由主義思想家の娘メアリー、メアリーと血の繋がりのない同じ年の妹クレアの男女2人づつ2組の恋人カップルのお話でした。そしてこの作品の原作者はご存知通りメアリーです。メアリーは後にシェリーと結婚してシェリーという姓に改名しますがミドルネームにはその時毒によって父の姓のゴッドウィンを採用したり母であるフェミニスト文筆家のウルストンクラフトを採用したりしています。ここまでは前置きでこれだけでもメアリーバイロン両親共に思想家です文筆家という優秀な血筋に生まれたということが分かりますが、更に特筆すべきなのは血の繋がりがない同じ年の妹(ウルストンクラフトがメアリーを出産して亡くなった後のゴッドウィンの後妻の連れ子)であるクレアが当時の女子としてはかなり高い教育を受けているのにメアリーは全く学校には通っていなかったことが挙げられます。もちろん無学ではありまsrん。メアリーは父からシェイクスピアの戯曲を全部読むことだけを言い渡されて後はほったらかしにされて育ちました。それは思想家ゴッドウィンと熱烈な恋愛の末に同棲に至ったウルストンクラフトが築いた書籍が溢れる家庭でメアリーが幼少の頃から本を貪り読んだからに他なりません。父のゴッドウィンは血を分けた娘の才能を自由に伸ばそうとして学校に通わせなかったのです。後妻の連れ子で養女のクレアの場合はそうではありませんでした。さて、この早熟の天才少女が思春期に達した時に出会ったのが下級貴族の跡取り息子でオックスフォード大学に入学しながら学内で無神論の冊子を配って退学処分になったシェリーでした。