かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(52) われら巴里ッ子 〜 スポコンとラブロマンスが合体 9点】

【かわまりの映画ルーム(52) われら巴里ッ子 〜  スポコンとラブロマンスが合体 9点】平均点:n.a. / 10点(Review 1 人)   1954年【仏】 上映時間:107分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=16074

 

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【あらすじ】

ボクサーの夢を捨てきれない24歳の保線夫アンドレは臨時停車したパリ行きの列車の窓から身を乗り出した女性に一目ぼれし、女性が落とした金属製のチャームを成功に導いてくれる護符だと信じる。パリでボクシング・ジム経営者兼コーチのヴィクトルに偶然出会い、無料で弟子入りできたアンドレはヴィクトルの指導でめきめきと腕を上げ、パリの盛り場で車窓の女性コリンヌとの再会を果たす。貴婦人の気品を持つコリンヌはアンドレを優しく応援するのだが・・・。モノクロ映画の巨匠マルセル・カルネが描くパリ下町の庶民の哀歓。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 庶民から財界の大物まで多彩な役をこなすジャン・ギャバンがボクシング・コーチとして登場、コーチの奥さんは「天井桟敷の人々」で多くの男性を魅了するガランスを演じたアルレッティ、ボクサーのアンドレ役の男優も金髪の端正な容姿なので貴公子役なんかもやっていそうな感じですが、全員が上下ジャージーのトレーナーやら下町のおかみさん役や汗まみれのボクサーなんかにぴったりはまっています。ストーリーの鍵になる手の形をした金属製のチャームですが、女性が車窓から投げたようにも見えるし、右腕にしたブレスレットからポロリと落ちたようにも見え、どちらに取るかによって女性のアンドレに対する気持ちの解釈は違ってくると思います。でもそれはどちらでもいいことなのかもしれません。アンドレがうっかり落としたチャームを一度は拾って「お守りなんだろ。大切にしろ。」と言って渡したヴィクトルがラスト・シーンで同じチャームをアンドレの手から取り上げてセーヌ河(?)に投げ捨て、エッフェル塔に向かって彼を追い立てていくところなんか、「俺たちパリっ子にはいつでも未来があるさ。」と言っているようでとても好きですし、同じ監督の「嘆きのテレーズ」の非情な内容と比較してこの作品の楽天観が数倍好きです。

 

【独り言】