かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(50) バベル 〜 言葉を超えた拡散と集中 8点】

【かわまりの映画ルーム(50)  バベル). 〜 言葉を超えた拡散と集中 8点】平均点:5.41 / 10点(Review 187人) 2006年【米・仏・メキシコ】 上映時間:143分   クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=14210

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

ロッコの砂漠地帯。山羊飼いの少年が試し打ちで発射したライフル銃の弾が観光バスの中のアメリカ人女性を直撃し、事件は国際社会に思わぬ波紋を投げかける。「モロッコに反米テロ組織があるのでは?」「使用されたライフル銃の出所は?」等々が取りざたされ、肝心の被害者とその夫は砂漠地帯からの救出の遅延にいらつく。事件に遠くつらなる東京の父子家庭、そして狙撃された女性とその夫の留守を守るメキシコ人ベビーシッターなどがそれぞれに抱えるドラマが展開され、国際問題とはかけ離れた人間模様が明らかになっていく。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 その昔、バビロニアの人たちが人間の実力を誇るために天まで届く塔を建てようとしたのを見てびっくりした神様が造りかけの塔をこわし、各民族が違う言葉を話すようにしたそうで、「バベルの塔」とは混沌と人類の不和の象徴のはずなのですが・・・この作品では巻頭から観光バス狙撃事件の経緯は明らかで、ブラッド・ピットが演じる被害者の夫がいくらうろたえたところで、見る側としては冷めて眺めてしまいます。作品の面白さはむしろ、メキシコ、日本などで展開されるストーリーとモロッコでの事件との関りを解きほどくことにあります。それにしても、国際テロ事件の解明を手がける日本のどこにでもいそうな刑事、終わり近くで「あのモロッコの事件の結末は・・・。」と報道する東京の場末の飲み屋のテレビ、高層住宅の上階で父娘が愛情を確認するラストシーンなどから感じられるのは「バベルの塔」からはほど遠い調和の世界でした。メキシコ人ベビーシッターのおばちゃん、普通のおじさんとガキどもといった感じのモロッコ人の羊飼い役、どれをとっても俳優さんの演技は見事でしたが、「やはり何と言ってもアカデミー賞にノミネートされた菊池凛子さん!」なんて日本人としてナショナリズムを感じたりして・・・。後ろの席に座っていたアラブ系の人たちがモロッコ・シーンになると英語と私にはわからないアラビア語で茶々を入れるのも聞いていて楽しかったです。神様が言葉を乱してくれたせいで、人類は戦争もしたけれどオリンピックや万国博覧会みたいな楽しいお祭りをやって神様に舌を出しているわけで、製作者が同時多発テロ以降のテロへの過剰反応に対抗して「バベル」という題名で調和や国際協調を描きたかったのなら舌を出してもいいけれど・・・でなければ作品が醸す調和の雰囲気と砂漠の雄大な景観、東京の夜景、各国俳優の競演などに敬意を表して超甘の点数を献上。(拙投稿の小ネタもご覧下さい。)

 

10 点の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=14210

9点の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=14210

5点(最頻出点)の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=6&TITLE_NO=14210

 

【小ネタ(プチ疑問)】

小ネタではなくて、ちょっとした疑問なのですが、作品中で赤十字のマークをつけたヘリコプターが飛来します。十字軍のいまわしい歴史があるせいでアラブ圏では国際赤十字の下にある同じ組織は「赤新月社」と呼ばれているはずで、赤地に白の三日月のある赤新月社のヘリコプターが来るべきなのではないでしょうか?そういうヘリコプターを見たことのある方いらっしゃいませんか?

 

 

【独り言】

 


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