かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(137) 海を飛ぶ夢 〜 改めて生きるということ 7点】

【かわまりの映画ルーム(137) 海を飛ぶ夢 〜 改めて生きるということ 7点】 平均点:7.02 / 10点(Review 59人)  2004年【スペイン・仏・伊】 上映時間:125分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=11737

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

ラモンは死ぬことを決意した。彼は事故が原因で不随となり体の自由がきかない。従って他人の力を借りて殺してもらうことを希望する。人権団体はラモンを支持するが非難する人間が圧倒的に多い。「生きることは権利であって義務ではない」というラモンのメッセージがニュースで取上げられ、ますます事態は大きなっていく。尊厳死をめぐる問題作。【花守湖】さん

あらすじ執筆者のページ

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=22070

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 安楽死尊厳死という重いテーマ、深刻なテーマに正面きって取り組んでいる作品。「ミリオンダラーベービー」のように前半、他の要素で観客をひきつけたりしないところがハリウッド映画に対抗するヨーロッパ映画の意地のようでもあり、見ていてつらいところでもあります。アルゼンチン映画アカデミー賞を受賞した「オフィシャル・ストーリー」なんかもそうですが、「良い作品に感動するためには忍耐が必要。」というのがこういった映画製作者の主張のようです。全身麻痺(首から下)で思い出すのは落馬で同じような状態になった俳優クリストファー・リーブです。最近、残念ながら自然死で亡くなりましたが、重装備の車椅子で医学研究や身障者の生活保障の必要性を説いて回り、アカデミー賞授賞式にまで出演した様子から、元気だった頃の役柄と重ね合わせて「真のスーパーマン」と呼ばれまでしたものです。スーパーマンにはおよそ似ても似つかないおっちゃんだから死んでもいいとか、そんなことは絶対にありません。しかしオペラ「ツーランドット」の王子のアリア(この曲、トリノ・オリンピック以後、日本では大ヒットですね)のレコードを聴きながら、おっちゃんがむっくり起き上がってスーパーマンみたいに窓から飛び出したのには驚きました。芸術に接している時には体が不自由でも空を飛ぶ心地になれるのかもしれません。だったら「クリストファー・リーブやこのおっちゃんのように、体が不自由でも生きてみようよ!」というのがこの作品のメッセージなのでしょう。

 

10 点の人(1人)のレビュー

《ネタバレ》 一度観ただけでは、おそらく尊厳死という「社会問題」に頭をめぐらせて終わってしまう。しかし、そういう類の映画ではない。この映画は、尊厳死一般を論評しようという行為自体を拒んでいるし、ラモン・サンペドロ自身の持つ「尊厳」に対する考え方に対して、批判を加えようという映画の見方自体を拒んでいる。(冒頭のロサが行った批判のように。)尊厳というものがごく個人的な問題であることを理解したうえで、改めて映画として純粋な目で観賞してこそ、この映画の真の価値を評価し得ると思う。この映画は、純粋に「生と死のあり方」と、それをめぐる「愛情のあり方」を味わうための映画として非常に作り込まれた作品であると感じる。登場人物一人一人のラモンに対する愛情のあり方の異なりが、それぞれ印象的に描かれている点は秀逸である。個人的には、ラモンが他人の「手」を借りる必要からロサとの間で形成した「愛情」のかたちに、ラモンの境遇のリアリティが持つ絶望的な切なさを感じさせられた。最後、ラモンと運命を分かったフリアのもとへラモンの届かぬ詞が伝えられ、想いが魂となって海へと帰していくラストは見事だと思う。【酒梅】さん [DVD(字幕)] 10点

 

9点の人の秀逸なコメント

1. この作品は、はたして「尊厳死」と「自殺」という社会問題への解答を意図して作られたのだろうか。法廷やマスコミが主人公にとってあまりにも無意味な存在として描かれているように(そして自筆の本でさえも死のタイミングを図る一つの要素でしかなかったように)、私はむしろこの作品に主人公の「死」への哲学を純粋に見た思いがした。実話ベースの作品なので敢えて言うと、私たちが彼をみているのは2時間だが、介護をする家族が彼を看ているのは28年間という途方もない期間である。彼はその間、「体の向きを変える」事から、それこそ「袋を取り替える」事まで全てを周囲に委ねざるを得ない状態で生活してきた。『涙を流す代わりに笑顔で取り繕う事を覚えるのさ』という一言は、彼にとっての「生きている辛さ」を非常に象徴している。(彼の家族ほどではないが近い現状に直面している者にとっては、涙腺が緩んで仕方なかった。映画館であれほど、恥ずかしいほど号泣した事はなかった。)そして愛し、分かり合えた人にすら忘れ去られていく事実。死とは、海を飛ぶ夢とは対極にある、この世で最も儚き現実である事を改めて思い知らされる。くだらない、要らないと思えるシーンや人物も時折登場するものの、ぜひ社会問題としてではなく、いつか訪れる自分の問題として、そして家族の問題として、この作品を多くの人に観てほしいと切に願う。【wood】さん [映画館(字幕)] 9点

2. 正確に言えば、彼の死は「尊厳死」でもなく、「安楽死」でもない。彼は「自殺」したのであり、彼を支援する立場は「自殺幇助」であろう。
映画の中に「尊厳を守るために死ぬ」という彼の言葉がある為、そこから「尊厳死」というひとつのイメージが喚起されるが、それを限定的に扱ってしまうと、この映画から僕らが受けるより深い響きを損なってしまうように思う。それはとても勿体無いことだ。
彼は頚椎損傷を原因とする四肢麻痺により、28年間も寝たきりの生活を余儀なくされ、そこには既に長い長い物語が横たわっている。しかし、敢えて言えば、この映画は、彼と家族の長い物語の果てに、フリアとロサという全く違うタイプの二人の女性が彼らに関わる、その中で彼らが彼の自殺を決心し、そして決行する、短い期間に凝縮された感情の物語として僕は捉えるのである。もっと言えば、この物語は彼だけの物語ではなく、彼に関わった人たちの物語でもあるのだ。彼は自殺する。しかし、そこには、自殺する彼を中心にして、彼らの「生きる」ことへの濃密な意志と疑義が垣間見えないだろうか。そして彼自身についても、生と死への思いが微妙に捩れる瞬間が、その人間的な揺らぎが、共振するように僕らを揺さぶるのである。
海を飛ぶ夢」とは何だろうか? 映像とともに印象的に語られる彼の「海を飛ぶ夢」とは? それは叶わない夢でありながら、彼を28年間支え続けてきた不可能性の可能性ではなかったか。彼はフリアに想う。「永遠に縮まらない距離」のことを。フリアもロサも結局は錯覚してしまったのだと僕は思う。彼だけが彼女達との触れ合いの中で揺らぎながらも、結局はその距離が決定的であることを悟るのである。そんな彼自身が決して相対化され得ないこと、そのことを今度は僕らが悟るに至るのだ。
間違ってはならないのは、彼は仏のように悟って死ぬのでは決してなく、人間という不可解さを自明のものとして死ぬのである。それは生きることへの揺らぎと言っていい。そこに逆説的に浮かび上がる、静かに切り取られ選び取られた生の有り様こそが僕らの胸を強く掴むのであろう。
僕としてはやはり彼に焦点を当ててしまうが、やはり、この物語は彼に関わった人々の「生きる」物語である。そしてもちろん、その反映の中に僕らも含まれている。それが観るということだろう。
【onomichi】さん [映画館(字幕)] 9点
他にも見方の異なる秀逸なコメントがあります。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=11737

 

7点(最頻出点)の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=11737

 

低得点の人のコメント

1. 早く死にたいなら舌を噛み切ったりできたはず。水飲まずにいれば(もちろん食事もしない)10日ほどで望みどうり死ねるのに。そんな勇気も決意もないのに死にたい、死なせてくれと連発する主人公に腹がたってしまった。生きたいのに生きれない人だって沢山いるのに、こんなに簡単に死ぬなんて間違ってる。臓器移植のドナー登録したりとかせめて人の為になることは考えなかったのか。結局彼は自分のことしか考えてないと思った。この作品は安楽死ではなく尊厳死がテーマだということがポイントだが私は主人公のような脳に異常のない人間の尊厳死は認めない。しかし脳死状態の人の家族の決断による尊厳死は認める、というより仕方のないことと言うほうが正しいかな。本人の意識がしっかりしているなら人間として最後まで生きるべきだ。死にたがるのは人間だけで、他の動物や植物は必死に生きている。ただでさえ私達は命ある動物や植物を自身が生きるために食べている。そんな私達はどんな生物よりも「命」を大切にしなくてはならないと思う。【りりあ】さん [地上波(字幕)] 0点

2. 「尊厳死」(というか「自殺」?)を扱った難しい映画で考えさせる点もあったが、どうも好きになれない。「死にたい」と連呼するグダグダしてるオッサンを2時間も見てると気が重くなるし、態度もなんかムカつきました。何様のつもりだ!確かに28年間という時間を想像すると末恐ろしい。でも、この世の中には生きたくても生きられない人がたくさんいる。だから頑張って生きる希望を見つけて欲しかった・・・だって『素晴らしき哉、人生』って言いたいじゃん・・・心の底から笑いたいじゃん・・・。【ピルグリム】さん [CS・衛星(字幕)] 2点

3. 《ネタバレ》 尊厳死の是非はおいておいて、そもそも「尊厳死」ってなんですかね?言葉の定義をはっきりさせたい感じです。日本尊厳死協会の定義によると、尊厳死とは患者が「不治かつ末期」になったとき、自分の意思で延命治療をやめてもらい安らかに、人間らしい死をとげることです。 とあります。恐らく、ここでいう不治とはいわゆる「不治の病」の事であり、事故による身体障害は含まれないと思われます。さてこの人の場合は不治ではあるが、いわゆる病ではない、また末期でもない、延命治療を行っているわけでもない。死が迫っている感じでもない。ただ生きているのが辛くて苦痛だから死んでしまいたいという事でしょう。なら勝手に死んでしまえばいいわけですが、どうもこの人は能力的に自殺できないような描かれ方をしています。よって他者の力で死ぬ事を合法化して欲しいと。じゃあ意識もちゃんとあって植物人間でもないこの人は本当に他者の力を借りずに死ぬ事はできないのか?(ミリオンダラーベイビーのように舌を噛めばいいハズ)飯をバクバク食べている人が本当に死にたいのか?(食うのを止めればいいハズ)という疑問がずっと頭を離れませんでした。終始主人公の言動に矛盾を感じ、コイツわけわからんなあという感じです。 (ちなみに日本では年間3万人以上の自殺者がいます。理由の1位は病苦です)【東京50km圏道路地図】さん [映画館(字幕)] 3点

4. 《ネタバレ》 大体、これが尊厳死と言えるのんだろうか?主人公は脳死でもない、機械によってなんとか生かされている訳でもない、重い病で苦しんでいる訳でもない。元気に毎日憎まれ口を叩きながら、随分悠々と生きている。しかし、こんな状態の自分に我慢出来ないから死にたいんだという理屈。尊厳死にかこつけた自殺志願にしか見えません。何十年も介護してくれた周りの人間に対する顧みは一切無い。むしろ、みんなの為に俺はこんな身体でも今日まで生きて来てやったんだと恩着せがましい主張をしている。なんだかなぁ。尊厳死はともかく、それにかこつけた自殺なんぞに肯定は出来ません。【MARK25】さん [DVD(字幕)] 3点

 

【独り言】

改めて鑑賞し直してみると7点は少し辛い点数だったかなと思います。死刑の問題を肯定も否定もせずに扱った「デッドマンウォーキング」に8点をつけたのですが逆でも良かったのではと思います。9点をつけた方の中に弁護士フリアとラモンの兄嫁マヌエラの2人の女性を絶賛している方がいらっしゃいました。フリアの法廷で人目を浴びて磨かれた美しさと家事や家族のケアで磨かれたマヌエラの飾り気のない内面の美しさは素晴らしいですが、二十代前半に見える未知の未来に対する希望と不安が交錯するマヌエラの息子が希望が制限された伯父のラモンと向き合う時の困惑や「お前はおじさんが犬みたいに殺されてもいいのか?」と諭すラモンの弟、全てそれぞれの立ち位置を表現し尽くした名演技と言えます。そしてもちろん、主人公のラモンを演じたハビエル・バルデム。。。彼は凄い俳優です。まだそれほど歳をとってはいないはずなのですが、彼が演じる初老から年配の役柄はとにかく真に迫っています。そして画面が捉える風景の美しさ。。。ラモンが脊髄を損傷する事故を起こした青く深い海、プッチーニのツーランドットの王子のアリア「誰も寝ない」を聴きながら夢見た空を飛びながら見下ろした田園風景、ラモンが裁判所に行く道すがら仰ぎ見た青い空を背景に回る風力発電の風車等々。。。ラモンにとっては正にこの世からの訣別の思い出なのです。点数は付け直そうと思えばできるのですが、あえてそうしないのはわたしはこの作品からもっと汲み取れるものがあると思うからです。最近この作品のDVDを購入したので「これでいい。」と思える時が来たら点数を引き上げると思います。なお、わたしが今までに2回鑑賞したDVDは北米版でスペイン語音声で英語字幕だったこともわたしの理解の至らなさにつながっています。

【映画ルーム(136) パッション 〜 宗教を題材とした作品の禁じ手 0点】

【かわまりの映画ルーム(136) パッション 〜 宗教を題材とした作品の禁じ手 0点】 平均点:5.23 / 10点(Review 133人)  2004年【米・伊】 上映時間:127分クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=9027

 

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【あらすじ】

 

【かわまりのレビュー】

娯楽系ならともかく宗教を題材にしたR-rated(18歳未満入場禁止)の映画なんてあってはならないし、映画館で鑑賞中に2人が死亡なんてことも、作る側にとっては不可抗力ですが、本来絶対にあってはならないことです。私は5、6歳のころから聖書に親しんで「イエス様は人間の罪を負って十字架の上で亡くなってくださった。」と観念的に理解していました。子供でもこのくらいのことは観念的に理解できるものです。それなのに、どうしてその様を如実に映像化する必要があるのでしょうか?生々しい血まみれの映像にも増して、どうして人があれほど残酷になれるのかが私には全く理解できず、シュ-ル・レアリズムの世界のようでした。リアルティーがある登場人物は良識家のローマの総督ピラトと博愛主義者のその妻、聖母マリアなどだけであとは全員、キリストを含めて人間の皮を被った異星人のようでした。これは私の理解力が未熟なせいではないと思います。「理解力が未熟であること」を根拠に映画の18歳未満鑑賞禁止が指定されるのならば、大人にとってもわけのわからないバイオレンスを扱った映画はたとえ宗教が題材であっても作るべきではありません。そもそもイエス・キリストの処刑そのものが、公正な裁判の結果での死刑などとは異なっていて全く根拠のない不条理なものなので、バイオレンスの部分の拡大描写を入れた作品として観衆に見せるべきものではないと私は個人的に思っています。「ラストまでにバイオレンスに慣れて涙が出なくなった。」と語っているキリスト教圏の批評家(Time紙)さえいます。これがメル・ギブソンが意図したことなのでしょうか。彼の製作姿勢は大いに疑問です。キリスト教徒の友人の強い薦めでこの作品を見て仏教の文化圏に生まれたことを誇りに思ったほどです。【かわまり】さん 0点

 

0点の人の秀逸なレビュー

1. 僕は映像作品というものは、美しいものを捉えるべきだと思っています。これはグロ動画。グロ動画って基本的にノンフィクションなわけで。これは映画ですからフィクションです。創作されたものです。誰がフィクションにおいてまで観るに耐えない映像を見たいでしょうか? しかも127分ですか。鈍感すぎるよ。日本人であることを誇りに思いました。【ようすけ】さん [CS・衛星(字幕)] 0点

2. 《ネタバレ》 どうなんですかねこれ。壮絶に鞭でたたかれて皮はがれまくってもう二度と観たくないし観なけりゃよかったと思うけど真面目な信徒の方たちから観るとやっぱり違う意味があるんでしょうか。ま、全然面白くなかったし、ひどくて泣かされたけどそりゃ泣くだろってレベルのグロ映像だしということで0点。
カルト宗教に入信させるために世界の終わりを予言してみたり人間の残酷な映像だとか見せて不安を煽って洗脳する方法があるみたいだけど、それに通じるものを感じてしまった。【アイーン】さん [DVD(字幕)] 0点

 

10 点満点の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=9027

 

【映画ルーム(135) 聖衣 〜 世界宗教の礎(いしずえ) 9点】

【かわまりの映画ルーム(135) 聖衣 〜 世界宗教の礎(いしずえ) 9点】 平均点:6.50 / 10点(Review 6人)  1953年【米】 上映時間:124分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=15800

 

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【あらすじ】

ローマ帝国第三代皇帝のカリギュラの治世。ローマ貴族のマーセラスはパレスチナ護民官として恋人のダイアナと別れて赴任するが、ギリシャ人従者のディミトリアスゴルゴタの刑場で手に入れた赤いマントに触れてから精神が不安定になる。イエス・キリストを救世主として崇める新興宗教の集会を取り締まろうとした同僚と悶着を起こし、ローマに戻されたマーセラスはディミトリアスが所有するマントの焼却を命じられるがなぜか実行できず、ローマ近郊の地下に集まるキリスト教団に合流する。マントをダイアナに託し、捕らえられて拷問を受けるディミトリアスを信徒と共に奪還するに及び、マーセラスは皇帝以外を崇める新興宗教を一切禁止するローマ政府と真っ向から対立することになる。

 

【かわまりのレビュー】

この作品を初めて見たのはまだ小学生の頃だったと思います。イエス・キリストの生涯については新約聖書を子供向きに書き直したものを読んでいたものの本作品とオーバーラップする箇所はロングショットで映されるイエス・キリスト磔刑のシーンしかなく、世界史(ローマ帝国)についての知識は皆無でしたがなぜか子供の頭にもすんなり入る内容だったことを記憶しています。もう一度鑑賞してみてその理由を探るとやはり若き日のリチャード・バートンの西洋流チャンバラの負うところが多いのではないかと思います。兜のてっぺんの赤い飾りが特長的なローマ武将(護民官)がキリストの磔刑の警備に当たっていたと思ったら次のシーンで同じ格好の同僚とチャンチャンバラバラ。。。視覚的に非常にわかりやすかったです。この映画が作られた1953年にはチャールトン・ヘストン主演の「十戒」が制作され、1959年には同じヘストン主演のハリウッドの記念碑的作品の「ベン・ハー」が作製されます。日本にとって戦国時代が汲めども尽きないドラマとスペクタクル源泉になっているように、キリスト教国のアメリカではまずは聖書がスペクタクルとドラマの源泉と映画界は捉えたようです。そして日本の戦国時代を舞台とする映画作品がカオスによってその後三百年弱の江戸時代の太平の礎(いしずえ)が築かれる様を描いているように、聖書を題材とする多くの映画作品はイエス・キリストが生きた時代に原始宗教が主流だった世界に唯一絶対神の下での統一された道徳観を人類の大半にもたらす礎石が築かれる過程を描いているのです。

 

6人しかレビューワーがいないので他のレビューは上記のURLを参照してください。

 

秀逸なレビュー

《ネタバレ》 続編「ディミトリアスと闘士」から先に観てしまうという掟破りの鑑賞法。続編の冒頭で、この作品の結末が明示されていたので、ああ、多分これがこうなってああいう結末になるんだなあって見てると、まさしくその予想通りになる(笑)続編は娯楽大衆色が強いスペクタクル的アプローチに対し、こちらはより宗教的、しかも大真面目で立派な作りになってますね。世界初シネマスコープ方式採用作品として、映画史に残る著名な映画ですが、今となってはブラウン管で見る限りどうという事もない。キリスト教信者の方なら、これは非常に有難いっていう内容なのかな?信者でない自分にはその辺は良くわかりかねます。DVDジャケットの逝っちゃってる(←悟りを開いたともいう)護民兵リチャード・バートンの表情がこの映画の全てを語っているとも言ってよいかも。まだ信仰がそれほど篤いようには見えない、ダイアナ(ジーン・シモンズ!美しい!)を神の国に連れて行くっていう結末は・・・ど~なんだろねえ・・・。ラストシーン、お二人のあまりに幸福そうな表情を見ると、キリスト教に限らず宗教とはまるで縁がない自分としてはちょいと複雑な気分に。まあ当人さえよければそれで大円団なのか。ハ~レ~ル~ヤ~!!【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 6点

 

【映画ルーム(134) 千と千尋の神隠し 〜 八百万(やおよろず)の神に出会うと。。。 8点】

【かわまりの映画ルーム(134) 千と千尋の神隠し 〜 八百万(やおよろず)の神に出会うと。。。 8点】 平均点:6.42 / 10点(Review 882人)  2001年【日】 上映時間:125分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=2497

 

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【あらすじ】

10歳の女の子千尋はある日、両親と一緒に田舎町へ引っ越す途中、不思議なトンネルを発見。トンネルを抜けると見たこともない町だった。千尋は1人で町を適当に歩き回っていると、ひとりの少年と出会う。彼は「ここにはきてはいけない。すぐ戻れ!」と叫ぶ。恐くなった千尋は両親の元に戻るが、両親はなんと豚の姿になっていた!【花守湖】

【あらすじ執筆者のページ】https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=22070

 

【かわまりのレビュー】

巻頭では無気力で新しい環境に適応する気もない女の子の千尋が両親と共に廃墟になったテーマパークらしい場所に迷い込んで好奇心が旺盛であって然るべき子供らしくもなく「帰りたい。進みたくない。」とゴネるという決して魅力的とは言えない始まり方なのですが、両親がブタに変えられ、野原だった入り口のゲートと江戸風の街路との間が海か湖に変わって大きな遊覧船が千尋に向かって進、接岸すると胴体が無い仮面が下船してくる下り(その間、沖縄の音楽のようなBGM)から俄然興味が湧いてきました。そしてミステリアスな昔の装束を纏った禿(かむろ=おかっぱ)頭の少年ハクの出現。。。 ハクはその後も、千尋が魔女の湯ババによって名前を「セン」と変えられた後もずっと超自然の世界で影に日向に千尋を守ろうとするのですがその理由が明かされるのはずっと後になってからです。しかし、千尋が経験した世界は超自然の世界ではなく、わたしたちが暮らす世界そのものなのでは無いでしょうか? ただ万物に宿る精霊たち、日本風に言えば八百万(やおよろず)の神々は通常は万象の影に身を潜めているのかもしれません。そしてそれらの中にはハクやリンのようにわたしたちを支えて助けてくれる精霊たちが多く存在し、湯ババ、銭ババや顔なしのように全悪の判別が難しいものも多くいるのです。人間の想像力が精霊たちを生かし、精霊たちに人間が生かされるのは日本ならではと言えるかもしれませんが、西欧でもハローウィンに奇怪な面をつけて練り歩いたり妖精の存在を信じたりと、一神教が行き渡っても今なお万物に宿る神秘的な存在を感じる人々がいるからこそ、この作品は欧米でも多くの人を惹きつけるのだと思います。

 

10 点満点の人(79人、4ページわたります)のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=2497

10 点満点の人の秀逸なレビュー

 

0点の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=1&TITLE_NO=2497

【映画ルーム(133) 平成狸合戦ぽんぽこ 〜 タンタンタヌキの環境保全 8点】

【かわまりの映画ルーム(133) 平成狸合戦ぽんぽこ 〜 タンタンタヌキの環境保全 8点】 平均点:5.06 / 10点(Review 172人)  1994年【日】 上映時間:119分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=1144

 

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【あらすじ】

東京一極集中の煽りで都市勤労者に宅地を提供する宅地化の波が自然に恵まれた多摩丘陵に到来する。人間たちの勝手な都合で多摩丘陵の耕地は宅地になり、穀物を食するネズミが減って雑食性のタヌキたちは食糧難に直面した。抗戦争によって人口ならぬタヌ口を減らそうとする雄タヌキたちを賢い雌タヌキのおろく婆は本当の敵は人間でタヌキが力を合わせて人間を追い出すべきだと説得する。おろくの提案でタヌキたちは化け学の術を磨き、特にエリートタヌキのポン吉とおキヨは化け術で工事労働者を追い出すことに成功するが、開発工事が中止されることはなかった。業を煮やした多摩のタヌキたちは全国のタヌキコミュニティに助け求めるが、これ応じた四国のタヌキたちは危険を冒して多摩丘陵を訪れ、化け学の見事な粋を尽くした人間追い出し作戦を企画するのだが。。。

 

【かわまりのレビュー】

この作品は多摩丘陵のお話ですがタヌキは結構適応力があって東京二十三区内どころか山手線の中でも皇居、新宿御苑明治神宮護国寺増上寺などタヌキがいそうな場所を多く思い浮かべることができます。ぞのタヌキたちがどうやって食べているかというとやはり夜な夜な森林地域から出てレストランの残飯を漁ったり残飯を漁るネズミを捕食したりして結構栄養バランスの良い食生活を送っているのではないかと思われます。ただキツネと違って脅かされると気絶したりマヌケな仕草や生態があるらしくそれだけ親しみを感じさせます。作品中のタヌキたちは人間のように直立して環境保全の策を練っている時にはイラストが巧みな人が一筆書きで描くような単純な線でユーモラスに描かれていますが、四国のタヌキたちが戦列に加わってから一目で水木しげるさんの筆だとわかるゴージャスと言いたいほどの精緻な化け物や妖怪がオンパレードで、もしも東京に生息しているタヌキたちが訳が分かって水木しげるさんのイラストを見たらさぞ面映いことだろうと思います。タヌキによる環境保全という主張はありますがタヌキの方がキツネよりもずっと適応力があるのではないかと思わせ、わたしたちをなごませてくれます。

 

10 点の人のレビュー(3人)

1. あらゆる意味で魅せられた。サントラも最高。感動してしまう。この映画の良さを一言では言い切れない。【ぽんぽこ】さん 10点

2. はじめて見たときはラストの過酷さに胸が軋みました。<当時、確か小学生>その時は脳みそも小さかったので、最後の言葉も理解できませんでした。。。でも今ならわかります。ぽんぽこはきっと自然開発良くないうんたらかんたら。。。だけじゃなくて。。。言いにくいんですがラストのうた<この歌すっごく好きなんです!>みたいなメッセージもあるんだと思います、あくまでこれは私の感想なんですが、みんな一生懸命生きてるんだ、だから一緒にがんばろうみたいな。。。。たとえ生きてるばしょは違っても。高畑監督の作品や宮崎監督の作品は子供の頃に見ても、大人になってから見ても楽しめますね!子供の頃に見えなったものが大きくなって見えるようになるから<ちなみに私は高校生です>ぽんぽこも色んなものが見えてきて色んな発見」がありました!何回でも見たい作品です。<単に私の脳が小さいだけなのでしょうか。。。>コメント以上です。【桃の宮うさこ】さん 10点

3. 私は、ジブリではこの作品が1番好きです。何度見てもポロポロ泣きます。たぬきが色んなものに化けるとこは凄く楽しい。でもその分あのラストは凄く悲しいです…。この映画に込められた痛々しいくらい強くて真っ直ぐなメッセージに、胸を刺されます。【M・M】さん 10点


5点(最頻出点)の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=6&TITLE_NO=1144

 

0点の人(2人)のレビュー

1. あ~くどい、くどい ジブリは…。どうせなら狸とかで誤魔化さないで真剣に描けよ!なんやねん!おもろないわ。中途半端やし、子供ターゲット?途中なんか一貫性ないし、見ててイラツク! みんな頑張って生きようよみたいなん、かゆいねん!もっと現実向き合おうや、逃げたらアカンのちゃう?全部見ないとココにも書けないと、(ある意味)泣きながら見た!【レスマッキャン・KSK】さん 0点

2. 何なんでしょうか、この内容は。
全編に渡って「自然を大切に」と言ってるだけ。
物語として何かを語る気がないの?【カラバ侯爵】さん [地上波(邦画)] 0点

 

 

【映画ルーム(132) 変脸 - この櫂に手をそえて 〜 女の子も天を支える 8点】

【かわまりの映画ルーム(132) 変脸 - この櫂に手をそえて 〜 女の子も天を支える 8点】 平均点:8.06 / 10点(Review 62人)  1996年【中・香】 上映時間:101分  オリジナルページは次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3381

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

1930年代の中国四川。四川の伝統芸能である面の早替えの名人で「變臉(変化)の王」と呼ばれる老人は妻も跡継ぎの子供もなく、四川劇の俳優らの伝統芸継承の要望に負けて闇市で売られていた可愛い男の子を買って自分の孫で跡継ぎだと世間に宣言する。老人は男の子を狗子(クーツ=子犬)と呼んで可愛がり、狗子は老人の愛情に答えようとするのに、狗子はなぜか老人に次から次へと不幸をもたらし、終に伝統芸能の継承どころではない状況に・・・・。老人とその跡継ぎの「人間万事塞翁が馬」を地でいくほろ苦く心温まる物語。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 子役が可愛くてその演技が真に迫っていることは巻頭から最後まで変わらず、この作品の内容では当然とも言えるので軽く書いておくだけにして、作品中に登場する老人のペットの猿の表情がその時々に応じて時には哲学的といえるような表情で老人の感情や境遇を反映しているのが印象的でした。こういう猿の細かい表情は訓練してやらせているのでしょうか?それとも、飼われていて表情豊かな(と飼い主が思っている)猿からオーディションでこの採用した?あるいは、表情でコミュニケーションをする猿の群があってそこから抜擢したのでしょうか?四川劇の女形のスーパーヒーロー的なアクションでハッピーエンドとなるのですが、今までなじみのなかった四川劇を垣間見させてくれたのも良かったです。北京の京劇と異なって超自然的な役柄には隈取ではなく仮面を使い、演技もパターン化されていないようです。

10 点の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=3381

10 点の秀逸なレビュー

1. 涙無しには見られない。良い映画です。

【りま】さん 10点

2. お話といい、役者の出来といい、ぜひぜひお勧めです。子役の女の子の素晴らしさに感動、老優も変面を習得して実演してます。あっ、猿も素晴らしい役者ぶりです。(男の子のふりしてる女の子が、おしっこをするのを目撃する猿、そのびっくりする表情にびっくり)他かっこいい京劇の役者もいいなっ。女の子がいじらしくて、けなげでもう泣かされっぱなしでした。その後、中国雑伎団がこの変面をするというので、間近で見てきました。すご技です。【キリコ】さん 10点

3. これほどの傑作を、私は他に知りません。結末は最初から予想できたけど、どんどん引き込まれて、最後は涙でボロボロ。恥ずかしくてしばらく映画館を出ることができませんでした。NHKのBSでも何度か放送してたけど、そのたびに泣きました。【眉山】さん 10点

 

8点(最頻出点)の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=9&TITLE_NO=3381

8点の人の秀逸なレビュー

1. いや~、これは良かった。純粋に。全体的に静かなトーンに包まれて物語は進行していくが、それでいて退屈せずに最後まで観れた。この映画の安定感は、何よりおじいさんと女の子の演技に裏打ちされたものである。このおじいさん、セリフが無くても間や表情で女の子への愛情が伝わってくるし、女の子がおじいさんの気を引くためにするいたずらも然も有りなんといった感じでカワイイ。おじいさんの葛藤を描き切ることがこの映画の全てであるが、2人の役者が見事にそれを成功させている。
【やすたろ】さん 8点

2.  中国映画独特のストレートな人と人との触れ合いを描いた感動作なのだが、今回は時代背景が重すぎて流石に手放しに心温まる作品とは言えなかった。子役は男と間違われる程なので、正直かわいく無いのだが、老人にビクビクする様子など実にいじらしく直ぐに感情移入出来た。特に「観音様は女で拝まれるのに、どうして女の子は疎まれるのか」と爺さんに聞くシーン。爺さんも理不尽と分かっているので言い返す言葉が無い。中国の男女区別の問題は「一人っ子政策」により現在でも、女子の間引きや嫁不足があると聞く。トム・クランシーの小説では、女子が生まれた瞬間殺害される様子が生々しく書かれている。人口増加はそのまま環境問題に繋がってくるので実に難しい問題だと思う。しかし今回、中国の闇の部分をありのままに描いた制作者には拍手を送りたい。【まさサイトー】さん 8点

3. へぇ。。。世の中には色んなタイプの名画があるんだなぁ。。。 中国の歴史的背景や思想、宗教観念などなどが、淡々とした映像美の中に悠然と流れ出てくる。 自分の信念を頑ななまでに守り通す変面王。 恩義、忠義、礼節を真っ直ぐに通そうとするクーワー。 素晴らしい。 個人的には、人観音様が素敵だったなぁ。。。まさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」 カッコイイなぁ。。。 なるほどいい映画です^^【とっすぃ】さん [ビデオ(字幕)] 8点

低得点(2点と5点各一人ずつ)をつけた人のレビュー

1.  《ネタバレ》 こりゃ、いかん、安っぽいヒューマニズム臭が漂い過ぎだ。
大体、あの老人は気色が悪い。
老人と少女との心温まるヒューマンドラマといったところだろうが、陳腐な作りで感動に至らない。

大体、少女が落下して、タイミング良く受け取るシーンなんて、まさに臭すぎ。
都合良すぎる。
全てにおいて胡散臭く、そしてあざとい演出が癇に障った。【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 2点

2. 《ネタバレ》 レビューや評価を見ずに鑑賞しました。監督さんも役者さんもそれぞれ一生懸命頑張って作り上げた、という印象はありますが、個人的に好きといえるほどの作品ではありません。実は女の子だと正体がバレて、中盤あたりまで?この子に辛くあたる變臉王の様子は、たとえフィクションであっても見てて辛かったです。よかれと思ってこの女の子がやることなすこと全てがアクシデントに繋がってしまうという展開にも、う~~~ん・・・・。そこそこ、力強い作品だとは思うのですが。
【☆Tiffany☆】さん [地上波(吹替)] 5点

 

 

 

 

【映画ルーム(131) 白鳥 〜 実現した夢の前奏曲 7点】

【かわまりの映画ルーム(131) 白鳥 〜 実現した夢の前奏曲 7点】 平均点:7.50 / 10点(Review 2人)   1956年【米】104分  元のレビューページ:   https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=6895&

 

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【あらすじ】

アレクサンドラ(グレイス・ケリー)は王室の遠縁に当たる貴族の美しく教養溢れる娘だ。その彼女が両親と住む広大な領地にお妃募集中のアルバート皇太子(アレック・ギネス)が長期滞在することになり、両親は全てにおいて王妃に相応しく育った娘が皇太子に更に気に入られるよう願って居ても立ってもいられない。やがて訪れた皇太子は一家の全てについて調べ上げていたのに何故かアレクサンドラには関心を示さない。そこでアレクサンドラの母と叔父はアレクサンドラの弟たちの家庭教師で若くハンサムなニコラスとアレクサンドラが優雅に社交ダンスを踊るさまを皇太子に見せつけようと画策する。ところがニコラスは本気でアレクサンドラに恋をしてしまう。

 

【かわまりのレビュー】

結婚は誰にとってもプライベートな苦しい道のりです。相手を批判したり、自分の包容力に照らして許容したり、短所や長所、価値観などを天秤にかけたり。。。それがこと他人事、特にセレブのことになると外野の声援や批判の喧しいこと! 日本では某なんとかの宮様の娘について噂がやかましいけれど、かの王女様の立派な伯父様(はっきり申し上げてすみません。今上天皇陛下です)が皇后陛下に求婚中だった時には宮内庁職員が運転するワゴン車の後部座席に乗って皇居を脱出して雅子様とデートされたとのことです。その間、「あの皇居から出てきたワゴン車を終え!」などという事態になったら、わたしの想像では当時の皇太子殿下は登山の時に被られる縁なしのチューリップ帽を目深に目のすぐ上にまで下ろし、車が赤信号で停車する度に後部の窓から覗かれても大丈夫なように座席で身をよじって。。。 外野から見ると「ピッタリなお二人やん。行け行け!」なのですが、お二人にとっては引き返すことができない橋を渡るか渡らないかの瀬戸際で周囲の声を聞くよりは自分の心の声に耳を澄ます必要があるのです。本作品のアルバート皇太子はお妃探しでヨーロッパ中を巡り、アレクサンドラの館にたどり着いた時にはすでにアレクサンドラを自分の伴侶で未来の王妃と定めていたらしいのですが、到着と同時にセレブ同士の求婚につきもののコメディーが始まるわけです。アレクサンドラの母の兄か弟が俗人ではなく修道士で皇太子のズッコケの真意を見抜いているらしいのが人物配置として面白いです。終わり近くで修道士が皇太子に「殿下の人格に敬服します。」と言い、皇太子が「加えてわたしは嘘つきでマヌケです。」というところなど、2人がくっついたら領地や屋敷はどうなるなどという俗物の関心が皆無の修道士、そしてアレクサンドラに対する愛情をひた隠しにした嘘つきでアレクサンドラの自分に対する愛情に気づかなかった自分のマヌケさを告白する純粋な人間同士の触れ合いが花火のように目に見えました。

 

もう一人の方のレビュー

3人目のルイ・ジュールダンが出てきてはじめて成立するお話だが、彼の本能的な演技に三角関係のキーマンとして存在感を感じ、助演がいかに大切か認識した。カラーでみるグレースケリーはホント美しい、この映画が最後というのがホント残念。【スルフィスタ】さん 8点