かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(135) 聖衣 〜 世界宗教の礎(いしずえ) 9点】

【かわまりの映画ルーム(135) 聖衣 〜 世界宗教の礎(いしずえ) 9点】 平均点:6.50 / 10点(Review 6人)  1953年【米】 上映時間:124分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=15800

 

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【あらすじ】

ローマ帝国第三代皇帝のカリギュラの治世。ローマ貴族のマーセラスはパレスチナ護民官として恋人のダイアナと別れて赴任するが、ギリシャ人従者のディミトリアスゴルゴタの刑場で手に入れた赤いマントに触れてから精神が不安定になる。イエス・キリストを救世主として崇める新興宗教の集会を取り締まろうとした同僚と悶着を起こし、ローマに戻されたマーセラスはディミトリアスが所有するマントの焼却を命じられるがなぜか実行できず、ローマ近郊の地下に集まるキリスト教団に合流する。マントをダイアナに託し、捕らえられて拷問を受けるディミトリアスを信徒と共に奪還するに及び、マーセラスは皇帝以外を崇める新興宗教を一切禁止するローマ政府と真っ向から対立することになる。

 

【かわまりのレビュー】

この作品を初めて見たのはまだ小学生の頃だったと思います。イエス・キリストの生涯については新約聖書を子供向きに書き直したものを読んでいたものの本作品とオーバーラップする箇所はロングショットで映されるイエス・キリスト磔刑のシーンしかなく、世界史(ローマ帝国)についての知識は皆無でしたがなぜか子供の頭にもすんなり入る内容だったことを記憶しています。もう一度鑑賞してみてその理由を探るとやはり若き日のリチャード・バートンの西洋流チャンバラの負うところが多いのではないかと思います。兜のてっぺんの赤い飾りが特長的なローマ武将(護民官)がキリストの磔刑の警備に当たっていたと思ったら次のシーンで同じ格好の同僚とチャンチャンバラバラ。。。視覚的に非常にわかりやすかったです。この映画が作られた1953年にはチャールトン・ヘストン主演の「十戒」が制作され、1959年には同じヘストン主演のハリウッドの記念碑的作品の「ベン・ハー」が作製されます。日本にとって戦国時代が汲めども尽きないドラマとスペクタクル源泉になっているように、キリスト教国のアメリカではまずは聖書がスペクタクルとドラマの源泉と映画界は捉えたようです。そして日本の戦国時代を舞台とする映画作品がカオスによってその後三百年弱の江戸時代の太平の礎(いしずえ)が築かれる様を描いているように、聖書を題材とする多くの映画作品はイエス・キリストが生きた時代に原始宗教が主流だった世界に唯一絶対神の下での統一された道徳観を人類の大半にもたらす礎石が築かれる過程を描いているのです。

 

6人しかレビューワーがいないので他のレビューは上記のURLを参照してください。

 

秀逸なレビュー

《ネタバレ》 続編「ディミトリアスと闘士」から先に観てしまうという掟破りの鑑賞法。続編の冒頭で、この作品の結末が明示されていたので、ああ、多分これがこうなってああいう結末になるんだなあって見てると、まさしくその予想通りになる(笑)続編は娯楽大衆色が強いスペクタクル的アプローチに対し、こちらはより宗教的、しかも大真面目で立派な作りになってますね。世界初シネマスコープ方式採用作品として、映画史に残る著名な映画ですが、今となってはブラウン管で見る限りどうという事もない。キリスト教信者の方なら、これは非常に有難いっていう内容なのかな?信者でない自分にはその辺は良くわかりかねます。DVDジャケットの逝っちゃってる(←悟りを開いたともいう)護民兵リチャード・バートンの表情がこの映画の全てを語っているとも言ってよいかも。まだ信仰がそれほど篤いようには見えない、ダイアナ(ジーン・シモンズ!美しい!)を神の国に連れて行くっていう結末は・・・ど~なんだろねえ・・・。ラストシーン、お二人のあまりに幸福そうな表情を見ると、キリスト教に限らず宗教とはまるで縁がない自分としてはちょいと複雑な気分に。まあ当人さえよければそれで大円団なのか。ハ~レ~ル~ヤ~!!【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 6点