かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(131) 白鳥 〜 実現した夢の前奏曲 7点】

【かわまりの映画ルーム(131) 白鳥 〜 実現した夢の前奏曲 7点】 平均点:7.50 / 10点(Review 2人)   1956年【米】104分  元のレビューページ:   https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=6895&

 

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【あらすじ】

アレクサンドラ(グレイス・ケリー)は王室の遠縁に当たる貴族の美しく教養溢れる娘だ。その彼女が両親と住む広大な領地にお妃募集中のアルバート皇太子(アレック・ギネス)が長期滞在することになり、両親は全てにおいて王妃に相応しく育った娘が皇太子に更に気に入られるよう願って居ても立ってもいられない。やがて訪れた皇太子は一家の全てについて調べ上げていたのに何故かアレクサンドラには関心を示さない。そこでアレクサンドラの母と叔父はアレクサンドラの弟たちの家庭教師で若くハンサムなニコラスとアレクサンドラが優雅に社交ダンスを踊るさまを皇太子に見せつけようと画策する。ところがニコラスは本気でアレクサンドラに恋をしてしまう。

 

【かわまりのレビュー】

結婚は誰にとってもプライベートな苦しい道のりです。相手を批判したり、自分の包容力に照らして許容したり、短所や長所、価値観などを天秤にかけたり。。。それがこと他人事、特にセレブのことになると外野の声援や批判の喧しいこと! 日本では某なんとかの宮様の娘について噂がやかましいけれど、かの王女様の立派な伯父様(はっきり申し上げてすみません。今上天皇陛下です)が皇后陛下に求婚中だった時には宮内庁職員が運転するワゴン車の後部座席に乗って皇居を脱出して雅子様とデートされたとのことです。その間、「あの皇居から出てきたワゴン車を終え!」などという事態になったら、わたしの想像では当時の皇太子殿下は登山の時に被られる縁なしのチューリップ帽を目深に目のすぐ上にまで下ろし、車が赤信号で停車する度に後部の窓から覗かれても大丈夫なように座席で身をよじって。。。 外野から見ると「ピッタリなお二人やん。行け行け!」なのですが、お二人にとっては引き返すことができない橋を渡るか渡らないかの瀬戸際で周囲の声を聞くよりは自分の心の声に耳を澄ます必要があるのです。本作品のアルバート皇太子はお妃探しでヨーロッパ中を巡り、アレクサンドラの館にたどり着いた時にはすでにアレクサンドラを自分の伴侶で未来の王妃と定めていたらしいのですが、到着と同時にセレブ同士の求婚につきもののコメディーが始まるわけです。アレクサンドラの母の兄か弟が俗人ではなく修道士で皇太子のズッコケの真意を見抜いているらしいのが人物配置として面白いです。終わり近くで修道士が皇太子に「殿下の人格に敬服します。」と言い、皇太子が「加えてわたしは嘘つきでマヌケです。」というところなど、2人がくっついたら領地や屋敷はどうなるなどという俗物の関心が皆無の修道士、そしてアレクサンドラに対する愛情をひた隠しにした嘘つきでアレクサンドラの自分に対する愛情に気づかなかった自分のマヌケさを告白する純粋な人間同士の触れ合いが花火のように目に見えました。

 

もう一人の方のレビュー

3人目のルイ・ジュールダンが出てきてはじめて成立するお話だが、彼の本能的な演技に三角関係のキーマンとして存在感を感じ、助演がいかに大切か認識した。カラーでみるグレースケリーはホント美しい、この映画が最後というのがホント残念。【スルフィスタ】さん 8点