かわまりの映画評と創作

読書ルームではノンフィクションと歴史小説を掲載

戻ってきました!(その3) 〜これからのエントリー作品について

半年ほどにもなったでしょうか? サボりの言い訳がどんどん長くなってしまいましたがこの言い訳で一番重要なのは次の連載のテーマです。次作の「黄昏のエポック ~ バイロン卿の夢と冒険」はいわゆる歴史小説と言われる日本の文壇の得意分野で司馬遼太郎ほどは事実にべったりではないけれど吉川英治山本周五郎ほどには事実から乖離せず、最後に事実との異同のコーナーを設けましたがそれには(種明かしというほどではないのですが)理由があります。プロメテウス達よ」と同じくアマゾンで電子出版(有料)で配布しています。アマゾンでの出版はウェブでの無料公開を前提に著作権を明確にしておくという目的のためでこのサイトではもちろん無料でご覧いただけます。改訂を経も既に購入してくださった読者の方だけに無料公開できるなら電子書籍リーダーをお持ちの方には読みやすい有料版をお勧めしたいのですが今のところ定かではなく、日本の家電メーカーに一踏ん張りして電子書籍リーダーの一層の普及を図っていただきたいところでもあります。

 

留置場(によく似た施設)に入所する直前には巷を騒がしていたのは例の流行病の567で、勤め上げて娑婆に戻った時にはアメリカの大統領選挙の終盤戦でした。そしてこの作品のテーマはずばり、ロマン主義民族主義です。567はここ何十年かの間のグローバライゼーションの趨勢にとどめとはいかないまでもブレーキをかけ、かたやアメリカ大統領選挙は同じ言語や理念(アメリカの場合は民主主義や言論の自由)の土俵の上での多様な価値観のぶつかり合いを見せつけてくれる正に民族主義のお手本でした。と言ってもわたし自身、ことロマン主義民族主義の2つに関する限り、これら2つががどう絡み合っているのか理解しているわけではありません。ただ、19世紀のイギリスの詩人のバイロン卿がこの2つを体現していたと言われています。そして彼の弟分だった詩人のシェリーが科学的思考に基づいたロマンチストで楽天家、バイロンの妹分でシェリーの妻のメアリーは現代の生命倫理にも通じる「フランケンシュタイン」を19歳の若さで執筆した天才という多彩な顔ぶれが登場します。「プロメテウス」と関連した映画がわたしがこのサイトで取り上げたのものが「コペンハーゲン」の一作だけなのに対し、「黄昏」の方は「幻の城(https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/05/17/070356)」、「フランケンシュタイン (https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/05/19/100331)」、「ドンファン・デ・マルコ (https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/05/16/160821)」の他にも「レディー・キャロライン」など目白押しです。

 

本作品を電子版でしか発表したくない理由はやはり、各章を独立して読むことができる短編として読み進んだり時間を追って読んだりと読者の好みによって読み方を変えられることと、大部分がわたしの空想によるものとは言え「プロメテウス」と同じく事実に基づいていることから、読者皆様に史実に照らしながら読んでいただくためのリンクを張り巡らせたいからです。

 

【参考】

ジョージ・ゴードン・バイロン (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3?wprov=sfti1

ウィキペディアの記事ではバイロンは大学時代に放埒な生活を送ったと書かれていますがバイロンの豊富な語彙や旧約聖書ギリシャ・ローマの古典に至る豊富な知識は弛まない努力の賜物です。ただ事実としてはバイロンには金銭感覚がかなり欠如していたらしく、また当時の大学では既に爵位を持っている学生は18歳以上であれば議会に出席するためか授業への出席日数や試験の成績が不足していても学位を授与されて卒業できたようです。

 

パーシー・ビッシュ・シェリー  (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC?wprov=sfti1

 

メアリー・シェリー   (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC?wprov=sfti1

 

 

 

 

黄昏のエポック ~ バイロン卿の夢と冒険


目次

第一話 レマン湖の月 (一八一六年夏 スイス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/22/224548

第二話 優しき姉よ (一八一四年 ~ 一八一六年春 イギリス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/27/222851

第三話 ため息橋にて (一八一六年秋 ~ 一八一八年初 イタリア)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/30/211153

第四話 青い空、青い海 (一八○九年夏 ~ 一八一一年秋 ポルトガル→スペイン→アルバニアギリシア→トルコ→ギリシア→イギリス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/12/08/224147

第五話 小公子 (一七九八年夏 ~ 一八〇二年夏 イギリス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2021/01/02/230034

第六話 若き貴公子 ((一八○五年夏 ~ 一八○九年夏 イギリス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2021/01/12/165622

第七話 レディー・キャロライン (一八一二年 イギリス)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2021/01/30/192158

第八話  暴風雨 (一八一八年 ~ 一八二二年 イタリア)

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/22/224548

第九話 スコットランドの荒野にて (一七九八年夏 イギリス)

 

第十話 ギリシアに死す (一八二四年春)