かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(157) タクシー運転手 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 9点】

【かわまりの映画ルーム(157) タクシー運転手 〜 韓流ドラマは苦手だけれど…歴史がそこにあるということ 9点】  平均点:7.58 / 10点(Review 19人)  2017年【韓】 上映時間:137分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=24548

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじの独り言】

韓国語は勉強しようと思ったことがなくいちいち英語字幕を読むのが面倒だったので勘弁願います。もう一度じっくり見てから書くかもしれません。あるいは「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)の会員の方どなたかお願いします。

 

【かわまりのレビュー】

主演男優の喜劇役者っぽい風貌のジャケットに惹かれてブルーレイを購入してしまった韓流ビデオ3本目です。これを見て韓国よりもどちらかと言えば中国寄り(政治的にではなく文化的に、もっと言うと映画的に)のわたしは「ああ天安門事件の映画はいつ製作されるのだろう?」と思ってしまいました。この作品が扱っている光州事件の引き金となったのは金大中氏の拘束だったと伝えられています。その金氏が大統領に選出され、歴代の韓国大統領の中では唯一かもしれない老衰による穏やかな死を遂げられてからもうしばらくになります。天安門事件もそうでしたが渦中にある人間には結構何が起きているのか訳がわからないことが多いのです。この作品の邦題にはぱっと見では訳がわからない副題がついていますがその訳は巻頭ですぐに理解することができます。重要脇役と言っていいドイツ人ジャーナリストの決死の光州への潜入が物語の鍵になっています。そして銃声から倒れる人々、銃弾が発せられた方向までの詳細な映像記録が光州で起きたこの民衆蜂起の本質が何であったのかを如実に物語り、韓国の現代史の貴重な1ページとなっているのです。これは実態が何だったのかわからない従軍慰安婦や徴用工(応募工)よりもはるかに重要な、韓国国民が誇るべき歴史だと思うのですがさて、韓国の現状はどうなのでしょうか。。。 終盤のカーチェイスはやはりハリウッドの真似かと思わせます。まあハリウッドの何を真似しようがテーマがオリジナルであれば瑣末事ではありますが。。。

 

 

9点(最高点)をつけた方のレビュー (わたしも9点をつけました。)

1.《ネタバレ》 2018.4.27金正恩軍事境界線を超え南に、金正恩文在寅が手をつないで北に行った日。
その翌日に1980年の光州事件を題材にした力作を見ました。
韓国映画の底力がすごい!自分の国の負の歴史、軍隊が自国民に銃口を向けたこと、しかも真実が隠されたこと、それをエンタメ映画にしてしまう。そこが韓国映画とソンガンホのすごさであり、受け入れる大衆の強さなのでしょう。セクハラで右往左往している国との違いでしょうか。

ソンガンホが演じる役は、いつもリキミがなくてちゃっかりした普通の庶民。
今回も滞納家賃を稼ぐ為、外国人レポーターを、そうとは知らずにタクシーに乗せ危険区域まで走らせてしまう。真実を何も知らないタクシー運転手は、歴史を何も知らない視聴者と共に、歴史の不条理を目の当たりにします。ちゃっかり者だったはずの運転手が、観て、震えて、感じて、泣いた、その気持ちを私たちも共に味わう。すごい映画です。それでてエンターテイメントです。
この映画の面白さと醍醐味を楽しむファンがたくさんいるんですね。立ち見までいました。今時立ち見席のある映画館があるんですね~。驚きました。【LOIS】さん [映画館(字幕)] 9点

2.「パラサイト」つながりでソンガンホ主演作を見ることにした。
自分がボーッとしていたのかもしれないが、こんな良い作品があったことを全く知らなかった。
登場人物に人間の良心を感じる。これはオススメです。【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 9点

 

【独り言】

本作品から判るように、韓国の民主主義は血で贖われたものなのです。フランス大革命やアメリカ独立、アメリカの南北戦争でも流血によって参加した人々は貴重なものを得ることができました。でも昨今の韓国を見る限り、韓国の人々はそのことの真髄に気付いているのだろうかと疑問に思わざるを得ないのです。韓国の民主主義は血によって得られたと認識してはいてもその民主主義とは何なのか果たして分かっているのかどうかが疑問なのです。民主主義とは決して多数決ではありません。多数決とは民主主義という過程を締めくくる儀式のようなものであってそこ至るまでに代表となるものが意見を戦わせ少数意見の長所を取り入れ、選ぶ者と選ばれる者とが知見を広めていってこそ儀式としての多数決により多くの人々の利害と見識が反映されるはずであり、だからこそ人々は自分たちの選択に責任を持つという責任が生まれると思うのですが、韓国では蝋燭デモによる朴槿恵大統領の弾劾の過程を見る限り国民が自分たちが選んだ朴槿恵大統領に責任を持ったとは到底思えず、大統領に対して正義の鉄槌を下したと言えば聞こえはいいけれど結局は大統領の私的な友人に対する妬みがに突き動かされて自分たちに直接影響する経済政策について全く無知だった文在寅大統領に選んでしまったとしか思えないのです。そして文在寅が取った左寄り路線は韓国経済を破壊したのみならず、北朝鮮に接近することによって今や言論の自由や人権など民主主義の根幹までが揺るがされているような気がしてなりません。韓国国民はもう一度光州事件によって流血という代償を支払った民主主義の本質について考えていただきたいものです。