かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(156) シュリ 〜 韓流ドラマは苦手だけれど… 7点】

【かわまりの映画ルーム(156) シュリ 〜 韓流ドラマは苦手だけれど…南北分断版ロミジュリ 7点】 平均点:5.82 / 10点(Review 264人)  1999年【韓】 上映時間:125分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=567

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

韓国政府諜報部員のジュンウォンは恋人ミョンヒョンとの結婚を控えていたが北朝鮮の女性諜報部員が犯人とみられる韓国要人射殺事件の解明に余念がなかった。おりしも新種の大量破壊兵器北朝鮮のしわざと考えられる巧妙な手口で奪われて兵器の移動や韓国側の諜報部員の動きが全て北朝鮮側に先読みされているという恐ろしい事実が発覚、南北共同開催によるワールドカップ・サッカー大会を控えた韓国諜報部は警戒を強める。一方、私生活では理由もないのに酒にのめり込むミョンヒョンをジュンウォンはどうすることもできなかった。

 

【かわまりのレビュー】

冒頭だけでもいいですからアメリカの政府高官やCIAの人に是非この映画を見てほしいです。国家を最優先して指令どおりに殺戮と破壊を行うことを使命として国家とは何かなどと考えもしないような人間を養成する某国と国境で接したり大陸間弾道弾の射程距離に入っている韓国や日本のことを、イラクに行く前に考えてほしかったです。ハリウッドばりの派手なアクションや撃ち合いが見せ場ですがハリウッドがこの手の現代物の作品を作っても国家やイデオロギーの対立までは描けず、せいぜいギャングの撃ち合い程度の作品に終わるだけでしょう。貧しい北朝鮮と豊かな韓国の日本と変わらない日常生活との対比にも考えさせられました。でも北朝鮮の諜報部員が「北の人間が飢えているのに南の人間は・・・。」なんて言ったりするでしょうか・・・。北朝鮮は日本や韓国の国民は資本主義の重圧と搾取に喘いでいると頭から思い込んでいるはずなんですが・・・。(でもこれはさほど重要なことではありません。)北朝鮮よ、くやしかったら資本主義の重圧に喘ぐ人民を救済するスーパーマン映画でも作って日本やアメリカでヒットさせてみろ!韓国と朝鮮が東西ドイツのようにハッピー・エンドに終わることを願って、この悲しいストーリーは娯楽系作品に私がつけることにしている最高の8点-1点とします。

 

10 点満点をつけた方の中から秀逸なコメント

1. メッセージ性と娯楽性をともに備えた秀作だと思います。、、、、、(誤解があるかもしれませんが)、、、、チェ・ミンシクの狙いは、南北の両首脳、つまり金正日金大中を同時に抹殺して、その混乱に乗じて南北統一を図ろうというもので、赤色革命を行おうというものでは決してないですよね。もちろん、直接名指しで登場すると問題もあるので、金正日金大中という名前は使ってないけど。、、、、、、彼らの目標は、北のような社会主義ではなく、あくまで祖国統一。将軍まんせいなんて一言も言っていない。、、、、、北朝鮮の悲惨な状態を野放しにしている金正日、そしてそれを容認している金大中太陽政策に対する、痛烈な批判。、、、、彼らのテロを、ヤンゴン事件や大韓航空機爆破事件と重ね合わせてしまい、チェ・ミンシクのターゲットが金正日であるということを見落とすと、全然違った、どうしようもない映画に見えてしまうでしょう。、、、、キム・ユンジンも南と北のどちらをとるかで揺れているのではなく、祖国統一と南での個人的幸福の間で揺れている。(社会学者のM台氏もちゃんとみてんのかなぁ??、、、M台氏は、この映画は北を批判していないとか、太陽政策の肯定だとかいっているけど、何をとぼけたこといっているのだろう。キム・ユンジンが最後に狙う、警備された車に乗っているのは、誰だと思ったのか!!!! 金正日か、金大中かどっちかでしょ!!!!)、、、、、私の個人的な思いこみかもしれないですが、キム・ユンジンが最後まで狙ったのが金正日だと仮定して、キム・ユンジン最後のシーンを思い浮かべると、これを書いている今も、あふれる涙を抑え切れません、、、、。【王の七つの森】さん 10点

2. とにかく泣けました。一日で二回見た映画はなかなかありません。二回とも泣いてしまったな~。日本語版で見たのですが、同じアジア人のせいかなんの違和感なく台詞が耳に入ってきました。評価が低いのは字幕バージョンのせいなのかな??日本語版で見るのをお勧めいたします。【シネマパラダイス】さん 10点
3. 《ネタバレ》 意外に少ない「泣けるアクション映画」の傑作。アメリカのアクション映画が確立した「お約束」を使って、独自性のあるストーリーを盛り上げ、感動のクライマックスに導いている。特に「(言葉で上手くあらわせないが)銃を向け合って円陣で囲む」構図は、以前から存在したものだが、効果的に多用されていて、かっこよかった。ところでラストで、ヒロインの銃は、大統領の車に撃った時点で、弾切れだった(装弾数は5発と、最初の方に説明がある)。だから主人公が彼女を撃つ必要は、実は全く無かったのだ。それでも撃ってしまったところに、やるせなさと切なさを感じずにいられない。【IKEKO】さん 10点

 

0点をつけた方からのコメント

アジア映画がハリウッドまがいの映画つくってもしかたない。韓国映画も日本映画のように自分の国らしさをだすべきだ。そうすれば世界の評価も高くなり、荒野の七人やスターウォーズのように向こう(ハリウッド)の方がパクろうという気になるわけだ。ハリウッドは絶対なものではないという意味をこめて、ハリウッドを絶対視したこの映画はあえて厳しく0点。【ワオキツネザル】さん 0点

 

【独り言】

民族の南北分断下での南のエリートと北の工作員のロミジュリ物語という韓国でしか扱えないテーマであることにプラスの評価、そして0点をつけた方の代表意見のようにハリウッドの真似をしてストーリー以外の美術やアクションで韓国らしさを出していないところを大きなマイナスとせざるを得ない作品です。この作品が発表された年はベルリンの壁崩壊からすでに10年、チェルノブイリ原発事故でソビエト連邦の隠蔽体質や国際協調精神の欠如が明らかになり、ソビエト連邦は崩壊していたのにわたしたち日本人の分断国家の片割れである韓国に対する同情は色濃く残っていました。