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【映画ルーム(175) ダ・ヴィンチ・コード 〜 映画・書籍向けではなく絵本向きだけど…8点】

【映画ルーム(175) ダ・ヴィンチ・コード 〜 映画・書籍向けではなく絵本向きだけど…8点】 平均点:5.06 / 10点(Review 252人)    2006年【米】 上映時間:150分

 

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=23470&TITLE_NO=3305#HIT

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

夜のルーブル美術館。謎の修道士によって館長が銃撃される。彼は自らダヴィンチのデッサンの如き姿となり息絶える。不可解な暗号を残して。フランス警察の捜査線上には、館長と面会を約束していたハーバード大のラングドン教授が浮かび上がるが、館長の孫娘ソフィーによって彼は逃亡する。そして、彼らの逃避行はキリスト教の謎に迫る旅へと続いていくのだった。名匠ロン・ハワードダン・ブラウンのベストセラーを映像化!【ぽこた(ぺいぺい)】さん

 

あらすじ執筆者のページ  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=24382

 

【かわまりのレビュー】

酷評が多くて期待がなかったせいか、楽しめました。時間も長いとは感じませんでした。原作を読んだ感想が「あまりにいろんなことを詰め込みすぎている。」だったので要領よくまとめた脚本家とハワード監督にとりあえず拍手。黒幕の逮捕もごちゃごちゃした説明なしのほうが素直に受け入れられます。キリスト教に関する知識も「イエス・キリストキリスト教創始者」くらいでいいんじゃないでしょうか?キリストがどのように死んだかとかさえも作品を見るのには関係ありません。暗い色調の映像が美しく、英語のセリフを耳で追う人にとっては特にオドレイ・トトゥのフランス語訛りの英語が聞きづらいこともあり、解説者が黙っていたらもっと価値があがるような、NHKのお金をたっぷりかけた美術紹介番組に似たようなものだと思って見ればいいのです。見る価値はありということで、超甘の8点献上。

 

【あらすじ執筆者のポコタ(ぺいぺい)さんのレビュー】

興味はあったものの、原作を読まずに観てしまったのは失敗だったかもしれません。壮大とも言えるテーマを2時間半に収めるのは、確かに至難の業だったでしょうね。あまりに都合のいい展開は、ついつい突っ込みたくなること請け合い。結果的に、お約束どおりの意外性のないドラマに仕上がっています。出演者の熱演・好演は作品全体の質を高めていると思えますが、物語としての面白み、歴史ロマンとしての魅力はどうでしょうか?スピーディで飽きさせない演出の数々は流石と言う出来ですが、何か物足りなさを残した作品です。【ぽこた(ぺいぺい)】さん [映画館(字幕)] 6点

 

【恒例になりかけていますがYouTubeからの特別出演】

元財務官僚でつい最近まで内閣参与(タダみたいな報酬で内閣に助言する官僚OBや学識経験者)の高橋洋一さんが一言 →   https://youtu.be/Hp4L33PKDtU

 

最高点の8点をつけた方のコメント(10 点と9点をつけた方はいません)

1. 《ネタバレ》 原作を読んでいないと分からない、原作読んでいて知識がありすぎると物足りなさを感じる、そんな映画だったと思う。あの長編を2時間半にまとめるには、すべてを描くわけにいかなかったと思うけれど。導入部分は大雑把。暗号の巧みさが各所に出てるシーンなのに、早急に進められてすべて無。嫌疑かけられて逃げただけのシーンになってしまった。せっかくのルーヴル撮影はなんだったんだろうか。銀行のシーンは、ラングドンが天才になっていた。「一度しかチャンスがない」と言われているのに、悩む余地なく暗証番号を打ち込める勇気に感心。一方で、他が省略されてる割にはテービング邸のシーンは長めだし、バランスが悪かった。ただ、良くも悪くも全体のストーリーとしては忠実に再現されていたし、素直に見たら映画として悪くなかったので、個人的には好きなんだけど。最後のシーンは原作通りの方が良かったなと思う。【智】さん [映画館(字幕)] 8点
2.《ネタバレ》 期待が大きかった分、評価は厳しいようですね。
原作を読んだ人にとっては、物足りなく感じ、未読の人にとってはストーリー展開が速く、情報量の多さについていけなくなってしまうようです。キリスト教の歴史についてある程度の予備知識があった方がよいでしょう。ダ・ヴィンチの絵画の解読が中心だと思うと、肩透かしをくらいます。キリストの隠された秘密を探し出すといったサスペンス系のストリーです。自分にとっては宗教には興味ないが歴史物は結構好きな分野なのでまあまあおもしろかったです。フィクションだけどここまで解明したのだから、真実をだれか究明してほしいと思います。【nishiken】さん [映画館(字幕)] 8点
3.《ネタバレ》 多少長い小説であっても読んでからこの映画を観ることをお薦めする。直前に原作を読んで大正解だった。この直前というのがポイントで、映画の情報を得てから主人公は原作にあるハリソン・フォード似ではなくトム・ハンクス(結構重要に感じた)に修正し、また暗号解読過程、小道具を勝手な映像を想像しながら読んだことが実際の映画とリンクしてとても生きた。映画単独の評価とは言い難い物になり、脇に逸れていく感もあるが、この類の映画と原作の関係はそういうものなのかも知れない。【monteprince】さん [映画館(字幕)] 8点

 

原作を読んでおくべきだったという意見が多いですね。次に原作を読んだ後に映画を見て8点をつけた方の秀逸なレビューを載せますが、わたしはおそらくその方よりも利点がありました。わたしが映画鑑賞前に読んだのは著者のお墨付き付き、写真・挿絵入りの版(英文)でした。キリスト教徒でもない読者には視覚からも情報をインプットできる写真・挿絵入りでないと原作は堪能できないと思います。

 

4.  原作は夢中になって読んだ。その謎は僕らのイマジネーションを刺激するのに充分衝撃的だったし、尚且つそれなりのリアリティがあった。しかし、ミステリーとしては一流だけど、サスペンスとしては三流だったかもしれない。スリリングなオープニングの展開がサスペンスとして持続していないのは、やはり拍子抜けの感が否めない。それは著者がサスペンスよりも歴史ミステリーを優先させたからなのか、単なるプロットとストーリテリングの能力の問題なのかよくわからないけど、なかなかこの2つを兼ね備えた作品というのはないようである。だけど単純に言えば、僕はこの作品が好きである。それは、この作品のミステリー部分が僕の歴史的記憶にとてもマッチしたからだ。

映画にしろ、小説にしろ、音楽にしろ、作品とはそれ自体がイマジネーションであると同時にそれは僕らのイマジネーションを補完するものである。作品の技術的な良し悪しがあるのと共に、作品が僕個人のイマジネーションに共振し、僕個人の物語を補完する。それがどのように僕を掴み、震わすのか?そういった評価軸は絶対個人的にのみ存在し、それこそが作品に対する絶対的評価になり得る。(評価とはそもそも絶対的でしかありえない) だから敢えて言うけど、この『ダ・ヴィンチ・コード』という映画は、『ダ・ヴィンチ・コード』という小説世界を映像として補足しているだけのものであるにもかかわらず(というかだからこそ)、小説を読んだものにとって、この映画は小説の映像的な補完として違和感なく受け入れられる。『2001年宇宙の旅』が映画とノベライゼーションでワンセットの作品であった、、、のとは意味合いがちょっと違うかもしれないけど、映画がその映画だけで評価されなければならないという決まりは全くないのである。
つまり、僕の映画『ダ・ヴィンチ・コード』の評価は、映画単独での評価というよりも作品として小説とワンセットとなっていることが前提なのである。

あと、、、実在するオプスデイやバチカンをあからさまに非難する姿勢はなかなかすごい。オチのつけられなさはこの作品の性質上自明であるとも言えるが、そこに明確な思想というかイデオロギーが全くないところも現代的でこれまたすごい。なんというか、如何にもアメリカ的な「能天気な合理的過激さ」とでも言うべきものがある。。。【onomichi】さん [映画館(字幕)] 8点

 

低い点の方の意見は0点の方のもののみを掲載して後は1点と2点の方のURLだけで失礼します。

《ネタバレ》 つ、つまんねー。これは映画じゃないよ。原作小説を紹介するための金のかかった“特番”ってレベル。もっと原作を咀嚼して大胆にストーリーを変えるべきだったね。案の定、ハンクスは魅力に欠けるし、トトゥもソフィーには合ってなかった。ついでに言えば監督もロン・ハワードみたいな安全牌じゃなくて、もっとシリアスなタイプにすべきだったね。ベストセラーが原作なんだから、スターを揃える必要なんて無かったし、その金を脚本家に回すべきだった。これはソニー・ピクチャーズのお偉方の失敗だね。金に目がくらんで創造性を忘れたら、こんなモンが出来てもしょうがないね。
【トマシーノ】さん [映画館(字幕)] 0点

(1点)  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=2&TITLE_NO=12666

(2点)  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=3&TITLE_NO=12666

2点をつけた方のコメントで秀逸なものを見つけました。本作と原作の概要もわかります。原作はキリスト教国では結構、宗教的な衝撃を読者に与えたんですよ。

 

《ネタバレ》 「今年最大の事件が遂に始まる。」「この事実が知らされたら世界は破滅する。」様々なキャッチコピーに胸躍らせ、いつものように予備知識ゼロで劇場へ行ってまいりました!!そして私を襲った驚愕の事実・・「キリストは実は人間だった!」「キリストの末裔はまだこの世界のどこかで生きている!」!!!えええええぇぇぇぇええええ!!!!          た  っ  た  そ  れ  だ  け???!!!「キリストが人間」(何を今さら)で「その子孫がまだ生きていた」としても 私  の  日  常  生  活  に  は  何  の  影  響  も  あ  り  ま  せ  ん  が  な  に  か?
そんなもの「カルーセル麻紀は以前は男だった!」って言うのと同じかそれ以下のレベルのインパクトしかありません。だいたいキリストの末裔がソフィーだってことくらい始まって30分も過ぎれば誰にでもわかる。最後の最後まで気づかなかった超鈍感男が劇場内でトム・ハンクスただ一人とあってはもうミステリーともサスペンスとも呼べる代物ではありません。 嫁さんいわく「原作はとっても面白かったのよ。」の言葉に免じて2点だけ差し上げましょう。
【S.H.A.D.O.】さん [映画館(吹替)] 2点(2006-07-25 20:14:31)(良:1票)(笑:6票)

 

わたし(かわまり)自身は写真・イラスト付きの書籍を読んでよかったと思うので、それを考慮すれば主演のトム・ハンクスやイギリス人シェイクスピア俳優で本作では悪役のマッケナンが案内役のNHK教育テレビ版、アメリカで言えばナショナル・ジオグラフィックPBS版の映像をフィクションと上手く組み合わせる方法もあったのではと思います。「アポロ13号」のロン・ハワード監督はそういうのが得意そうなのにね。0点をつけた方の失望がよくわかります。フランス語訛り丸出しでボケた発音の英語を話すソフィーさんに「イエス・キリストの末裔なら水の上を素足で歩くくらいのサービスをして欲しかった。」とのたもうた方のコメントは見つけられませんでした。