かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(171) オーケストラの少女 (再) 〜  アメリカ式不況の乗り切り方. 10点】

【かわまりの映画ルーム(171)  オーケストラの少女 (再) 〜  アメリカ式不況の乗り切り方. 10点】1937年【米】 上映時間:84分 平均点 7.08/10点  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=4320

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

このブログは2019年末から始まったコロナ禍に際してアメリカの音楽・演劇・チームスポーツ・興行などが被った苦境に思いを馳せて既にアップしてあった映画ルーム(11)に加筆したものです。

 

【あらすじ】

失業中のトロンボーン奏者ジョン・カードウェルは職を得るため、公演中の指揮者ストコフスキーに直談判するが相手にされず、追い返される。彼はその直後、財布を拾うが、落とし主が見つからず、そのまま帰宅、滞納した家賃を催促されたため、財布の金に手をつけてしまう。ジョンの娘で歌の上手なパッツィは、財布を落とし主のフロスト夫人の家へ返しに行くが、婦人に気に入られ、成り行きでパーティで歌声を披露、優秀な演奏家が100人も失業していると訴える。夫人は気紛れにオーケストラを作ったら、スポンサーになると口約束をする。【くなくな】さん

あらすじ執筆者のページはこちら →  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=24212

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 いかにもアメリカ的な能天気な作品です。社会のどこかに眠っている本来なら輝く才能をもった人材が適材適所で活躍して人々賞賛を得ることができれば経済恐慌も不景気もなんのその、という考え方は本当にそうあってほしい理想です。結局、現実では大恐慌後のアメリカはルーズベルト大統領のさしがねで暗号を解読してあらかじめわかっていた日本軍による真珠湾攻撃看過して戦争へ突入することによって失業問題などを解決するしかなかったのですが。。。失業音楽家たちが大指揮者ストコフスキーの家に忍び込んで体当たりで演奏を披露してストコフスキーを否応なしにとりこにしてしまうというようなおとぎ話で何もかもうまくいけばいいですよね。この曲(リストの「狂詩曲(ラプソディー)第4番」)もパトリシアが最後に歌うヴェルディのオペラ「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」のアリアも難曲中の難曲のようで、正式のコンサートマスターや声楽専門の教師なしに演奏したり歌ったりできるというのも正におとぎ話です。現実と正反対の夢を見させてくれた指揮者ストコフスキー(本人)とパトリシア役の女優さんに喝采! (2015年12月14日にアップロード)

 

【独り言】

2019年暮れに始まったコロナ禍による不況では敵は目には見えないウイルスでした。本作品の時代背景は明らかに1929年にアメリカから始まった世界恐慌のようですが、その時の敵はやはり目に見えない無気力、投資意欲の減退等々で詳しくは経済学や経済史を紐解き、現在有効性を発揮している財政政策の成果や上級向けにはケインズ理論などに接すればわたし達人類が1929年以来いかに賢くなったかがわかります。今回、2019年以来のコロナ禍に経済の上ではアメリカは1929年以来学んだ出来る限りの善処を実行しました。でもアメリカ政府と言えども出来ることはマクロ経済にエネルギー飲料を満遍なく注ぐことだけで、実際コロナ禍が人々に与えた打撃にはバラつきがありました。その中でも比較的大きな打撃を被ったのは音楽・演劇・チームスポーツ・サーカスのような興行など、観客を集めることで成り立っている業界の人々だったのではないでしょうか。こういった業界の人々が一次の不況に凹むことがなく、元気を取り戻すことを切に希望します。そのためにはワクチン開発や公衆衛生の知識の増大が大きな役割を果たすに違いないことは言うまでもありませんが、ITが今以上に発達して臨場と同じかもしかしたらそれを超える工夫によって人々が磨き抜かれた芸術家やアスリートの技を堪能できるようになり、また互いに感動を共有できるようになればいいですね。

 

5点〜10点をつけた人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=4320

2点の方のコメント。こういう意見もあるのかということで…。

 

とにかくご都合が良すぎる。しかも主人公の少女がモンスターすぎる。タクシー代を踏み倒し、嘘をつきまくり、人の迷惑を考えない。そして歌も心地良くはない。私にはとことん合わない映画でした。【にじばぶ】さん 2点