かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(169) 王妃の紋章(2006) 〜 オリンピック級演出の時代劇…でも中身は? 6点】

【映画ルーム(169) 王妃の紋章(2006) 〜 オリンピック級演出の時代劇…でも中身は? 6点】 平均点:5.62 / 10点(Review 13人)    2006年【中・香】 上映時間:114分  

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=23470&TITLE_NO=524#HIT

 

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【あらすじ】

中国唐末期。皇帝の妃は唐に統合された隣国の皇女だった。皇帝との間には二人の王子がいたが、皇太子は前皇后の子である。故国再興と自分の子による唐の支配を夢見る病気がちの現皇后は故国の残党と通じ、呪いをこめて震える手で故国の紋章の菊の花の刺繍を続ける。皇后が恐れるのは知恵者の医者と拳法に通じるその妻だけだった。だが、長年愛人関係を結んで手なづけてきた皇太子がこともあろうに医者の娘と密会している場面に遭遇し、皇后は終に決意する。時はちょうど、家族の絆を再確認するという重陽(菊)の節句の直前だった。

 

【かわまりのレビュー】

セットの豪華なことは一目みれば誰にでもわかります。チャン・イーモウ監督のスクリーン美学が如何なく発揮された作品です。でも、「紅夢」や「菊豆」にあったようなおどろおどろしさとか、人間の本質に迫ったり中国の家族制度を暗に批判したりする哲学性はいったいどこに行ったのでしょうか?中国の経済が豊かになって、監督自身も国際的に有名になって、大掛かりなセットや華やかな衣装をまとったエクストラに出資してくれるようなスポンサーができたからといって、資金不足だったころのハングリー精神や表現欲を忘れないでほしいです。皇帝の風格や個性を出していた三王子の演技は満点。皇后役のコン・リーの演技も満点近いのですが、私の趣味としては若い皇太子とのどろどろした愛欲におぼれるのは「サンセット大通り」の往年の大女優グロリア・スワンソンみたいな、皺だらけの顔を厚化粧で塗りたくるオバサンであってほしかったです。そうすればもう少し哲学味が加味されたかもしれません。えっ、文化大革命のせいで年長の世代からは主演が張れるような女優が育っていない・・・のかもしれません。

 

レビューを寄せた方はわたしを含めて13人しかいないので次のURLで全部ご覧ください。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=23470&TITLE_NO=524#HIT

概ねわたしのレビューと似通っています。面白いレビューをひとつだけコピペしておきます。

 

1. この時代の中国におっぱい文化があったとは思えなくて、もしこの作品がちゃんとした作品だったなら時代考証がどうたらと酷評しようかと思ってたけど、余りにもちゃんとしてない作品だったので、それくらいのサービスがないと見てられないって思えるようになりました。とりあえずチャイニーズ・ジョークかと思えるほど無駄に人が多いです。かなり死にますけど、それでもまだ多い。

     人海戦術で壮大な物語のような様相を繕っているけど、実際には家庭内のドロドロした痴話喧嘩。元を正せばいちばん悪いのは王妃だと思うけど、それに対して毒を盛るしかできない王も情けないし、誘惑に負けた長男もだらしない。唆されて反乱に組した次男も計画性がないし、中二病とでも言うのか切れ易い三男もどうしようもない。こんな他人迷惑な家族はさっさと消え去ってくれた方が世の中の為になるでしょう。

     まあ、でも、あれだけ強調されてしまっては仕方ないので、おっぱいに4点付けておきます。
【もとや】さん [DVD(吹替)

 

【おまけ】

チャン・イーモウ監督の「紅夢」と「菊豆」は傑作とまではいかなくても秀作です。

 

【参考】

紅夢

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=804

菊豆

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3305