かわまりの映画評と創作

かわまりの読書ルームでは第一弾ノンフィクションに次いで歴史小説を連載中!

【映画ルーム(162) 地獄門 〜 美術だけでは… 今後に期待 5点】

【映画ルーム(162) 地獄門 〜 美術だけでは… 今後に期待 5点】 平均点:6.32 / 10点(Review 22人)  1953年【日】 上映時間:89分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=2164&

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

芥川龍之介の「袈裟と盛遠」をお読みください。古典(源平盛衰記から?)なのでネタバレOKですよね。

 

【かわまりのレビュー】

芥川龍之介の『地獄門』の朗読を聞きたかったのにYouTubeで出せんかった。何でやねん?」とわたしの母が言ったことから中国語字幕付廉価版値段並DVDを再度プレイヤーに……。カンヌ映画祭のグランプリ受賞ということで期待して購入したんですけれど……。アカデミー賞では美術賞か何かの受賞だけに止まったのも当然です。惜っしいです。盛遠が袈裟御前にしつこく言い寄って競馬で彼女の夫と張り合うだけではなく、歌、蹴鞠、奏楽、舞踊、その他諸々の競技と学芸全てで袈裟御前の夫に挑戦して悉く打ち負かされてボコボコにされて「袈裟ちゃんなくしてまろの生きる意義はいかに?」と自問自答しながら死んでいくという日本平安時代版「若きウェルテルの悩み(ゲーテ作)」のストーリーにしていればきっとアカデミー外国語部門賞を取っていたはずです。これじゃまるで長谷川一夫京マチ子のプロモーションビデオです。だから今後に期待します。因みに対応する芥川龍之介の作品は「袈裟と盛遠」と「地獄変」です。

 

最高点(8点)をつけた方々のコメントはみんな秀逸です。

1.かつてカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品とか。その理由だけで観たんだけど、これが意外に掘り出し物。この50年代に、しかも日本でカラー作品が撮れたなんて。まず観る前の最初のイメージは恋愛ものかなっと。でも実際の作品は案外そうでもない。人妻を好きになってしつこく追っ掛けて・・・って、実はこの映画、今で言う“ストーカー”の映画だったんですね・・・【イマジン】さん 

2.《ネタバレ》 そんなに評価高い作品じゃないみたいだけど、カンヌとか言うだけあって個人的には結構満足な出来。こんな長谷川一夫山形勲見たの初めてだし、グランプリ女優京マチ子は流石の美しさ。しなだれ具合が素晴らしい。そして鮮やかなカラーが印象的な作品。【バカ王子】さん 

3.《ネタバレ》 「平治の乱」の時代を背景に、平家に代表される粗野な武士階級の擡頭と、貴族階級と共に没落して行く平安文化の姿を、三人の男女の悲劇として象徴的に描いた作品とみる。もちろん、琴のつま弾き手である袈裟(京マチ子)が平安文化を象徴する存在で、おそらくは(自分を庇護してくれた)夫の階級の無力さ、以後の没落を予想し、権力で美の世界を牛耳ろうとする武士階級の隆盛を予測しての行動であろう。それでも、登場人物の誰一人として是認し得る行動を執れていないと思える辺りに、悲劇の悲劇である処の美学が美しく描かれているだろう。
終盤の公卿の屋敷を歩く三人の登場人物の背後の影、色彩が、それぞれの人物の心理をも顕わしているようで、観ていて息を呑む。色彩設計(近代美術館に作品も展示されている画家、和田三造が担当)も見事な、日本映画の傑作だと思う。この時代の日本映画の隆盛振りは素晴らしい。【keiji】さん

4.ある意味コメディとして大変楽しめた。長谷川一夫といえば後に国民栄誉賞を受賞するほどの大スター、その長谷川にこれほどの大馬鹿者を演じさせるというのが面白くてたまらない、凄まじい目力、キリッとした眉毛、そして大仰な演技が一層面白さを引き立てていた。ただ、これは本来の楽しみ方ではないな…。やはりこの映画の見所は場面ごとにまるで絵画のような美しさを感じさせる鮮やかな色彩。邦画のカラー初期という事もあり、外国人にとっては衝撃だったのだろう、世界から絶賛されたのももはや当然に思えてくる。これをデジタル・リマスター版で見られて本当に良かった。ストーリーそのものには大分無理があるというか、納得いかない点があるので、減点せざるを得ないが、好きか嫌いかで言えば断然好きな映画ですね。【リーム555】さん

【独り言】

特にKeijiさんの歴史的考察にははっとさせられました。わたしの注文だと盛遠も貴族階級でないといけません。(制作費的に)ちょっと無理でしょうか? 袈裟はどう見ても貴族のお嬢様…盛遠とやっていけそうにはないとわたしは思うのですが…。

 

最低点(4点)は意外と高く人数もたったの2人でした。この2つも共感できます。

1.《ネタバレ》  1953年、日本初のイーストマン・カラーだそうだ。さすがに気合が入っていて、スタンダードサイズだが色彩は綺麗であり、この時代の他の日本映画と比較すると、絵としてはかなり見ごたえはある。京マチ子の魅力も存分に発揮されている。

 しかし、テンポは悪く、ストーリーにも違和感ありまくり。
 いくら、時代設定が平安末期だとしても、長谷川一夫のあまりのジャイアンぶりは全く共感できず、むしろ不快感すら覚える。 

 さらに、最後になってその理不尽なやつが反省するのも、ありえなさすぎで不自然。お子様向けのアニメじゃないんだから、ラストで反省できる頭があるんだったら、最初から考えるだろう。

 当時、海外でも高評価、日本の平安時代末期の時代設定の映像が海外ではあまりにも物珍しかっただけのような気がする。【nobo7】さん

2.《ネタバレ》 まあ、確かに衣装始め色彩は美しいのですが、演出の方向性がどうもはっきりしなくて・・・所詮はストーカー話なんですから、もっとアホ路線の方がよかったのではないでしょうか。または逆に、男同士の斬り合いやせめぎ合いの部分をメインに持ってくるかです。会話のやりとりだけが積み重ねられている感があるので、全体に迫力がありません。【Olias】さん