かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(138) 愛の勝利 〜 改めて生きるということ 9点】

【かわまりの映画ルーム(138) 愛の勝利 〜  改めて生きるということ 9点】 平均点:n.a. / 10点(Review 1人)   1939年【米】 上映時間:106分
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【あらすじ】

父の遺産で暮らす若い女性ジュディーは乗馬や狩猟、観劇などに興じる誰から見ても健康的なお嬢さんだったが、時折激しい頭痛に襲われ、落馬などの事故が相次いだため、周囲の勧めでスティール医師の診察を受ける。スティール医師は簡単な診察でジュディーが脳腫瘍に冒されていることを見抜いて外科手術を勧める。ジュディーは頼りがいのあるスティール医師に、スティール医師は生き生きとしたジュディーに互いに惹かれ合うが、スティール医師はジュディーの手術を自ら手がけたために彼女の余命がいくばくもないという事実を知ってしまう。

 

【かわまりのレビュー】

難病ものの元祖として鑑賞の価値がある作品。期待したよりずっとよかったと感じたのは、これ以降に作られた難病ものの作品が焦点を絞りきれていないせいかもしれません。少なくともスーザン・サランドンジュリア・ロバーツというダブル大物女優を起用しながら難病を調味料程度にしか扱わずに何が焦点なのかわからないような某作品と比べて、「余命が限定された時には人は何をすべきなのか」、ひいては「生きるということは何なのか」ということについて真剣に考えさせるはるかに優れた内容です。スティール医師がどう見ても40台半ば以上で、「キャリアもあるのにこの歳で独身??」と思ってしまうのが珠に瑕ですが、患者の予後を知り尽くしている医師が患者に対して愛情を抱くという単純なストーリーがごく自然に描かれていて好感が持てました。医者としての職業的な勝利とはもちろん患者を完治させることなのですが、高度技術による診察が可能になって外科療法が進んだ現代でも、手術や診察の結果などはそれとして、患者の人格に惹かれる医師がいてもおかしくはないでしょうね。 昨今はやりの医療物ドラマを多数見たわけではありませんが、医療従事者は最先端の医療技術を駆使するスーパーマン、病気そのものが悪の権化か退治されなければならない怪獣のように描かれているだけで患者の人格が無視されているような気がして敬遠しています。