かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(122 ) 赤い靴 〜 芸術と生身の人への愛の狭間で 8点】

【かわまりの映画ルーム(122 ) 赤い靴 〜 芸術と生身の人への愛の狭間で 8点】 平均点:7.60 / 10点(Review 30人)   1948年【英】 上映時間:136分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=4718&

 

【あらすじ】

赤毛バレーダンサー、ヴィクトリア(ヴィッキー)・ペイジは裕福な伯母の推挙で団員に厳しい鍛錬を課すボリス・レルモントフのバレー団に入団する。レルモントフは自分の作品を売り込みに来た作曲家の青年ジュリアン・クラスターを楽団のコーチに採用していたが、ジュリアンに駄作の管弦楽曲「赤い靴」をバレー公演用に編曲させ、ヴィッキーをプリマに据える計画を練っていた。南フランスでヴィッキーはジュリアンに紹介され、ジュリアンから厳しいコーチを受けるが、本番の舞台で悪魔に憑かれた少女を演じて踊り狂ううちにヴィッキーには悪魔の姿がレルモントフと重なる。公演が成功に終わった頃、ヴィッキーとジュリアンは恋に落ちていた。

 

【かわまりのレビュー】

巻頭から鍛錬されたバレーダンスに目を奪われます。2回見ると主人公ヴィッキーと踊っているプリマが別人だということが分かる様になるのですが、初見ではそこまではいかないでしょう。初期テクニカラー時代に製作された視覚的にも楽しませてくれる作品です。ストーリーの上では舞台とダンサーたちをを自分の持ち物のように考えている支配人レルモントフの存在感が光っています。ただ、婚約を発表した直後に解雇されてしまったプリマは練習に40分以上遅れてくるなど、自分の力量に驕っていたきらいがありました。ここでヴィッキーの表情を大写しにする必要はあったのか。。。彼女も作曲家ジュリアンとの恋愛で同じ轍を踏むのだという暗示だったのか。。。現代では往年のプリマが政治家と結婚したり、あるいは自分でバレー学校やバレー団を運営したりと踊ることだけに束縛されない自由な人生を自分で選択しもちろん結婚によって受ける制約も柔軟にかわすどころか人生糧としているので古今の感があります。

 

10 点の人のコメント

1.  なんて悲しい話(><)名作です。バレエ・シーンは本当に見とれるほど美しく、素晴らしかった。思わず拍手してしまった。  旦那さんは、彼女が「レルモントフの元で」踊ることが許せなかったのかな。。。【さくら】さん 10点
2. 初めて見たのはうんと子供の頃だったけど、有名な新聞紙と踊るシーンと衝撃のラストシーンは強烈に印象に残った。「子供だまし」って言葉があるけど、子供だってホンモノは分かるのだ!今見ても古くさくない、素晴らしい映画だ。アンデルセンの「赤い靴」では主人公の少女は両足を切断することによってやっと踊りから解放される。モイラ・シアラー演じる主人公は足を切断するより踊り続けて死ぬことを選んだのだろう。【黒猫クロマティ】さん 10点(

3. パウエル・プレスバーガーの名コンビが残した映画史上に燦然と輝く傑作。アンデルセン童話をベースにしたバレエ“赤い靴”のシーンには圧倒され言葉を失う。ジャック・カーディフのカメラ、イースデイルの音楽、アーサー・ロースンの美術にシアラーの踊り…どれが欠けてもこのシーンは生まれなかっただろう。バレエ・シーン以外の部分も単純なメロドラマに終わることなく最高級のドラマに仕上がっている。バレエに興味のない人にこそ見て欲しい映画。【bluespower】さん [DVD(字幕)] 10点

 

9点(最頻出点)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=4718

 

1点(最低点 1人、2、3、4点の人はなし)の人のコメント

《ネタバレ》 頭の形が妙ちくりんな男とシミだらけの女が歌って踊るミュージカル・ロマンス。
前半から中盤にかけては、面白味のない舞台裏が描かれ、ラストで俄然盛り上がるかと思いきや、女はダンサーの道も選ばず、平凡な主婦の道も選ばず、半ば投げやりの形で死んで終り。
しかも、電車にはねられているのに、最後に男と会話を交わすというリアリティのなさ。
最後の最後で更に呆れさせてくれた、テクニカラーさえも不発の、不朽の駄作。【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 1点