かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(104 ) インフェルノ 〜 目眩(めくるめ)く預知悪夢 7点】

【かわまりの映画ルーム(104 ) インフェルノ 〜 目眩(めくるめ)く預知悪夢 7点】 平均点:5.57 / 10点(Review 23人)   2016年【米・ハンガリー】 上映時間:121分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=23696

 

【あらすじ】

ハーバード大教授のラングドンは頭痛で目を覚まし、なぜかイタリアのフィレンツェの病院にいると知る。目の前で主治医が射殺され、直近の記憶がないラングドン若い女医のシエナと脱出を図り、立ち寄ったメディチ家旧邸博物館の防犯カメラでダンテのデスマスクを盗んでいる自分の映像を見る。ダンテの「神曲」を手がかりにダンテのマスクを探し出し、世界保健機関と世界人口半減をもくろむ富豪の科学者ゾルビストが逃走劇に絡むと知ってラングドンシエナはさらに追手をかわしながらヴェネチア、そしてイスタンブールへと向かう。

 

【かわまりのレビュー】

点数少し甘めかな。原作を読んであまり好きになれなかったけれど、フィレンツェヴェネチアイスタンブールと世界の名所で贔屓にしているトム・ハンクスが活躍するとあっては見ないわけにはいきませんでした。原作を好きになれなかった理由は視点がころころ変わるせいで誰が誰の味方なのか敵なのかわからなくなったからです。わたしはワトソン博士によって語られるシャーロック・ホームズのように視点が固定したオーソドックスな推理物が好きなのですが、この点、映画は登場人物の頭の中を通常は描けず、カメラと台詞という客観でしかストーリを語ることができないので、それだけでも原作を超えていると言えます。それから原作にはない二組の恋愛も時間の制約があるため謎解きトリックを割愛せざるを得ない映画に導入して成功しているように感じました。(ラングドン教授=トム・ハンクスは007ではないので今後は恋愛できませんよ。)原作では一組だけをきわめてあっさりと描いています。というわけで、原作・映画のそれぞれの利点に納得しながら世界的な名所旧跡で展開する冒険にある程度満足しました。ただ、トム・ハンクスのイテテや出血の場面は見たくなかったです。

 

全員集合

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=23696

8点(最高点1人)の人のコメント

このシリーズ、原作はひとつも読んでいないが映画は全部観ている。原作を読んだ人には不評のようだが、自分は楽しめた。前2作はストーリーが複雑で字幕を追うのが大変だった記憶があるが、今回はシンプルでグッド。【kaaaz】さん [映画館(字幕)] 8点

3点(最低点1人)の人のコメント

《ネタバレ》 ​世界を救うにゃトム・ハンクスの知識が必要だ!何百回と聞かされた気がする戯言のような計画をなんとか止めてみせようじゃないのっ!

最初からボロボロのトムハンクスの長めの幻覚に付き合わされつつも、美女と一緒に美女に追われてなフィレンツェでの謎を解きは思ったより淡々としており、思ったよりヌルい。そりゃトムハンクスが敵をカンフーでバッタバタと倒してたら変なんだけどさ。見せ方の問題なのかヨボヨボのおっさんがただ逃げてるだけなのがなんともかんとも。

そんなこんなで二転三転する展開もそこまで派手さも無く、良く言えば上品に悪く言えば味気なく進んでいくのでなんだか退屈です。女医さんに至ってはカルトに染まった残念な人にしかなってませんし、全人類を殺して地球浄化というよくありすぎる計画もよくありすぎて牽引力不足です。

最後のウイルス取り合いもモブの男がやたら頑張る展開には驚きました。あんたが頑張るんかいっ!それなら途中退場の黒人の男を執念深く立たせたほうが良かった気がするぞ。

良いところはやはり街並みイスタンブール地下のシーンは美しかったですし、知ってる美術館が舞台なのはやはり嬉しいです。ともあれ前作に比べるとだいぶ評価は下がってしまいます。【えすえふ】さん [映画館(字幕)] 3点

 

【独り言】

このエントリーをアップした時点でイタリアは新型肺炎に見舞われて医療が崩壊し、通常なら戦場や大事故の際にしか行われていないトリアージ(救命患者の選別)が行われています。世界人口を半分に減らすべきと言う自分勝手な目的意識に囚われた科学者がこの作品でロバート・ラングドンと天才女性医師のシエナの敵役として登場しますが、原作者ダン・ブラウンはどうして目下のイタリアの状況を知り得たのか気になります。わたしはこの作品の舞台になっているフィレンツェヴェネチアイスタンブールのうちイスタンブールを除く二都市を訪れ、イスタンブールは機会があればクルーズで訪れたいと思っていたので新型肺炎によるベネチアを含むベネチアを含む北イタリアの大都市封鎖と未来に実現するかどうかが不透明なイスタンブールへの船旅のことを思って非常に悲しい思いをしています。

 

そうこうしているうちに昨日、本作品の主演のトム・ハンクスと妻のリタ・ウィルソンがオーストラリアに撮影旅行中に新型肺炎の検査で陽性の判定を受けたことが報じられました。夫婦共々クリスマス島に隔離されてしまうのでしょうか。お二人の早い回復を希望します。