かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(100) 2人のローマ教皇 〜 心温まる友情 9点】

【かわまりの映画ルーム(100) 2人のローマ教皇 〜 心温まる友情 9点】平均点:8.00 / 10点(Review 3人) 2019年【英・米・伊・アルゼンチン】 上映時間:125分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=25743

 

この内容全ての著作権はかわまりに帰属し、独り言を除く部分の版権はjtnew.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

少年時代にヒトラー・ユーゲントに所属し、戦後はカトリック聖職者の道をひたすら歩み、難解な説教と発言で知られるローマ教皇ベネディクト16世がアルゼンチンの大司教ホルヘ・マリオ・ベルゴリオをローマに招いた。教義の解釈をめぐって最初は対立した2人だったが、ピアノの名手の教皇とサッカー、ビートルズとダンスが好きなベルゴリオ(後のフランシスコ教皇)は次第に打ち解けていった。教皇カトリック教会の歴史で約700年ぶりとなる生前退位を意図し、ベルゴリオを後継者として期待していたのだ。一方のベルゴリオは1970年代のアルゼンチンの軍政下で多くの国民と同業の聖職者の命が失われたことに対して深い自責の念と無力感を抱いていた。

 

【かわまりのコメント】

《ネタバレ》 雲ひとつない晴天なのにローマ教皇が ベルゴリオ大司教と散歩する時に白い雨傘をステッキ代わりにしていたり、新旧の教皇シークレットサービスが買ってきたピザにパクついていたり…くらいしか笑えるところはなかったですが周囲のアメリカ人は結構笑っていました。これはわたしの英語力の無さよりは仏教徒であるわたしのキリスト教の信仰心の無さに起因するもの…と言いたいですが実は本作品では英語、イタリア語、スペイン語が同じ程度使われていて最後に出てくるドイツ語の横断幕「DANKE!(ありがとう!)」を入れると4ヶ国語が使用されていて、字幕のない英語は英語圏に○十年住んだので問題ないけれど、他の3カ国語は旅行前の付け焼き刃から長くて数年かじったことのある言語ばかりなのでなまじチンプンカンプンの人より字幕に対する反応が遅い上に字幕の色が白だったので教皇の白い法衣と重なると読みにくいことこの上ありませんでした。この点を声を大にして糾弾したいです。日本語では黄色の字幕だといいですね。

 

全般的に「聖職者はどこまで人々の不幸に対して責任があるか…」みたいな重いテーマが描かれているのですが、ベルゴリオ大司教の「Entiendo? (わかったか?)」の掛け声とともにサッカーが始まったり、「僕たちは聖職者である前に人間なんだよね。」と新旧2人の教皇が一緒にピザを頬ばって許し合い、自分たちの弱さを認め合ったりとか、ほのぼの系の友情物語と言った方が適切です。2人とも深い心の傷を抱えていて、だからこそ人々の痛みがわかるローマ教皇たることができるのです。さて、フランシスコ教皇の次はルワンダの大量殺戮を目撃した黒人の大司教ローマ教皇かな? 不幸が起きることは望みませんが少しでも人々と痛みを共有したことのあるカトリック司祭によってこの地位は引き継がれていくことでしょう。

 

全員集合

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