かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(98) インドシナ 〜 二つの世界 9点】

【かわまりの映画ルーム(98) インドシナ 〜 二つの世界 9点】 平均点:7.00 / 10点(Review 19人).  1992年【仏】 上映時間:159分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=43

 

この内容全ての著作権はかわまりに帰属し、独り言を除く部分の版権はjtnew.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

1930年代後半のベトナム。独身フランス人女性で農場経営者、ベトナム人カミーユを養女にしていたエリアンヌは、年下の士官ジャンとの仲を父に引き裂かれる。一方、十代の娘カミーユは親同志が決めた相手と婚約中のある日、共産主義者が暗躍するサイゴンの市中でジャンに出会い、養母との関係を知らずに恋に陥る。カミーユは結婚後もジャンを慕い、僻地に左遷された彼を追って豊かな生活を捨てて旅立つが、一般のベトナム人姿の彼女を冒険と出会いと別離が待ち受ける。年老いたエリアンヌがカミーユの息子に語る運命の物語。

 

【かわまりのコメント】

カトリーヌ・ドヌーブ扮する女農場経営者のエリアンヌが使用人を鞭で叩いたり、現地人や貧民に同情するフランス人がエリアンヌを「あなたの美しさはうわべだけ!」と非難したりするシーンは往年の大女優ドヌーブのファンならずともあまり見たくはないシーンかもしれませんが、これが植民地の現実だったのか、と考えさせられました。エリアンヌよりも養女のカミーユのほうが出番が多くカミーユが主人公のようでしたが、中身はフランス人で外見はベトナム人のこの子が非常に印象的でした。私たちはすでにベトナムの南北分断、続くベトナム戦争とその結末を知っているわけですが、カミーユとその夫、そして子孫に農場を受け継がせることが母性愛の核であるようなエリアンヌのその後を想像してみると悲しいです。スイスの銀行にいっぱい預金してカミーユの息子に相続させたんだろうな・・・なんていうのはちょっと俗っぽい想像ですけれどね。漢字の看板が溢れるサイゴン市内やジャンク船が浮かぶベトナム雄大な風景が素晴らしく、ジャンとカミーユの関係も控えめながら濃厚でエロチックに描かれていたのが非常に良かったです。

 

10 点とわたし以外の9点の人のコメント

1. 基本的に長い映画は嫌いです。昨今良くある‘無駄に’長い映画にはゲンナリ。しかしこの作品、全く長さを感じません。この世界を描くには、また受け手側にも、この時間が必要ですね。一言で言えば「正統派大河ロマン」でしょうか(なんだかこう書くと実に安っぽい響きですね・・・)。若くはないカトリーヌ・ドヌーブの美しいこと美しいこと。女性の場合特に素敵に歳を重ねるのは難しいですが、いやあ大人のオンナの真髄を魅せてくれます、存分に!そしてそのカトリーヌを上回るインドシナの美しさ!溜め息ものです。時代に翻弄されつつ、己の意思で歩いていく女の後ろ姿は美しい。‘萌え~♪’となっちゃってる男性諸君にゃあ分からんだろうな。【タマクロ】さん [ビデオ(字幕)] 10点

2.  号泣して、劇場から出られなかった記憶が。歴史(現代史)好きの人、おすすめです。【upupu】さん 9点

3. 《ネタバレ》 女に生まれてきて良かったですゥ、これ観れたから・・(かなり女性向き大河)。フランスも作れるではないですか。確かにお金はかけてるけど、ハリウッド製みたいに金キラじゃなく、風景になじんだ色の使い方がやはり素晴らしいです、パステルカラーなんて要りませんね。黒猫クロマティさんがおっしゃってる船のシーンにくると胸いっぱいで、2時間で終わってたまるかい!と思えてきますし、私でさえわかりやすいお話なので160分大丈夫。ヴァンサン・ペレーズ演ずる海軍将校(?)がセクシーな男前だったが為にこのドラマは動くのですが、彼一人ではこの長作を支えることがしんどい、そこへもうひとりギイという男性の存在がうまくお話を動かせてくれました。ドヌーヴにはギイという男が似合うの(!?)。ドヌーヴのいいとこは、お皿一枚洗わなくても、ニコニコしなくても、母性愛がほんとに嫌味なく伝わってくるとこではないかなあ、これ不思議ですね(メリルは今作を観て、しまった、と思ったかもしれない、まあわからんけど。)。 たった1枚、似合わない衣装があってこの服の色が皮肉です(と私は感じたわ)。ラストもフランスらしい美とさっぱり感・・私は鑑賞してる時より、ビデオ返却した帰りの車中でボロボロ泣きました。/長くてレンタルためらってたんですが、黒猫さんのレビュー拝見して借りました、御礼申し上げます。【かーすけ】さん 9点

 

7点(最頻出点)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=43

3点(最低点)の人のコメント

1. どうもジャンとカミーユに感情移入できず終始イライラ。よくわからん。なぜこの二人が慕われたのかもよくわからないし。うーん。【とま】さん [CS・衛星(字幕)] 3点
2. 自由と博愛を自負するフランス臭がリアリティーを削いでいます。ストーリーとハロン湾の映像は良かったですが、独善的目線の説得力に欠ける脚本と深みのないキャラクターに殆ど感情移入できないオスカー映画でした。【ProPace】さん [地上波(字幕)] 3点(2015-03-04 18:27:28)