かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(92) サヨナラ 〜 未知の国、憧れの国から 8点】

【かわまりの映画ルーム(92) サヨナラ 〜 未知の国、憧れの国から 8点】平均点:6.67 / 10点(Review 6人)   1957年【米】 上映時間:147分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=8924

 

この内容全ての著作権はかわまりに帰属し、独り言を除く部分の版権はjtnew.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

1950年台、アメリカ空軍のロイド・グルーバー少佐(マーロン・ブランド)は朝鮮半島から転勤先の神戸に向かう機内で同僚ジョー・ケリーの日本通ぶりに辟易させられ、神戸到着後には待ち受けていた婚約者アイリーンの熱心な勧めで歌舞伎を見て退屈する。だが、友人と見た松林少女歌劇団の公演にロイドは魅了され、とりわけスターの花荻に目を奪われる。アメリカ兵が日本人女性と交際することが固く禁じられる中、ケリーは日本人女性と結婚し、ロイドは異文化を発見する過程で男子禁制の歌劇団の規則を頑なに守る花荻に惹かれていく。

 

【コメント】点数の高い順に全員集合!

1. 《ネタバレ》 とてもいい映画だと思います。マーロン・ブランドがいい味出してるんですよ~。ちょっとこうヤンチャ臭い感じと、育ちのいい雰囲気の掛合いがたまらないです。ナンシー梅木がこの作品でオスカーを受賞しましたけど、日本人の目からすると割と普通の演技で、それほど特筆するような感じではないですよね。夫役を務めたレッド・バトンズもオスカーを受賞しているから、これはたぶんキャラクターによるところが大きいんでしょう。二人で心中してしまうという劇的な役柄ですから。マツバヤシ歌劇団というのは、たぶん宝塚を模してるんだと思うけど、ハナオギさんの歌声は素晴らしく、スターらしいオーラが出ていてハマり役でした。歌劇団が歩く橋や庭園、日本家屋など、どれも情緒ある風景です。マーロン・ブランドが何回も頭ぶつけるシーンは笑えたし、夫婦岩のシーンは、観ているこっちもニンマリしちゃう。この二人、ことあるごとにチューしまくってて、「あんたらどんだけキスしとんねん!!」とツッコミ入れちゃうほど、そののろけっぷりがたまらない。終盤、言いよるロイドに対しずっと煮え切らないどっち付かずの態度をとるハナオギに「はぁぁぁああん!もぅ早くOKしてあげてえぇぇぇぇええ!!」と、ドキドキしながら叫んじゃいました(笑)。なんたって、タイトルが「サヨナラ」ですから、二人はやっぱりサヨナラして終わっちゃう切ないお話なのかと思ってたので、このハッピーエンドにはほっと胸を撫で下ろした次第です。そして国際結婚を拒もうとする風潮に「サヨナラ」を言い放ったラストの鮮やかさに思わず拍手。とっても楽しいラブストーリーでした。
あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 9点

2. アメリカの有名俳優が出演する日本ものはとりあえず見ておこうと思ってビデオを借りたのですが、期待したよりも良かったです。アメリカ兵が日本人女性を一時の慰みものにしないよう、日本駐留のアメリカ軍はアメリカ兵と日本人女性のデートを禁止しますが、アメリカ兵である主人公たちが日本人女性を真剣に生涯の伴侶として考え、また日本人女性も自分の人生を大切にする誇り高き存在として描かれているのが良かったです。「日本の男はどうした!」という方もご安心を・・・。作中に登場する歌舞伎俳優は、英語が巧すぎるのが少し気になるものの、アメリカ人女性をスマートにデートに誘って人生相談の相手にまでなるという国際性で満点をもらえるような紳士として描かれています。主人公ロイド(マーロン・ブランド)の歌舞伎と文楽で退屈した時の表情と和服を着流した時の姿がとてもセクシーでした。マーロン・ブランドのアカデミー主演男優賞ノミネート、ケリー役のバトンスの助演男優賞受賞、ケリーの妻役、梅木さんの助演女優賞受賞、音響賞美術賞受賞などの快挙が目白押しです。ラスト・サムライ以前にも日本を礼賛するまともな映画はあったのです。【かわまり】さん 8点

3. 《ネタバレ》 ジャズシンガーだったミヨシ梅木が英語を話せると言うだけで起用されて、日本びいきだった状況でオスカーをあたえられた話が有名です。ずっと言われている通り、彼女の演技は特に優れていると思えないけれど、そういう時代だったんだなあと納得しました。あとサンディー(&サンセッツ)がこの映画のテーマ曲「サヨナラ」を感動的にカバーしているのも興味を持った一因でした。当時の日本の伝統文化をアメリカから憧れを込めて見ている感じが貴重です。「慕情」と雰囲気がダブりますが王道のラブストーリーです。細かいことは無視して楽しめました。【omut】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2007-01-13 17:31:59)

4. おそらく日本最古のツンデレを描いた作品。ツンデレって何?って思った方は流してください。
池田屋DIY】さん [DVD(字幕)] 6点

5. 日本で唯一のアカデミー賞を取った演技ということに期待していたのだけれど、それほど出番も存在感もなかったように思う。マーロンブランドや夫の演技はよかった。借金を肩代わりしてくれた義理から女優を辞められない花荻だったのだが、その葛藤が二人の間だけでしか表現されず、結局アメリカ的エンディングを迎えてしまうところが、いまいち。【HK】さん 6点

6. 日本を舞台にした、古いアメリカ映画のラブストーリーもの。
オーソドックスと言ってしまえばそれまでだけど、日本の描写はちゃんと描かれてます。
ヒロイン役の女性は宝塚の女優さんらしいが、アメリカ人の好みなのかな?
今一つ存在感がなくて、ちょっとピンと来なかった。和を前面に押し出した映像はきれい。
後半からラストにかけては、完全に日本のメロドラマのような雰囲気が漂っていて、ここでもちゃんと描いてるなとは思ったが、逆にやっぱり違和感を感じた作品だった。【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 4点

 

【独り言】

No. 4 【池田屋DIY】さん のツンデレ作品には笑ってしまいました。日本史上公認のツンデレとして細川ガラシャがいます。夫にデレデレ、でも豊臣秀吉に人質として招聘されるとツンツンキッパリと非業の自害を遂げます。この作品とどういう共通点があるのかな、と笑ってしまいました。1957年のアメリカ作品なのになぜ日本最古なのかも不明です。