かわまりの映画評と創作

読書ルームではノンフィクションと歴史小説を掲載

【映画ルーム(90) 四十七人の刺客 〜 深読みすれば面白い 8点】

【かわまりの映画ルーム(90) 四十七人の刺客 〜 深読みすれば面白い 8点】平均点:5.09 / 10点(Review 22人)  平均点:5.09 / 10点(Review 22人)   クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=5885

 

この内容全ての著作権はかわまりに帰属し、独り言を除く部分の版権はjtnew.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。


【あらすじ】

時は元禄、長年に渡り領内の生産の拡大に努力してきた赤穂藩は藩主浅野長矩が殿中で起した不祥事、松の廊下の刃傷沙汰によって一夜にして取り潰しとなり、藩士三百名は地位を失った。この難局に際して家老大石内蔵助は備蓄していた塩を即刻換金して城中の金銀と共に藩士の生活保障に充て、職探しの拠点を京都に設けるなど対策に奔走した。しかし大石ら四十七名の旧赤穂藩士の真の目標は浅野長矩が松の廊下で切りつけた吉良上野介の不正を世に示して復讐を図ることであり、そのために彼らは情報操作を含む多様な手段を密かに取る。

 

【かわまりのコメント】

時は平成、潤沢な社内留保を誇り、社員の福利厚生にも厚いAK社はライバルYZ社の密かなロビー活動によって採用された新基準のために製品の大量リコールを余儀なくされ、さらには公聴会での社長の失言によって自らの業務の完全停止、生産ラインの他社への売却と労働者の他社への移管、経営陣とトップ技術者計約三百名の大量解雇という制裁を課されてしまった。この難局に際し、経営の実権を握る専務大石は備蓄してあった部品と原料の即時売却による収入と社内留保とを併せて解雇されたトップ社員の生活保障に充てるよう計らい、再就職先が潜在的に多数存在する某商工業都市に失業窓口を設けるなど対策に奔走した。しかし、大石ら旧AK社幹部の真の目標はライバルYZ社の意図のままに製品基準を変えるよう動いた国会議員吉良(きら)の政治資金規正法違反を暴くことだった・・・。原作を読んだ方がロジスティクスなど緻密な内容が再現されていないと指摘され、また「討ち入り場面が山場であとは平坦・・・。」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、原作未読で「討ち入り場面だけが見所なのだろう」くらいの考えで何も期待しなかったわたしは十分満足することができました。何よりも画面が美しいのが良かったです。組織のありかたなどについて学ぶべき教訓を多く含み、映画としてはこの上なく緻密に作られていると感じました。特に、解雇に伴う手当ての支給額が発表されるところなど、服装が違うだけで現代でもしばしばありそうな光景でした。美人の奥さんとの間にたくさんの子供がいて、京都にも愛人がいて、自分の死後に二人が困らないよう手配して散っていった渋いおじさん、大石内蔵助を演じているのは・・・高倉健・・・エンド・クレジットまで気がつきませんでした。わたしにとっては初めて見た高倉健のちょんまげ姿でした。

 

最高点8点をつけたのはわたしだけでした。

7点の人の気になコメント

原作の面白さを、きちんと映画にしてくれているので安心した。ただ、それにしてもイメージの違いすぎる大石内蔵助だったので、忠臣蔵モノと言うよりは任侠モノっぽくなっていた。だいたい、あの吉良屋敷の防御は、やりすぎ!!! いや、映像的には面白かったけど・・・・・・。寡黙な主役の大石より、なんでこーなったのか分からなくって焦っちゃう憎まれ役の吉良より、色部役の中井貴一の存在感がすごい。討ち入りされてしまったと知ったときの、あの表情だけでもこの映画を観た価値があったような気がした。【ルクレツィアの娘】さん 7点

5点(最頻出点)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=6&TITLE_NO=5885

1点と3点の人集合! (2点の人はいません)

1. 音楽だけは良かった。【えいざっく】さん [地上波(邦画)] 1点
2. 役者達はとても良かったのですが討ち入りまでの展開は単調で物語に引き込まれませんでした。

見せ場の討ち入りも要塞化したのが返ってダラダラしたような感じに見えて残念です。【まりん】さん 3点

3. 《ネタバレ》 これだけ豪華キャストで固めていながら、ほとんど生かされてないんだよなあ・・・。情報戦云々の部分も、結局ちょっとだけしか出てこないし。何がやりたくて作ったのか、よく分かりません。