かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(82) ヘンリー五世 〜 正統派時代劇 8点】

【かわまりの映画ルーム(82) ヘンリー五世 〜 正統派時代劇 8点】平均点:7.25 / 10点(Review 12人)  1989年【英】 上映時間:137分.  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=313

 

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【あらすじ】

柄の悪い友人を周囲に集めて父王を心配させた王子ハリーは父の死後即位してヘンリー五世となった後は公私をわきまえ、無能な取り巻きを退け、有能な人材をとりたて、王位を狙う陰謀を挫折させ、諸侯の意思を統一して終には長く懸案になっていたフランスへの領土拡大に着手する。父王が創始したランカスター王朝は前プランタジネット朝の傍系だがフランス・ノルマンディー地方出身で、十一世紀にイングランドを平定したノルマンディー公ウィリアムに繋がっているのだ。しかし、フランスのシャルル六世軍との戦闘は凄惨をきわめた。

 

【かわまりのコメント】

《ネタバレ》 シェークスピアの作品の中ではマイナーかもしれない作品をよくまとめた秀作だと思います。まあ、リチャード二世からヘンリー八世に至るシェークスピアの歴史ものはわたしたちが「東京裁判」とか「シンドラーのリスト」とか「ヒトラー最後の・・・」なんかを見て歴史に対する理解を深めるのと同じで、当時の人たちについ最近(?)の歴史を理解させるために書かれたわけで、わたしたちからすると時間的にも地理的にも遠い感じがします。それにもかかわらず、この作品に心に触れるものがあるのはやはり演出と二十台前半の青年王を堂々と演じたブラナーの演技力のなせる業のようです。戦いの場はあくまでも凄惨ですが、シャルル六世の娘カトリーヌへの求婚シーンはあくまでも甘く、「あなたは敵の妻になるのではありません。友人の妻になるのです。」という終わり近くの言葉からは血気にはやって戦争を始めたものの、反省して平和を求める青年王の感性が伝わってきて印象的でした。現代の世の中でも血みどろの戦いの後でも誰か一人のこういう言葉で全てが丸く収まったりするといいのですが、民主主義の世の中ではもはやありえないでしょうね。

 

【独り言】

12人の全員作品に心酔しているレビューワーの得点分布は7点(中央値付近)と4点(最低点)が1人だった他は全体に分散しています。全部読んでください。点数評価が低い人でもコメントでは結構評価しています。

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=313