かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(70) シャイン 〜 人生の核になるもの 8点

【かわまりの映画ルーム(70)  シャイン 〜 人生の核になるもの  8点】平均点:7.32 / 10点(Review 193人)  1996年【豪】 上映時間:105分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=144

 

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【あらすじ】

オーストラリアのユダヤ系市民で決して裕福とはいえないピーターには自慢の種があった。それは息子のデービッドに音楽の才能があり、プロも敬遠するようなピアノの大曲難曲を楽々と弾きこなすことだった。しかし、その息子が世界的バイオリニストの目に留まったことでピーターは不安になる。「息子は自分から離れるのではないか・・・。」果たして、精神的に親離れしたデービッドはピーターの反対を押し切って奨学金を得てイギリスに留学する。だが、成功への道を歩み始めた頃にデービッドは激しい精神錯乱に襲われる。

 

【かわまりのレビュー】

この映画は何度も見ましたがわけがわからず、レビューを敬遠していました。最近ベルギー映画の「仮面の中のアリア」をスポーツ根性ものとして見たと書いてみたのでこの作品もその線でいきます。ただ、通常のスポコンものでは主人公は自分が選んだ道で成功しますが、ここでは人間性の回復において勝利する(ことになっています)。音楽ファンとしてはあまりいただけない話です。なぜかというと主人公の父親が息子の尻をたたいて弾かせるのは演奏技巧をみせびらかすためのようで、サーカスで曲芸をさせるのとそう変わらないし、その上「この子はモーツァルトなんて初心者向きのものは弾きません。」なんていう暴言まで吐くからです。また、父が主人公の留学に反対する理由もわからないし、留学後に主人公が精神錯乱に陥る理由もわからない。オーストラリアに送り返された後でもまだ狂っているのだからホームシックでもない。でも主人公の心の謎が全部簡単に説明できるようだったら世の中に精神病院は必要なくなりますよね。人間という捕らえどころのない存在、主人公の心の闇を演じきってアカデミーの主演男優賞を受賞したジェフリー・ラッシュ助演男優賞にノミネートされた父親役のスタールに敬意を表して超甘の点数をつけます。なお、妻や友人の愛情や友情による人間性の回復という結末はこの作品の原作者が実在の主人公の妻だということで何だかセンチメンタルなこじつけのような気がします。アカデミー賞の授賞式でピアノ演奏を披露した本人はやはりどこか変でした。

 

10点の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=144

9点の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=144

8点(際頻出点)の人のコメント

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=9&TITLE_NO=144

2点(最低点)と3点の人のコメント

1. 気が狂うとフルチンになる、という短絡さ。【永遠】さん 2点

2. 結構酷い。劇中でやたら感情表現について言及されているにもかかわらず、そんな演奏でもなかった上に、通しての演奏が全然ないってのはどういうことでしょうか。それなら実際の音源使ってますなんて触れ込みいらないよね。話のほうも、本人を知ってることが前提なんじゃないかと思えるような飛躍っぷり、および薄っぺらさ。【デフォルトモード】さん [DVD(字幕)] 3点

3. 悪くはないんだけど、思ったほど感動はなかったですね。実話に基づくということで淡々と事実が進んで行きますね。父親は許せないですね。彼が病んだのは父の責任だし。子の為を思えばこそ近くに置くよりも、外へ出て、良い教育を受けさせるほうがよっぽど名誉なことだと思います。行動が理解不能です。子供にいい教育を受けさせるほうが結果として生活も豊かになったのではないでしょうか。学生時代からたぶん20年くらい病院に入っていたようですが、最終的には彼の家族は引きとって一緒に生活していないのですよね。父も母も引き取ってくれない。なのに最後の演奏会では客席で涙している。。。オイオイ。なんでやねん!!あと結婚に至る過程が描かれていないです。同情で結婚した訳でもないだろうに、もうちょっとその辺、描いてくれないと????です。最後の最後の彼の涙にはウルッときましたけどそれ以外は、ちょっと話に乗れなかったかな。【たかちゃん】さん 3点

4. 《ネタバレ》 途中ラーメンズに似てたのぐらいしか印象ない。実話だしすごいとは思うけど特に感動も何もなかった。ピアノ嫌いじゃないけど、ここでは少し耳障りだったなぁ。【まおあむ】さん 3点

5. 「泣ける映画」と教えてもらってブラスと一緒にレンタルビデオで借りて観たのですが。。。両方泣けなかった(^▽^;) 内容もハマれませんでした。【あき】さん 3点

6. ジェフリー・ラッシュの演技に脱帽!【ボバン】さん 3点

 

【独り言】

10 点9点をつけた人が多数いる作品にしてはわたしが献上した8点は上のコメントで俳優陣の演技 を評価しての「超甘」と言っていますが他の作品の場合と違って本来はもっと低めなのです。それはひとえに音楽の内容によるのです。なんでまたラフマニノフのピアノ協奏曲、しかも2番ではなく3番にあれほど入れ込まなくてはならないのでしょうか? 同協奏曲の2番、あるいは異国の地で肺を病んで故国に帰ることもままならなかったショパンが最後の力を振り絞って作曲したバラードの4番に注力したなら父親の厳命に背いて海外で活躍した良心の咎めと自分の生き方の間に折り合いをつけることができたと思うのです。音楽と美術は言葉を超えた感情レベルでのコミュニケーションを可能にします。やはり息子の尻を叩いてサーカスのアクロバットのような演奏に駆り立てた親父が許せないです。もちろんプロによる音楽の演奏にはそういう側面もある程度は必要ですが.....。


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