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【映画ルーム(61) アラバマ物語 〜 児童の眼が捉えた正義 9点】

【かわまりの映画ルーム(61). アラバマ物語. 〜 児童の眼が捉えた正義 9点】平均点:7.69 / 10点(Review 96人)  1962年【米】 上映時間:129分

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【あらすじ】

ローウィンの夜に兄ジェムが暗闇で襲われて腕を骨折した事件をめぐり、小学校低学年だった妹スカウトがおぼろげな記憶をたどる。母のいない自分と兄、そして父のいない少年ディルと三人で冒した冒険の数々、謎に包まれた隣人、学校で父の悪口を言った子供、法廷で満場の白人を相手取って身じろぎもせず、黒人被告のために言葉を武器に正々堂々と戦う弁護士の父の雄々しい姿・・・。小学生の混沌とした心象風景に犯罪や裁判、狂気といった冷酷な現実と母の優しさを持つ正義漢の父(グレゴリー・ペック)の姿が交錯する。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 フィンチ弁護士を演じたグレゴリー・ペックの威容と言っていいほどの貫禄と父親としての温かみが素晴らしかったです。フィンチ弁護士の論理は作品中で見る限り完璧だと思います。幼いスカウトは裁判の内容や父の論理を理解できるような年齢ではありませんが、それでも父親の正しさと勇気には触れることができ、また、努力にも関わらず敗北を喫した父親に黒人席全員が立ち上がって敬意を表したことで、きっと真の正義の観念が心に植え付けられたことでしょう。ただ、「誰かが汚い仕事をしなければいけないの。それがお父さんの役目だったの。」と兄妹に語った女性の言葉には納得できませんし、少なくともスカウトは納得していません。アメリカで今でも人気のある小説”To Kill Mocking Bird”の日本語の題名が「アラバマ物語」だということをこのサイトで知り、すぐに近所の図書館でビデオを借りてきました。子供のころ両親が購読していた「暮らしの手帳」の自社広告で、”つなぎ”を着たスカウトの写真と「貧困と無知のせいで強姦犯人にされた黒人が云々・・・。」という説明が全く一致しなかったせいで「アラバマ物語」のタイトルが印象に残り(「強姦」なんて言葉、当時理解していたのかどうか・・・?)、昨年グレゴリー・ペックが亡くなった際、彼が主演だった名作の一つとして紹介されたことで”To Kill Mocking Bird”に関心を持ちました。刑事がフィンチ弁護士に恨みを持つボブ・イーウェルが自殺したと知らせに来て、スカウトが「モッキング・バードを殺しちゃいけないんでしょう。」と父親に言うラスト近くのやりとりで誰がジェムに怪我をさせ誰が兄妹を救ったのかわかりますが、原作にはないスカウトの台詞は8歳にしてはちょっとかしこ過ぎるのではないでしょうか・・・。それにしても、フィンチ弁護士が言うとおり、人を見かけや噂だけで判断するのは間違っています

 

10点の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=2782

9点の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=2782

8点(際頻出点タイ)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=9&TITLE_NO=2782

7点(際頻出点タイ)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=2782

1点と3点の人(ゴメンね)のコメント

1.  黒人さんには無実になって欲しかった。無罪にすることで父さんが子供たちのヒーローになって欲しかった(無罪にできなくてもヒーローか、そうだそうだ)。最後に出てくる内気な青年が好きです。
ooo-oooo-o】さん 1点

2.黒人、白人どちらの味方をしないアティカスがよかった。最後のキモの部分がよくわかんなかった。後で説明を受けて、「ああ~」と納得。わかりにくかった。長い。裁判のシーンでだるくなった。前半はほのぼのしていてよかったんだけども。台詞が多くて説教臭くて腹が立った。
【Syuhei】さん [DVD(字幕)] 3点

 

【独り言】

低い点数をつけたお二人にフォーカスします。1点をつけた【ooo-oooo-o】さんはストーリーが自分が予期した英雄譚にならなかったのが気に入らなくてたったの1点をつけたのですね。こういう点数のつけ方は初めてです。一般的に言って低い点数をつける方はストーリーにのめり込めなかったり、登場人物に感情移入できなかったり、ただつまらなくて眠くなったりしたことが原因のことが多いのですが、この方は作品の内容を十分に理解していらっしゃるようで珍しいです。ただ「最後に出てくる内気な青年」というのが黒人の被告と並んでこの作品のキーとなる人物だと気付いておられないのがちょっと惜しいです。「好きです」という素直な感想はストーリーがわかっていないと出てこないでしょうが...一方で3点をつけた【Syuhei】さんは慢性的な法定物拒否症化児童拒否症でしょうか? 法廷物拒否症は法律や裁判というものがいかにわたし達の生活に関わっているのかを理解すれば解消されます。

 


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