かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(58) ビューティフル・マインド 〜 心の眼で見えるもの 8点】

【かわまりの映画ルーム(58) ビューティフル・マインド 〜  心の眼で見えるも  8点】平均点:7.16 / 10点(Review 360人).  2001年【米】 上映時間:134分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3740

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

ノーベル賞受賞者の半生に基づく実話物。変人ながら独創性に恵まれたジョン・ナッシュラッセル・クロウ)はプリンストン大学で数学の博士号を取得した後、国防省の暗号解読の職務の傍ら大学で教鞭を取る。聡明で美しい女性アリシア(ジェニファ・コネリー)と結婚し、輝かしい未来が開けているかのようだった。しかし、学生時代の親しい友人とその養女が近くに移り住み、国防省の特命を受けた男(エド・ハリス)がソ連の暗号解読を秘密裡に要請してきた頃から、学生や同僚がナッシュの大学教授としての態度に不満を寄せるようになる。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 字幕なしにフランス語の吹き替えがわかるまで見ることになっているのでとりあえず、四回目を見て書き直しています。本当はアダム・スミスの理論を叩き込まれた経済学徒の端くれとして、アンチ・テーゼとしてのゲーム理論を理解したいのですが、それは映画では無理でしょう。四度も見るとさすがに感情移入を通り越して俳優陣の名演を堪能しながらも、「もっといい表現がなかったのかな?」なんて考えるようになります。この作品では精神病との闘いにおけるインシュリン療法や投薬が強調されているわけではなく、単にそれらが素人にとって目新しいので印象に残るだけで、ロン・ハワード監督が本当に描きたかったのは後半、インシュリン療法や投薬を拒否して幻覚と共存することを選び、「自分らしさ」と「現実との協調」の両方を得ようとするナッシュの精神的戦いの過程とヒロイズムなのだということを確信しました。「統合失調症は投薬で直るので他の病気と同じ。」という意見にだけは賛成できません。「悪性腫瘍は出来た場所を切除すればいいからたいしたことはない病気だ。」なんて言ったら悪性腫瘍のせいで腕や足を切断した方に怒られてしまいます。「自分らしさ」というものはどうあっても確保しながら統合失調症を治療してほしいものです。またナッシュの統合失調症は「天才と気違いは紙一重」の例だというのにも賛成しかねます。この病気と表面的には無縁な人間にも友情や愛情や社会的評価に対する憧れはあるわけで、主人公の場合たまたま、彼独自の性格に加えて過酷なプリンストン大博士課程の環境と冷戦下で数学者に課せられたプレッシャーのせいで、飢餓に直面した人間に無機物が食べ物に見えるのと同じ精神メカニズムでもって友情や愛情や社会的評価に対する憧れが視覚や聴覚を伴ってしまったのでしょう。東西冷戦時代には国連上級職員が恐怖神経症にかかって自殺したという笑えない事実まであるのです。いろいろ考えさせる作品ですが、学生時代にナッシュを囲碁で負かしてニンマリしていたいかにも秀才のマルチンがナッシュが社会復帰できるよう環境を整えたことを指摘しておきます。彼も人間的に成長したのでしょう。ラストで「友情や愛情や社会的評価に対する憧れ」を象徴する幻影が、現実にそれらを手に入れてしまった主人公にはさすがに色あせて見えたでしょうが、ひっそりとたたずんでいたのも良かったです。

 

10点の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=3740

9点の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=3740

8点(最頻出点)の人のコメント

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=9&TITLE_NO=3740

1点、2点、3点の人のコメント (一部、現在では使われていない病名が使われています。)

1. 私は連れが見たいというので、予備知識ゼロで見に行きました。最初学園青春ドラマかと思ったら一変、スパイ・サスペンスへ。主人公が謀略にはまって精神分裂症扱いされてしまう、まあありがちの展開にドキドキして見入ってたら・・・あらら、ほんとに精神分裂症だったなんて。で、残りのストーリーは、精神分裂症患者の幻想だったって夢落ちになるんじゃないかと思ってたら、結局ノーベル賞をとってめでたしめでたし。なんかキツネにつままれた気分。みんな「精神分裂症を克服した天才数学者の物語」だとあらかじめ知ってて見に行ったのですか?何にも知らないで見に行って感動したって言う人います?私は感動なんかできませんでしたよ。だって途中まで罠に陥った暗号解読者の主人公にすっかり感情いにゅうしてしまったんですもん。まあ、タイトルが「ビューティフル・マインド」だってことをすっかり忘れていた私も私ですが。【トモ】さん 1点

2.  この映画はノンフィクションではなく、原作からダークな部分を徹底して取り除き、臭い物に蓋をした上で作られた事実を基にしたフィクションで、上ずみだけをすくい取ったような映画。演出を通り越した嘘満載。あと、統合失調症ってなんだよ。分裂病だ、分裂病。【永遠】さん 2点

3.  主人公が狂って子供をおぼれさそうとするあたりよかった。主人公がもっと狂ってしまえばもっとよかった。うじ風呂のコネリーも出世したなあ。時代を感じます。【pinncri1031】さん 2点

4.  意味がわからない。そしてもう一回見ました。意味がわからない。僕はこれをビデオで観ましたが、その説明に「天才ゆえに軍の諜報活動に巻き込まれ、その後衝撃の展開に立ち向かって・・・」てありました。この人ほんとにこの映画観たんですかね?ぜんぜん違うじゃん。説明見てから観たからかな?本当に意味がわからない。それにしても、本当にアカデミー賞獲ったんですか?講演の時なぜあの医者は追いかけてきたのか?そこが最もなぞでした。そのせいで前後の関係が訳分かりません。僕は丸一日?が消えなかった。どっからどこまで幻覚なんでしょうか?おそらくこれはミスです。脚本のミス。もしわざとやってるとしたらすごい悪意を感じます。見る側を混乱させるやり方が汚いですね。どういう方向へ持っていきたいのかも謎でしたね。監督の思考回路がサスペンスでした(笑)。【幸楽】さん 3点

5.  感動的な夫婦愛を描くのに(しかも実話)サスペンス仕立てにしなければ撮れないとは、あまりにも情けなさ過ぎる。多分自信がなかったんだろうが、ストレートで勝負出来ないピッチャーが変化球で逃げるようなものだ。又、妻役のジェニファー・コネリーは、出産、育児、夫の看病と続いたのだから少しはやつれて表情に疲れが見えなくてはいけない。ちょっと始めから終わりまで綺麗過ぎで、演技はよかったのにどこか白々しく悲惨さがいまいち伝わらない。ラッセル・クロウは難しい役を良く演じていたと思う(グラディエーターの時よりよっぽど良かった)。ただ名優エド・ハリスを幻覚にしたのはやはりテクニカル・ファウルだろう。【gray_ghost】さん 3点

 

【独り言】