かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(46) 二十四時間の情事 〜 街への原子爆弾、心への原子爆弾 9点】

【かわまりの映画ルーム(46) 二十四時間の情事  〜 街への原子爆弾、心への原子爆弾 9点】平均点:6.12 / 10点(Review 17人)   1959年【仏・日】 上映時間:91分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

 

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【あらすじ】

映画のロケで広島に来たフランス人女性にフランス語で声をかけた日本人男性、二人はともに既婚者で、女はロケが終われば広島を去ることになっていた。「君には広島はわからない。」と男は言い、女は広島で見聞きしたことを羅列してみせ、ただ甘える。フランス人女性は日本人男性に、世界大戦中に故郷ヌベール(Nevers)で初恋の相手だったドイツ兵の面影を見出していた。原爆投下から14年、不死鳥のように甦った広島の繁華街を徘徊する二人の会話の中で、戦勝国の人間の心にも残る戦争の深い傷跡が浮き彫りになっていく。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 私はこの作品を恋愛ものだと思いたくありません。二人の関係は紛れもない不倫だし、外国の街角で自分の国の言葉で話しかけてきた異性と即ベッドインなんていうのは勧められませんが、主人公のフランス人女性には戦争で壊滅的に破壊された広島という街でそうしなければならなかった理由があり、全編がその理由を語るために存在するというといってもいいと思います。作品の中盤で、ロケの休憩中に転寝をする女性のわきに長い尻尾が妙な形に曲がった猫が登場しますが、「猫なら尻尾が曲がるだけでも人間だったら心の奥底に見えない傷がある。」と言うためにこの猫を出したのでは、などというのは考えすぎでしょうか?巻頭の「君は広島で何も見ていない。」という日本人男性の言葉には「戦勝国の人間には所詮、敗戦国のことはわからない。」というような奢りさえ感じられますが、その日本人男性は次第に考えを改めていき、フランス人女性の「ドイツ人の彼が死んだ悲しみを、村の人に罵倒されたり、髪の毛を刈り取られたりしている間は忘れることができた。」という言葉で正に目が覚めたと思います。トイツ人を愛したフランスの女まで憎いというフランス人の心理は(フランス人でなくても)ただ戦争の愚かさだけを見せつけます。「目を覚ませ!」というかのように女性の頬をひっぱたく男性と感謝するように微笑む女性。最後に夜明けのバーで離れた席に座ってフランス人女性を見つめる男性と目を伏せる女性・・・癒しにはほど遠いけれど理解しあうことはできたというような結末でした。点数は一番手の方の真似をしたわけではなく、モノクロながら目をそむけてしまった被爆者の治療シーンがあることと日本語の題名のせいでー1点です。わたしだったら題名は「ヒロシマ、わたしが愛した人」にします。

 

全員集合

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【独り言】

 


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