かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(43) 即興曲 愛欲の旋律 〜 伝記に基づいたラブコメ 8点】

【かわまりの映画ルーム(43) 即興曲  愛欲の旋律  〜 伝記に基づいたラブコメ 8点】平均点:8.50 / 10点(Review 2人)   1991年【英・仏】  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

 

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【あらすじ】

革命とナポレオンの動乱が吹き荒れた後の1830年代のフランス。田舎貴族の夫人の地位を捨て、二人の子供を抱えて文筆で身を立てたオーロールは、筆名も男性名のジョルジュ(ジョージ)・サンド、服装から立ち居振る舞いまで男だった。だが、親友マリー・ダグー伯爵夫人とその恋人で作曲家のリストの家で接したショパンの風貌と音楽はそんなオーロールにやさしい気持ちを取り戻させる。別れた夫とは異なり繊細な神経の持ち主のショパンの心を捉えるために生来の野生児オーロールがとった手段は・・・やはり型破りで男性的だった。

 

【全員集合】

https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=6898

 

【独り言】

わたしは実話物には点ガ辛いんですよね、と言っても本作の8点は甘いですよね。一重に爽快な後味の良さのせいです。レビューにも書きましたが、19世紀初頭に39年の決して長いとは言えない人生を前半はポーランドで、後半はフランスで生きた作曲家ショパンは血の上でもポーランド人の母とフランス人の父のハーフ、もちろんバイリンガルでした。その作品にはフランス的で軽やかで華やかなワルツやノクターン舟歌とホームシックで押しつぶされそうな、あるいは隣接する強国に呑まれて独立国としては消滅してしまった祖国ポーランドを讃えるかのようなマズルカや力強いポロネーズがあります。わたしが実話物としては高得点の8点を献上したのは見事と言っていいほどポーランド人としてのショパンを排除してフランス人としてのショパンを本作品が描き切っているからなのです。ショパンポーランド人だったのかそれともフランス人だったのか...それは彼の音楽を聞いても生い立ちをたどっても答えは出ませんが、少なくとも人生の後半ではフランスで生活していてフランス人のブルジョワのお嬢さんの間でもてはやされたピアノ教師だったわけで本作品で描かれているラブコメ当たらずと言えども遠からずだと思われるのです。なお、ショパンの両面が描かれている作品があれば10点、少なくとも9点をつけますが今のところそのような作品は一作しかなく、なんとも中途半端で5点しかつけられない内容でした。

 


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