かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(37) 女の都 〜 ポスト・ウーマンリブ運動の夢幻界 8点】

【かわまりの映画ルーム(37) 女の都  〜 ポスト・ウーマンリブ運動の夢幻界  8点】平均点:5.89 / 10点(Review 9人)  1980年【伊・仏】 上映時間:139分. クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

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【あらすじ】

学者風の中年男の主人公は列車の個室で知り合った魅力的な女性に惹かれ、列車が臨時停車した野原の真ん中で女性に従って列車の外に出る。女性に従って行き着いた先は女の園・・・男性もいることにはいるが、全て女社会の論理に従って生活している。そこで主人公の女性に対する夢、欲望、恐れ、優越感などが増幅され、変形され、徹底的に糾弾される。フェリーニが最も信頼した男優、マルチェロ・マストロヤンニとともに体験できる、画家サルバドール・ダリの傑作「セックス・アピールの幽霊」を動画化したような二時間二十分。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 あれ、みなさん点数低いんですね。わたしは非常に気に入ったのですが・・・。初期のモノクロの時代にはリアリスティックな映画を作っていたフェリーニがこのようなシュールな作品を作ったのはもうろくでもなんでもなく、モノクロの制約がある時代にすでにリアリズムを追求しきった巨匠としての自負があったからだと思います。カラーがモノクロよりリアルになるのは何ていっても当たり前ですから、リアリズムを超えることに専念したんでしょうね。つまり、映画を欲望、幻影、ナンセンス、さらには精神分析を始めたフロイトが強調した無意識を描く手段にしようとしたのだと思います。最後のほうでマルチェロが気球で昇天するシーンの気球のカゴはまさに揺りかご、彼を空に導く人物は、(敬虔なキリスト教徒には申し訳ないのですが、)まさにイエス・キリストを女にしてビキニとハイヒールを履かせたようないでたち・・・。わたしたち人間は知的生物であると同時に獣で、男と女の関係もその二点をバランスするべく歴史的にいろいろ規定されてきたのだけれど、ウーマンリブ運動がようやくイタリアに波及した1970年代の終わりに、男と女の間の新しいバランスの方向を模索するかのように既成観念、特に男女を問わず抱いている下半身にまつわる思い入れや感じ方などを暴露し、笑い飛ばしているフェリーニ監督にフェミニスト(女権論者)として最大限の拍手(私がコメディーにつけることにしている最高点)を献上します

 

全員集合

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【独り言】

 


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