かわまりの映画評と創作

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【映画ルーム(35) レディー・ジェーン/愛と運命の二人 〜 歴史に「もしも」も「たられば」もないけれど 8点】

【かわまりの映画ルーム(35)  レディー・ジェーン/愛と運命の二人 〜 歴史に「もしも」も「たられば」もないけれど  8点】平均点:7.50 / 10点(Review 4人)  1985年【米】 上映時間:141分.  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3573

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【あらすじ】

16世紀の英国。ヘンリー8世の王位を継承した9歳のエドワード王は病弱で創設直後の英国教会を強化するどころか成人さえ危ぶまれた。エドワード王に跡継がなければ、王位継承者は旧教徒のメアリー王女となる。そこで国教会派が目をつけたのはヘンリー7世のひ孫で聖書や古典を耽読する美少女ジェーン・グレイだった。エドワード王も姉のように慕うこの聡明な少女に周囲はギルフォード卿との結婚を強要し、女王としての将来を固めようとする。英国王の系譜上、在位期間9日で一代と数えられるジェーン女王の生涯を描く。。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 「1000日のアン」に続く英国史ものということで鑑賞しましたが、こちらは「1000日」と異なって恋愛モノの色合いが強く点数はちょっと辛めです。主人公のジェーンとギルフォードは当初はお互いに反発しあっていたものの恋愛・結婚の順序を逆にしたような深い絆で結ばれたカップルとして描かれています。Wikipediaの英語サイトは二人両方を独立した項目で取り上げていて、どちらも「当時では稀な自由主義教育を受けた」秀才だったと書いています。と、言っても、二人とも年輪もいかないうちに女王とその配偶者に祭り上げられて処刑されたので、きっと二人ともに書籍の出版件数も少なかった時代に存在する全ての出版物を読んでしまうほど知識欲が旺盛で、国教徒派の周囲も国を治めるパワーカップルとしては息がぴったり合って最高の組み合わせと判断したのでしょう。ところで、ジェーン女王の即位を即位後9日目に覆したメアリー女王がスペインのフェリペ王と結婚した時はすでに37歳、今なら医学の知識を借りて子供を作ることはさほどむずかしくないけれど、「跡継ぎはどうするの???」と当時の周囲はやきもきしただろうと思われるオバサンでした。フェリペ王はこの時、野心見え見えの26歳、この若い夫のご機嫌を取るためか、メアリーは後年「ブラディー・メアリー」とあだなされるほど、国教徒派を粛清・処刑しまくったようです。ヘンリー8世とエドワード6世のときは様子見だった国民の多くがこれで英国教会に傾いたようです。このメアリー女王に子供ができなかったせいで、次のエリザベス一世支配下で英国教会のイギリスが誕生するわけですが、短期間の女王在位の後に同じく斬首刑になったアンが「わたしの血を引く者(娘のエリザベス)が必ずイギリスを支配する・・・。」と予言しながら死んでいったのとは違って、ジェーンはひたすら来世で夫のギルフォードと再会することだけを願って死んでいったので、恋愛ものとしては素晴らしい作品だけれど、歴史ものとしてはちょっと迫力に欠けるな・・・なんていうことを鑑賞後に考えました。

 

全員集合

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3573

 

【独り言】

アメリカの作品でヘレナ・ボナム=カーターのデビュー作なのにレビュー数が少ないのでちょっとガッカリです。目下、日本の皇室についての議論は女性天皇女系天皇の可否に集中しているようですが、16世紀にはこのような結婚目下ありだったのですね。つまり、この作品中の二人のように両方がリベラルな教育を受けているからくっつけるというのは両方のオツムが雲泥の差だったり考え方が真逆だったりするよりもずっと上手くいくという前提でくっつけるということです。日本の皇室では愛子内親王が東大に進学して万が一左翼の学生と恋愛したら皇室典範がどうのこうのの前に女性天皇にはアウトなので愛子内親王学習院大学に進学させるのでしょうか? 確か に愛子様が左翼の男性と結婚なされば愛子様も左翼になってしまうかもしれないのでまずいですね。まあそれはさておき、歴史的に見て信仰の自由が認められていなかったこの作品の時代に国教徒に担ぎ出されて即位したジェーン女王と夫君はガチガチのカトリック信奉者のメアリー女王によって処刑されますが、平和な時代であればカップルの両方が血統も教育レベルもお墨付きということで理想的な君主として君臨したはずなのですが。。。天皇には政治的発言権のない今の日本で愛子様と真逆の考え方の夫君はさすがに困りますが、似た者(頭脳と趣味)が釣り合う人格者の夫ぎみを見つけられて、できたら日本の象徴になっていただきたいです。愛子様悠仁様が属しているのは「もしも」と「たられば」が通用しない過去の世界ではありません。お二人は完全に日本の未来に属していらっしゃるのです。国民が「もしも」も「たられば」も思い切り駆使してお二人の未来の幸せを論じることが必要であり可能なのです。

 

【参考】

ジェーン・グレイ (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4?wprov=sfti1

 

ギルフォード・ダドリー (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC?wprov=sfti1

 

メアリー一世 (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC1%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%A5%B3%E7%8E%8B)?wprov=sfti1

 

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