かわまりの映画評と創作

読書ルームではノンフィクションと歴史小説を掲載

【映画ルーム(165) ハムレット(1948) 〜 舞台ではできないことの為に 6点】

【映画ルーム(165) ハムレット(1948) 〜 舞台ではできないことの為に 6点】平均点:6.33 / 10点(Review 12人)   1948年【英】 上映時間:153分  

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 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=431

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。

 

【あらすじ】

デンマークの皇太子ハムレットは父王の訃報に接して急遽帰国するが、待ち受けていたのは自分をさし置いて王位についた叔父と叔父との再婚を決めた母だった。ハムレットは警護の兵士の手引きで父王の幽霊に出会い、現王に殺された模様や無念の心境を聞かされるが以後、鬱々として思索ばかりを膨らませ、恋人オフィーリアやその父で大臣のポロニウスに当たるなどして周囲を困惑させる。思い切った行動を取れないハムレットが母の心変わりを責め、ポロニウスを誤って殺した時から運命の歯車は王家の者全員を悲劇へ導くべく動き出す。

 

【かわまりのレビュー】

舞台で何百回もハムレットを演じたオリビエが舞台でできない演出をするために作ったような作品。舞台でできないことを初めてやったと言ってもそれが作品にはまっているかどうかは別問題でナルシストが作ったナルシスト的作品と言われてもしかたないです。

 

ご近所(ウェブページ上の)でわたしの意見に近い方のコメント

今作のローレンス・オリビエにかけた期待がハズレでガックリ。表情から喜怒哀楽が滲み出ておらず、立て板に水の如く放つ台詞に何の重みも感じられない。というか監督・脚本・主演としてのナルシスト臭が鼻についてしまって、まさかメル・ギブソンに劣るとは思わなかった。オズリックがピーター・カッシングに似てるなぁと思ったのがその通りだったのが唯一の収穫。【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 4点

 

高得点の方レビュー

1. まったくもっての舞台劇がまったくもっての映画になっていますね~、これは。とにかく広々とした宮殿のセットを<見上げる><見下ろす><回り込む><移動する人物を追う>というようにXYZ軸の座標をカメラが見事に行き来します。また奥行きの深みには感嘆しますね~。ハムレットとオフィーリアとの絶望的な距離感を表現したかのような切り返しのツーショット、オフィーリアが遠く屋外から走りこんできてそのまま宮殿内のカメラに突進し、通り過ぎて切り返され遠く吸い込まれていく遠近感・・・シビれます。またオフィーリアの兄と王がよからぬ相談をし出した時に「わ~怖い」とばかりに数度に渡って引いていくカメラも見ていて実に楽しいです。そして全編に渡る照明の陰影、これまたモノクロームの雰囲気を存分に生かしうっとりとさせられます。オリヴィエさんにあらためて喝采を叫びましょう・・・オリオリオリOH!オリオリオリYEAH!【彦馬】さん 10点

2. 《ネタバレ》 ケネス・ブラナーメル・ギブソンのもそれぞれに良いのだけれど、今のところ「ハムレット」というと自分にはローレンス・オリヴィエ監督・主演のこの作品。 恐ろしくも哀しい復讐劇にモノクロが効いて氷のような冷たさ。 冒頭のエルシノア城、先王の亡霊が現れる間際は断続的にアウト・フォーカスになるのも不安がいやます演出。 膨らんだ袖の衣装が典雅に悲劇のデンマーク王子ハムレットを形作り、そこから放たれるセリフも生きたものとなる。 対してオフィーリア(ジーン・シモンズ)は、やや物足りなく。 狂った彼女が川に落ち歌いながら流される壮絶なシーンはミレーのような画にはなっているけれども、初登場シーンで既に自分のイメージとは違うのを感じてしまい、(ケイト・ウィンスレットやヘレナ・ボナム=カーターより、ソ連時代のロシア版がそれらしい)それでも彼女の三つ編みが、「ゴンザゴ殺し」の劇で王妃を演じる女形の少年に戯れに被せたカツラに似て、ハムレットがそこに彼女の面影を見出す脚色は秀逸と思うのだ。 泣き崩れるオフィーリアに気づかれぬよう、後ろ髪にそっと口づけるハムレットもまた然り。(戯曲では彼らの蜜月はすでに過ぎ去った過去のものとなっているから、オリヴィエは甘美な余韻を付け加えている) ハムレットの登場人物はみな興味深い。 謀殺者クローディアスすら懺悔し、彼に組する大臣ポローニアスとて悪人ともいえず、息子レアティーズに与える忠言を耳で聞くのも興あり、母ガートルードは事実を告げられた後はひたすらハムレット命と偏愛す。(このガートルードは、明らかに毒杯と見抜いて息子の身代わりにそれをあおる) 運命が連鎖的に命を消していき、ただ一人心友ホレイショのみが残される最後は静か、ただ静か。【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 9点

3. 御手本のような、というけど、御手本のような「ハムレット」です。ただ、それ以上でも、それ以下でもなかった。科白廻しでの心理描写が多過ぎて(それでも、オフィーリアの見せ場的科白は割愛されてるんだけど)、映画としては多分くどい話しだとは思うんだけど、それを敢えて白黒で撮影したことが、科白廻しのくどさを救ってるみたい。そもそも、原作に限りなく忠実な「ハムレット」だと思えば、映画としては「御手本のような」作品。セットも舞台仕様なセットだし。座右の銘になりそうな名科白の宝庫だし、見て損はないと思うけど、「ハムレット」そのものが人の内面の掘り下げで、悩めるマザ・コン&ファザ・コン男のムカツクお話だし、「よし、見るぞ」という気構えはいるかもね。でも、どう評価すればいいのかなぁ。ある意味、パーフェクトなんだけどねぇ。逆に、ハッとするような場面もない。「To be,or not to be」な気分。【由布】さん 8点

 

8、9、10点を付けたのはそれぞれ一人づつでした。3点以下を付けた方も皆無です。メル・ギブソン版(1990年)のレビューの中で監督がイタリア人で北欧の暗い雰囲気を描ききれていないというものがありました。まあ映画史上でそれなりの位置を占めているという評価が妥当かもしれません。

 

【映画ルーム(164) 山猫 (The Leopard) 〜 新旧の鬩(せめ)ぎ合いという混沌 9点】

【映画ルーム(164) 山猫 (The Leopard) 〜 新旧の鬩(せめ)ぎ合いという混沌 9点】 平均点:7.17 / 10点(Review 29人)   1963年【伊・仏】 上映時間:161分 クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

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【あらすじ】

19世紀後半、貴族に分割統治されていたイタリアを他ヨーロッパ諸国と同じ近代統一国家にまとめようとしたのはガリバルディに率られた赤シャツ党員などの庶民だった。旧体制を頑なに擁護するシシリアの貴族ドン・ファブリツィオは、自分を慕う若い女たちと別れて赤シャツ党に合流しようとする甥のタンクレディを暖かく送り出す。しかし、イタリア統一運動に干渉する外国勢力と赤シャツ党との激しい衝突を収めるためにサルジニア島の領主(国王)ヴィットリオ・エマニュエレ二世が立ち上がり、大勢は国内旧勢力のエマニュエレに傾いていく。

 

【かわまりのレビュー】

ここは少し待ってください。

 

10点の人のレビュー

1.”現状を守りたければ、変わらなければならない””獅子と山猫の時代は終わった、 あとは、ハイエナと羊が残るのみ。 ... ”地方の郵政貴族の没落と21世紀の日本国を予見したような傑作です【Waffe】さん [ビデオ(字幕)] 10点

2.貴族出身のヴィスコンティによる貴族のいやらしさと崩壊を描いた傑作だと思う。ヴィスコンティの作品は貴族の退廃といいますか、貴族の内幕モノという印象があります。アラン・ドロンがクラウディア・カルデナーレに婚約指輪を贈る、大喜びする彼女。けれど平民の娘である彼女にはそれなりの指輪を選んでいるのね。同じ貴族に「安物ですよ」と囁くドロン、貴族のいやらしさがうまく描かれていたシーンだと思う。細かな演出、特にバート・ランカスターの気品ある振る舞い所作など見事です。豪華絢爛、これぞ映画を観た!と堪能できる作品。【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 10点

3.サリナ公爵、そうとう腹黒い男と見た。政局が不安定なイタリアの議員になるより、甥の義父に恩を売った方が得だと計算したんだな。【Snowbug】さん [DVD(字幕)] 10点

4.《ネタバレ》 完全版で鑑賞。一大叙事詩という意味では「バリー・リンドン」と似ている。こちらはもっと人物描写に力を入れながらも、一つの時代の終焉を描く。時代の終焉とはすなわち、その時代の象徴であるサリーナ公爵の内面の死を意味する。ラスト、大舞踏会のシーンでサリーナ公爵が予感する「老い」や「死」とは決してサリーナ公爵という人物の死という意味のような生やさしいものではない。自分の生きてきた、信じてきたイデオロギーの死を確信しているのである。重厚な演技と相まって、えもいわれぬ哀愁と尊厳をそこに感じる。また、この時代考証と徹底的な絵作りは凝っている、なんてレベルではなく、1860年代当時のイタリア(もちろん見たことはないが)そのものである【Balrog】さん [DVD(字幕)] 10点

 

【独り言】

すぐ上 4. のBalrogさんに💐🎉👏を贈りたいです。2. のenvy さんもよくぞ気づかれました。このシリーズ初のレビュー無しであらすじだけでの掲載ですが、それには訳があって、criterion社から出ている英語注釈付きのDVDを見てからこことjtnews.jpの両方に投稿しようと思ったのですがディスクが見つからなくてこのように相成りました。もう一度英語字幕・英語注釈音声で鑑賞すればきっと新しい発見があると思います。掲載中の拙著の歴史小説の方が一皮も二皮も剥けて成長した主人公を描く(自分で言うのも変ですが)いわゆる佳境に入るのでその前に舞台となるイタリアの数十年ほど後の様を捉えた本作を紹介しておきたかったのです。

 

【参考】

【かわまりの映画ルーム(140) 眺めのいい部屋 〜 新旧の鬩(せめ)ぎ合いというダイナミズム 7点 (https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/05/06/223513?_ga=2.196116526.300089612.1614860580-321526888.1614424376)】は原作と映画作品ともにイギリスの作品でイギリスとイタリアの近代化を対比してみるのに役立ちます。またイギリスの作品の方にはバイロンが第二の故郷と感じていたかもしれないイタリアのトスカナ地方、特にフィレンツェの景観が頻繁に登場します。

 

【かわまりの映画ルーム(93) 夏の嵐(1954). 〜 破れかぶれの悲恋 9点 (https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2019/12/12/113131)】はイタリア半島西側の海洋都市シチリア島を舞台にした本作「山猫」と同じヴィスコンティ監督による名作で同じ時代のイタリア半島西側の海洋都市ヴェネツィアを舞台にしています。しかも主人公は同じく貴族階級に属し、ただこちらは女性です。「山猫」で最後までバート・ランカスターと主演の座を争ったのはイギリスのシェイクスピア俳優のローレンス・オリビエでしたが、高貴な永遠のイケメンのイメージがあるオリビエが「山猫」の主演を射止めていたら「山猫」は「夏の嵐」の女性版ということになっていたでしょう。バート・ランカスターの「山猫」そうではなくて「夏の嵐」西海岸版…では訳がわからないでしょうが、ランカスターの渋い面影は貴族である以前に「土豪」で、強い生命力と加齢による洗練の両方を写しています。もちろんランカスターが演じるファブリッチオは既にイタリアの未来の為に心血を注ぐことが出来る年齢ではないのですが……彼の生命力を具現してくれるかと期待させたアラン・ドロンが演じるタンクレディは……アラン・ドロンがミスキャストだったわけではなく、これでいいのです。ご意見・ご感想はj「みんなのシネマレビュー(jtnews.jp)」に登録してそちらでどうぞ。

 

 

ガリバルディ (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3?wprov=sfti1

 

ヴィットリオ・エマニュエレ二世 (ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AC2%E4%B8%96?wprov=sfti1

【映画ルーム(163) セブン・イヤーズ・イン・チベット 〜 覇権国家は怒り心頭、でも気楽に見てね! 9点】

【映画ルーム(163) セブン・イヤーズ・イン・チベット覇権国家は怒り心頭、でも気楽に見てね! 9点】. 平均点:6.21 / 10点(Review 158人)   1997年【米】 上映時間:139分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

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【あらすじ】

オーストリア人登山家のハラーは出産間近の妻を後にし、ナチス政府の威信をかけてヒマラヤの高峰に挑むが、第二次世界大戦が勃発して英領インドのヒマラヤでイギリスの捕虜となる。2年後、仲間とともにチベットへの脱走を果たしたハラーは妻を忘れ、世界大戦終了後もチベットでの生活を選ぶが、そのハラーに、幼時に「生き仏」と認定され、英才教育を受けて聡明で好奇心旺盛な少年に成長したダライ・ラマが面会を希望する。ダライ・ラマらとの暖かい交流も束の間、地上の楽園チベットは領土拡張を目指す中国共産党の脅威にさらされる。

 

【かわまりのレビュー】

2008年春現在、非常にホットな作品で地元の図書館連合でほとんどが借りられていて、リクエストをかけてやっと鑑賞することができました。私たちはチベットについてもっと知るべきなので、その観点から是非お勧めする作品です。主人公ハラーがチベットに旅立った時、彼の祖国オーストリア世界大恐慌ヒトラーの台頭のどさくさに紛れてドイツの一部になっていましたが、1951年に彼が帰還した時にはドイツとは別の国でした。言葉も習慣もほとんど同じながら、歴史が異なるドイツとオーストリアは決して一緒にはなりません。だったら、 言葉・習慣・宗教など全ての面で異なる中国とは異なるチベットがなぜ中国の一部にならなければならないのでしょうか?少年ダライ・ラマの人柄にも感銘を受けました。インドに亡命して相当な月日を経たダライ・ラマも聡明で気さくなおじいちゃんのようですが、作品中でも聡明ながら暖かい性格の少年でした。ダライ・ラマが英語を話すのに違和感を覚えたというコメントがありますが、そもそもダライ・ラマというのは先代ダライ・ラマが指定した方角から幼稚園に入るより少し前くらいの年齢で並外れた知能を備えた男の子を「先代の生まれ変わり」と認定して連れてきて英才教育をほどこして一人前の宗教指導者に育てるので、素質も環境も十分なのです。多国語に通じていてすでに聖職者としての実績がある人間を選挙で選んで最高指導者の地位に据えた後でヒトラー・ユーゲントにいたことがあるとかないとかが問題になったりするカトリックローマ法王よりもっと完璧な宗教指導者になるわけです。選ばれる本人に選択の余地がないからかわいそうかもしれませんが、私たちの中で完璧に人生を選択できる人間がどれだけいるのか・・・?幼いダライ・ラマが唯一与えられたおもちゃのオルゴールの音楽がドビッシーの「月の光」だったのがなぜか非常に印象に残っています。

 

10点の人のレビュー

1.すごく泣けるストーリーでした☆【まあみ】さん 10点
2.長いけど全然退屈せーへんかった。それに映画の中の風景はほんまにきれいで。天国みたいなぜっぴんな景色やった。前半は淡々としとるけど、なんでか気にならんかった。多分景色に圧倒されてたからかも。それだけに後半の一変する展開はほんまに怖くて悲しかった。まさか、そんな風になる映画やとは思ってなかったから余計びっくりしたわ。実話をもとにしてるだけに、衝撃的やった。ほんと知らないことって沢山あるんやね。 <追記>。かなり昔にこんなレビューをしてたんだけど、今回改めて見直した。レビューを書いた当時は、僕に子供などおらず、ただチベットの景色と中国の恐ろしさのみしか印象がなかったみたいだけど、今や僕にも息子がいて、あの頃味わったことがない感覚てゆーか、ハラーの息子に対する心の動きがもろに僕の心を貫いて、もう涙、涙で、こんなに胸に来る映画だったとは。ダライ・ラマに息子の面影を重ね、でもそれは違うとダライ・ラマに諭され、故郷へ帰る。そして息子との再会。これは父になる映画だったのか?昔は、そんな解釈これっぽちもこの映画から感じなかったんだけどね。自分が知らぬ間に変化していて、それにより映画の感じ方も変わってしまう。時の流れは、不思議だ。今回はそこに驚いた。点数そのまま。【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点
3. 個人的には長さはそれほど感じませんでした。
前半のの怒涛のサヴァイブ部分と、
後半のチベットでのヒューマンドラマ、
2つの映画を続けて見たような印象で満足でした。
極限状態でも生き延びるみたいなテーマ好きなもので。
チベット問題についての取り上げ方が深みがないのかも知れませんが、
やはり大衆向け映画なのでこれくらいでいいのではないでしょうか。
深すぎず程よくエンタテイメント性を保ってると思います。
無邪気で俗っぽいダライラマが良かったです。【コチョレ】さん 10点

 

低い点をつけたみなさんんのレビュー

1. なんだ!!!!このおもしろくない映画は!!!退屈すぎる。でも無理して最後まで見た。やっぱりおもしろくなかった。【くーちゃん】さん 0点

2. ブラピはかっこいけど、うーん、話として面白くないな。【斬 鉄剣】さん 2点

3.決して雰囲気は悪くないのですが、面白くないです。味気なさすぎて退屈極まりないです。ブラッドピットの猿顔も演技もますます嫌いになりました。【VNTS】さん 3点
4.おもしろいと聞かされたが、そうでもなかった。
見ていて、チベットに長くいることによる
困難といったものをもっと伝えればもっとよかった
これのせいでブラッド・ピットの作品を避ける
ようになってしまった・・【ZVo】さん 3点

 

【独り言】

15年の月日を隔てて思うのはこの作品はナショナル・ジオグラフィックの作品のようだということです。つまり自然史や博物史に特化したドキュメンタリー製作者としてアメリカでは知らない人のないあの会社の作品のようだということです。それだけ主人公ハラーの西欧世界との軋轢よりかはそこからの逃避に焦点が当たっている作品なので面白くないという意見も一応頷けます。しかし2008年に於いてアメリカでは未だにホットな作品だったのですね。この作品のせいで監督と主演のブラビは一生涯中国には再入国できないことになりました。でもわたしは密かにこの2人や他の製作者がこの作品のエクストラ達と中国で再会を果たすことを夢見ています。閑話休題日本国憲法の前文のお手本はチベット憲法なんだそうです。日本はチベット人の考え方に共感し憲法を真似ましたが、そのチベットはもはや独立国ではなく今や民族の独立や尊厳さえも風前の灯になっています。チベット憲法は現時点では失敗作だったかもしれませんが、だからと言って日本が現在の憲法を捨て去る必要はないと思います。日本は民族同士のせめぎ合いや混淆に晒されてきた国々や理念に拠って建国されたアメリカの真似をする必要などこれっぽっちもないのです。どんな国も日本人の頭と心に育まれた意気と創造性は奪えないのだから日本は人類全体の進歩のためにも日本人の頭脳や技術を磨くことだけに専念すれば良いと思います。でもその過程で地理的・文化的、その他もろもろの条件のせいで自国の文化や社会を防衛しきれない人々、特にチベット人のような優しい人々に気を配ることも必要なのだとこの映画は気づかせてくれます。

 

【映画ルーム(162) 地獄門 〜 美術だけでは… 今後に期待 5点】

【映画ルーム(162) 地獄門 〜 美術だけでは… 今後に期待 5点】 平均点:6.32 / 10点(Review 22人)  1953年【日】 上映時間:89分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。

 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=2164&

 

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【あらすじ】

芥川龍之介の「袈裟と盛遠」をお読みください。古典(源平盛衰記から?)なのでネタバレOKですよね。

 

【かわまりのレビュー】

芥川龍之介の『地獄門』の朗読を聞きたかったのにYouTubeで出せんかった。何でやねん?」とわたしの母が言ったことから中国語字幕付廉価版値段並DVDを再度プレイヤーに……。カンヌ映画祭のグランプリ受賞ということで期待して購入したんですけれど……。アカデミー賞では美術賞か何かの受賞だけに止まったのも当然です。惜っしいです。盛遠が袈裟御前にしつこく言い寄って競馬で彼女の夫と張り合うだけではなく、歌、蹴鞠、奏楽、舞踊、その他諸々の競技と学芸全てで袈裟御前の夫に挑戦して悉く打ち負かされてボコボコにされて「袈裟ちゃんなくしてまろの生きる意義はいかに?」と自問自答しながら死んでいくという日本平安時代版「若きウェルテルの悩み(ゲーテ作)」のストーリーにしていればきっとアカデミー外国語部門賞を取っていたはずです。これじゃまるで長谷川一夫京マチ子のプロモーションビデオです。だから今後に期待します。因みに対応する芥川龍之介の作品は「袈裟と盛遠」と「地獄変」です。

 

最高点(8点)をつけた方々のコメントはみんな秀逸です。

1.かつてカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品とか。その理由だけで観たんだけど、これが意外に掘り出し物。この50年代に、しかも日本でカラー作品が撮れたなんて。まず観る前の最初のイメージは恋愛ものかなっと。でも実際の作品は案外そうでもない。人妻を好きになってしつこく追っ掛けて・・・って、実はこの映画、今で言う“ストーカー”の映画だったんですね・・・【イマジン】さん 

2.《ネタバレ》 そんなに評価高い作品じゃないみたいだけど、カンヌとか言うだけあって個人的には結構満足な出来。こんな長谷川一夫山形勲見たの初めてだし、グランプリ女優京マチ子は流石の美しさ。しなだれ具合が素晴らしい。そして鮮やかなカラーが印象的な作品。【バカ王子】さん 

3.《ネタバレ》 「平治の乱」の時代を背景に、平家に代表される粗野な武士階級の擡頭と、貴族階級と共に没落して行く平安文化の姿を、三人の男女の悲劇として象徴的に描いた作品とみる。もちろん、琴のつま弾き手である袈裟(京マチ子)が平安文化を象徴する存在で、おそらくは(自分を庇護してくれた)夫の階級の無力さ、以後の没落を予想し、権力で美の世界を牛耳ろうとする武士階級の隆盛を予測しての行動であろう。それでも、登場人物の誰一人として是認し得る行動を執れていないと思える辺りに、悲劇の悲劇である処の美学が美しく描かれているだろう。
終盤の公卿の屋敷を歩く三人の登場人物の背後の影、色彩が、それぞれの人物の心理をも顕わしているようで、観ていて息を呑む。色彩設計(近代美術館に作品も展示されている画家、和田三造が担当)も見事な、日本映画の傑作だと思う。この時代の日本映画の隆盛振りは素晴らしい。【keiji】さん

4.ある意味コメディとして大変楽しめた。長谷川一夫といえば後に国民栄誉賞を受賞するほどの大スター、その長谷川にこれほどの大馬鹿者を演じさせるというのが面白くてたまらない、凄まじい目力、キリッとした眉毛、そして大仰な演技が一層面白さを引き立てていた。ただ、これは本来の楽しみ方ではないな…。やはりこの映画の見所は場面ごとにまるで絵画のような美しさを感じさせる鮮やかな色彩。邦画のカラー初期という事もあり、外国人にとっては衝撃だったのだろう、世界から絶賛されたのももはや当然に思えてくる。これをデジタル・リマスター版で見られて本当に良かった。ストーリーそのものには大分無理があるというか、納得いかない点があるので、減点せざるを得ないが、好きか嫌いかで言えば断然好きな映画ですね。【リーム555】さん

【独り言】

特にKeijiさんの歴史的考察にははっとさせられました。わたしの注文だと盛遠も貴族階級でないといけません。(制作費的に)ちょっと無理でしょうか? 袈裟はどう見ても貴族のお嬢様…盛遠とやっていけそうにはないとわたしは思うのですが…。

 

最低点(4点)は意外と高く人数もたったの2人でした。この2つも共感できます。

1.《ネタバレ》  1953年、日本初のイーストマン・カラーだそうだ。さすがに気合が入っていて、スタンダードサイズだが色彩は綺麗であり、この時代の他の日本映画と比較すると、絵としてはかなり見ごたえはある。京マチ子の魅力も存分に発揮されている。

 しかし、テンポは悪く、ストーリーにも違和感ありまくり。
 いくら、時代設定が平安末期だとしても、長谷川一夫のあまりのジャイアンぶりは全く共感できず、むしろ不快感すら覚える。 

 さらに、最後になってその理不尽なやつが反省するのも、ありえなさすぎで不自然。お子様向けのアニメじゃないんだから、ラストで反省できる頭があるんだったら、最初から考えるだろう。

 当時、海外でも高評価、日本の平安時代末期の時代設定の映像が海外ではあまりにも物珍しかっただけのような気がする。【nobo7】さん

2.《ネタバレ》 まあ、確かに衣装始め色彩は美しいのですが、演出の方向性がどうもはっきりしなくて・・・所詮はストーカー話なんですから、もっとアホ路線の方がよかったのではないでしょうか。または逆に、男同士の斬り合いやせめぎ合いの部分をメインに持ってくるかです。会話のやりとりだけが積み重ねられている感があるので、全体に迫力がありません。【Olias】さん

【読書ルームII(98)  黄昏のエポック- バイロン郷の夢と冒険】

第八話 暴風雨 (一八一八年 ~ 一八二二年 イタリア 1/  )予告

 

次のエントリーも乞うご期待! 

 

最後のエントリーでは全200ページ(全10話 MSWORD)中152ページ目前後を掲載しています。アマゾンキンドルをお持ちで先を早く読みたい方は投げ銭のつもりで約200円で有料ダウンロードしてください。その他の方は日本企業がキンドルを超える電子書籍リーダーを発売するまで有料ダウンロードはお待ち下さい。本ブログにアップロードしながら全力で編集・改訂し、アマゾンからすでに有料ダウンロードされている方にはできたら無料でお贈りしたいです。なお編集・改定後は多少値上げします。

 

本作の目次はURL: https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/17/190941 の後半 部分にあります。前半では執筆目的などを述べています。バイロン肖像画の他、本作品中で重要な役割を果たすパーシー・ビッシュ・シェリーとメアリー・シェリーのウィキペディアサイトへのリンクもこのエントリーにあります。

 

ノンフィクションの拙著「プロメテウス達よ〜 原子力開発の物語」も宜しく。目次はURL:  https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/16/150333 の後半(前半は執筆動機) に掲げました。こちらの方は各章の細分化と「あらすじ」添付で苦戦しております。「黄昏のエポック」と同じく不完全ではありますがアマゾンから電子出版しています。

 

「かわまりの映画ルーム」は長らく映画評やあらすじを投稿させて頂いた「みんなのシネマレビュー (jtnews.jp)」へのささやかなお礼として「わたし個人の感想」を切り口として同サイトにご来場頂くために始めました。「みんなのシネマレビュー」は膨大な登録作品とレビューワーを抱えて、データベース機能が充実していますのでこれからも多くの登録作品と年に2、3度のレビューワー募集を通じてのレビューワー数を期待していますが、そのためには同サイトの運営資金源となる広告収入、つまりは閲覧者数の増加が望まれます。その意味で個人レビューワーや監督・俳優を軸として同サイトを含む総合映画サイトのポータル・サイトが増えると良いと考えています。なお、このハテナ・ブログの閲覧はハテナ・ブログの収益に繋がります。わたしの映画ルームは完全に趣味として無償でやっておりますが、ここでの映画タイトルに続く"〜"の後に続くのはわたし自身が創作したキャッチコピーなので今のところ本ブログ限定の趣味的創作ですが無断転載・使用はお控えください。皆様がキャッチコピーを参考にして良い映画に出逢われることを希望しています。映画評一覧は下のURLの下部で作成中です。

https://kawamari7.hatenablog.com/entry/2020/11/15/230548

 

本ブログサイトの「読書ルーム」とアマゾンからの電子版との一番大きな、また将来にわたって変わらないと思われる違いはブログ版はウィキペディアを始めとする外部サイトとの連携があり、また読者の皆さんからのご意見を投稿を通じて拝聴できることです。一方の電子出版では双方向性はありませんが、注や出典など不変の内容が多く含まれます。

【映画ルーム(161) トロイ 〜 傾城の美女とむきむきの肉体美英雄と… 7点】

【映画ルーム(161) トロイ 〜 傾城の美女とむきむきの肉体美英雄と… 7点】 平均点:5.86 / 10点(Review 258人)  2004年【米・英】 上映時間:163分  クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=8879

 

【あらすじ】

3000年前。トロイの王子パリス(オーランド・ブルーム)は敵国スパルタの王妃ヘレン(ダイアン・クルーガー)と恋に落ち、彼女を略奪してしまう。王妃奪還のため城塞都市トロイに差し向けられたギリシャ連合軍。その中には最強の戦士と崇められるアキレス(ブラッド・ピット)の姿があった。/伝説的なトロイ戦争を描いた古代ギリシャの詩人ホメロス作『イリアス』を映画化。名誉、栄光、国家、愛。男たちの壮大な戦いを描く大英雄叙事詩。【紅蓮天国】

あらすじ執筆者のページ:  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=22024

 

【かわまりのレビュー】

.《ネタバレ》 ホメロス叙事詩「イリアッド」を映画化したり小説化したりする時に主人公はギリシアの知将オデッセウスホメロスによる続編あり)だったり、トロイの武将アエネアス(ローマの詩人ヴェルギリウスによる続編あり・・・本作品中最後に一瞬登場して宝剣を受け取る)だったりで、誰が主人公でもいいのですが、本作品ではアキレウスが主人公なんですね。金髪で一見強そうではないけれどめちゃ強くて、自信と生意気さが「アマデウス」の中のモーツアルトを髣髴とさせて魅力的ですが神話性が中途半端です。アキレウスのキャラは神話的で原作でもわけがわからないのでどうでもいいんですが、本作品中ではトロイの巫女と恋に落ちるのでぶちこわしです。アキレウスは本来、筋金入りのホモで、ヘクトルに従弟を殺されて逆上し、それまで戦いの傍観者だったのにヘクトルとの対決に至るのです。パリスは本作品では世間知らずのボンボン・・・まあ、いいでしょう。トロイ戦争は、歴史では海洋民族ギリシア人が黒海沿岸貿易に進出するためにトロイへから地域の覇権を奪おうとして行ったと説明されていますが、「イリアッド」やこの映画ではこの教科書的事実には触れられていません。ホメロスは如何ともしがたい運命に翻弄される武人や王族の群像を書こうとしたようです。この戦いのそもそもの発端は、海の女神ティティスと人間の王様と結婚した際、披露宴に喧嘩の女神エリスが招待されず、女神エリスが怒って「一番美しい者へ」と文字を書いた呪いのりんごを投げ込み、臨時美人コンテストで最後に残った権力の女神ヘラ、美の女神ビーナス、知恵と勇気の女神アテナが、トロイの王子パリスのもとへ赴きそれぞれの女神は賄賂をちらつかせて金のりんごを自分のものにしようとし、結局、パリスが美の女神ビーナスが一番美しいと正直に言ったので・・・という風が吹けば桶屋がもうかる式の話なのですが、ここまで回りくどいからこそそれぞれの宿命を背負った武人たちの武勇に生きる姿が真に迫るのです。「祇園精舎の鐘の声」で始まる平家物語の武勇伝が心を捉えるのも「盛者必衰の理を表す」という哲理が背後にあるからなのです。教科書向け事実はともかく、文学作品には必須のこのような哲理が描き出されているかどうかでこの作品を評価しようと思って映画館に赴いたのですがまあ、こんなもんでしょう。

 

10点(最高点)の方のレビュー

1.《ネタバレ》 期待以上でした♪ストーリー良し、役者良し、演出良しの三拍子!男女の愛、家族の愛、そしていたずらな運命。悲しくも美しいラスト・・・ブラピ様はもともとのファンという贔屓目を差し引いても、最高のアキレスぶりでした。ステキすぎるぅ!パンフにブラピの“人間は自分たちが思ってるほど進歩していない・・・”って言うコメントが紹介されていて、ドキッとしました。人間て本当に欲深いものなんですよね。世界制覇の欲は無くても、パリスの欲望は誰にでもあるものですものね。そしてどうしても山崎トオルに見えちゃうオーランドより、ヘクトルエリック・バナが良かった~!そうそう、一緒に行った夫は、ヘレンの美しさに戦争が起きるのも無理はないなんて言ってましたが(苦笑)。ああ、挙げればキリがないほどの心に残ったシーンがありました。また、戦闘シーンも様々な戦略とその描き方、BGM、カメラワークが幾通りもあって、迫力あるのに、女性にも観やすくて良かったと思います。早くDVD出ないかなぁ~!とにかく最高!!【らふらんす】さん

2. 投稿読んで、「なるほど!」と思いました。へクトル大人気なのは彼は家族を大事にしつつ仕事も一生懸命する「今どきの理想のパパ像」だからなんですよね。わかりやすいんですよ、現代人にとってヘクトルって!私はこの映画を5回観ましたが、何故そんなに観たかというと「娯楽映画」として楽しめるからなんです。だって、アキレスの戦闘時の動き方って全くもって「忍者」でしょ?だから、残念ながら戦闘シーンは日本映画に劣ると思います。だけど出演俳優は素敵ですよね!(私はこれでブラピのファンになりました。)結局この映画はあんまり深く考えないで「ハリウッド映画万歳!」って思いながら観たら楽しく観れるんじゃあないのかな?【るる】さん 10点

 

低い点数をつけた方のレビュー

1.なんか以外にもみんなの評価が高くて書きづらいです・・・。僕の率直な感想はそんなに無駄づかいするなら少しぐらい俺に分けてくれ!って感じです。ちっとも面白くなかったし金をかけてる割にはアクションや映像もなんかしっくり来なかったし。僕としては戦争ではなく人間をもっと描いてほしかったです。出来事を描くのではなく人間を描くのが映画だと思います。僕にはこの映画がそれをまったくできていなかったと思います。あったとしても露店で売っているようなチョコバナナに振りかかっているチョコチップのような適当にまぶした感じにしか見えませんでした。僕的には早くも今年のラズベリー賞はこれで決まり!といった感じでした。まぁ、色々な圧力からノミネートすらされないような気がしますが・・・。【野次られLOW】さん 0点

2.《ネタバレ》 次から次へと感情移入先が死んでいく・・・。これを観て何が残るんでしょうか?あの防具つけるとみんなかっこ悪くなるし・・。【よーじろー】さん [DVD(字幕)] 0点

3. .監督さん、超大金かけて現代の人々に何を思ってほしかったんですか? あんたは何を大切にして生きてんだ?【だみお】さん [映画館(字幕)] 0点

4. 《ネタバレ》  よその国で歓待されながら、その国の王妃を寝取る、たぶん戦争になること承知で国に連れて帰る、「戦争やらないで決闘でけりをつけよう」と自分で言い出しながら、ヘナヘナと負けて逃げようとし、兄に助けてもらう。自分のせいで国を失い、父、兄を殺されながら、あくまで妻との愛情が優先。 こんなやつが特に非難もされなきゃ、酷い目にもあわず、あげくが最後に主人公射殺すとか。 もう、パリスが画面に出てきただけで不愉快になりましたw(神話だからしょうがないといわれても)戦闘シーンも酷いですね、単に大勢同士でチャンバラやってるだけで、この手の歴史物では最悪です。製作者は欧米人なのにギリシャの集団戦法もしらないんでしょうか。

ただ、ダイアン・クルーガーがとても綺麗で、戦争引き起こすだけの説得力はありましたw
平成24年9月3日再見(おそらくラスト)名古屋弁で「馬鹿」を「とろい」と言いますが、まさし「とろい」映画。 特に今回強く感じたのは、最初の攻城場面。難攻不落と知られている、しかも優秀な弓兵がそろってる、そんなトロイを攻めるのにろくろく攻城兵器も持たずワラワラと大勢で攻め寄せるだけ、そりゃ負けるって。こんな馬鹿なとろい戦闘シーン見たこともない。
 あと、登場人物の誰にも魅力を感じなかったなあ。そもそも侵略する方に理(女房を寝取られた、一対一で解決するはずの取り決めを一方的に破られた等等)があるのも、気持ちが入りにくいし。 また今回見て、実は主人公が一番おかしいめちゃくちゃな人間じゃないかと思った。一見、悪役っぽいギリシャの王様兄弟だが、彼らには「侵略して、富や領土を奪いたい」「逃げた女房を殺したい」等、一応理解できる動機があるんだけど、それに比べてアキレスときたら、

 

【独り言】

近世ヨーロッパ知識人が身につけた教養メニューの定番でかつ英語に翻訳したのがバイロンが崇拝していた、脊椎湾曲症のせいで一生を書斎の中だけで過ごしたというアレクサンダー・ポープだということで読書ルームII に挿入しました。なおポープはかの物理学者・数学者のニュートンの親友でダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」nでも過去に生きたキーパーソンとして触れられています。本作と同じ内容の「トロイのヘレン(1956年)のヘレンの方が神がかったように綺麗だったのを覚えていますが今のところ再度の鑑賞は叶っていません。レビューだけですが下のURLで概要をご覧ください。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=9274

 

またひと休み

第六話をアップしている間にアメリカの大統領就任式があり、1月21日を底として訪問者数がV 字型に落ち込みまた上昇しました。わたしはこのことが、わたしのブログの訪問者、特に目下連載中の「黄昏のエポック」を読んでくださっている皆さんがわたしと同じく、またはバイロン郷がそうであったように政治理念に大きな関心を寄せるような方であるからだといいな…と思っています。

 


第六話でバイロンは親友ホブハウスと愛してやまない少年エーデルトンとに導かれ、また年少の頃からのナポレオン崇拝とフランス革命への関心も手伝って政治への関心を得ました。わたしはホブハウスに「イギリスは真昼の道を行く先進国。」という台詞を喋らせましたが、ちょうどそれより三十年ほど前にイギリスよりも更に高い理想を掲げて独立したアメリカの現在のテイたらくは一体何なのでしょうか? 詳しくは目下、日に日に規制を強めているヨウツベで適当な動画をご覧になっていればお分かりだと思います。そしてつい先だって完結した第六話の中でバイロンが書き上げた3つの作品の中で最も意欲的に創作された「イングランドの詩人とスコットランドの批評家」は言論の自由を讃え、謳歌するために書き上げられました。彼が今のアメリカと世界の状況に口を挟むことが出来れば一体何と言うでしょう。

 


ともあれ、今の時点で明日の未来を切り開くのは今の時点でこの世に生きているわたしたちです。ただわたしたちはバイロンを始めとする現在の政治理念の先駆者達の情熱を引き継ぎ、それをより良く現実世界で生かさなければいけません。ということで次の第七話はバイロンが政界デビューを果たし、また東方旅行で得た、ロマン的心情が溢れ、諸外国の民族の心情と文化にも深い関心を寄せる「ハロルド郷の巡礼」が閉塞的なイギリスの貴族社会で一世を風靡し、正に得意の絶頂期に至った頃の逸話になります。バイロンのイギリスでの政治家生命と文壇の寵児としての評価がどのように終焉を迎えたのかは皆さんは既にご存知です。第六話の時点ではバイロンを数学者に育て上げようとしたマシューズと社会的弱者に目を向けさせたエーデルトンは既にこの世の人々ではありません。そして第七話でバイロンはマシューズとエーデルトンの強い影響から脱してはいますが第一話と第三話で経験していた自分の天命を探し求める苦闘は未だ経験していません。ある人とその魂を重層的、あるいは立体的に描くためにはあえて時系列の叙述から脱してみるのも一つの方法ではないかとわたしは思い、本作でそれを試行しています。

 


ところで、これはこの作品を一応脱稿してから気づいたのですが、十のエピソードから成るこの作品の実に3分の1に当たる四つの挿話は主人公にして我らが理念実現の英雄であるバイロン郷の涙で幕を閉じます。第八話に至っては、バイロン郷は幕引きの場面のみならず中間でも涙に等しい錯乱状態に陥ります。また読み返してつくづくまるで源氏物語のように主人公を持ち上げてばかりだと感じています。アマゾンの方で書きましたが、この作品の原型は源氏物語ではなくて伊勢物語で、伝記や司馬遼太郎流の歴史小説の向こうを張ろうとしたわけでは決してないので読者の皆様もその点はご容赦願います。