かわまりの映画評と創作

読書ルームではノンフィクションと歴史小説を掲載

【映画ルーム(151) 真珠の耳飾りの少女 〜 画家の伝記に静かな映像美 7点】

【かわまりの映画ルーム(151) 真珠の耳飾りの少女 〜 画家の伝記に静かな映像美 7点】 平均点:6.32 / 10点(Review 68人)   2003年【英・ルクセンブルグ】 上映時間:100分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=8604

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

17世紀のオランダ。貧しい娘のグリーダは奉公先で気位の高い女主人や大勢の子供たちに囲まれ、日々の仕事に追われるうちに主人で画家のフェルメールの正体を次第に掴んでいく。肖像画家として高収入を期待されながら、フェルメールには別の目標があった。絵画によって光を捉えること・・・。グリーダに絵に対する好奇心が芽生えるにつれ、フェルメールは派手好きな妻から清楚なグリーダへと画家としての関心を移していく。美しさと清純さによって絵画史上に肖像イメージを残した少女と少女の目を通して見た天才画家の生活を描く。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 全編を通じてドラマらしい波風は一切なし、17世紀のオランダの庶民生活を淡々と描いた映画と言ってもいいとも思いますが、それがやはりドラマ仕立てで映画になっているのはやはり、わたしの前の方も書いておられるような押さえたエロティシズムの表現が十分ドラマとしての要件を満たすとプロデューサーが考えたからでしょう。ハリウッドばりの派手な映画がお好きな方には必ずしもお勧めはしません。前の方が触れられた、グリーダが髪の被り物を取る時のエロティシズムが脱衣に対応するなら、フェルメールがろうそくの火で消毒した針でグリーダの耳たぶに穴を開けるのは・・・説明するまでもない、非常にきわどい内容なのです。しかもフェルメールは妻との間に多くの子供をもうけていて、それが妻に対する愛情の徴だったとするならば、通常の意味では若い女の子に普通に手を出す必要は全くないわけで、グリーダとの関係や肖像画など、妻に対する世俗的でありきたりな愛情を超越した、光を求めた画家の精神世界でのエロチシズムに昇華された美への渇望だったのかもしれません。だったらこの作品は精神世界でのエロチシズムを描いていると言っても過言ではないでしょう。ところで、フェルメールがどんな顔だちをした人だったかは知りませんが、主演のコリン・ファースの顔は同じオランダ人で銅像が残されている、奇怪な絵を描いたことで有名なヒエロニムス・ボッシュに似ています。スカーレット・ヨハンセンの抜擢は実在の真珠の耳飾りの少女に似ているからでしょうが、ファースの採用もももしかしたらボッシュと関連あるかもしれません。

 

9点(最高点)をつけた人、全員集合

1.17世紀のオランダのさり気ない日常を描きつづけた画家フェルメール。寡作家でその大半が室内画であり、また謎の多い人物だったことから、タイトルにもある少女をモデルにした絵が出来るまでを、人間ドラマとして大胆な仮説をもとに綴ったのが本作。作品を魅力的にしているのが、メイドとして雇われた美少女グリートを演じるS・ヨハンソン。  腫れぼったい唇の困惑顔で、いつもどこか不機嫌そうなその表情が男心をくすぐる。C・ファース演じるフェルメールも、彼女をあくまでも絵画の良き理解者という表向きの体裁を繕ってはいるが、彼女の魅力の虜になってしまっているのも事実。この危険な香りを放つ両者の拮抗した演技には魅了されてしまう。二人に果たして男女の関係があったかは、 映画ではついぞ描かれる事はなかったが、耳にピアスの穴を開けるシーンに暗喩としての匂いを嗅ぎとれる。グリートの苦悶の表情のその艶めかしさだけで十分であろう。真実は誰にも分からない事であり、後は個人個人が想いを巡らしてロマンを感じとればいいのである。そしてもう一つの魅力は、フェルメールたちが間違いなく生きていたこの時代を、なんの違和感をも感じさせることなく再現してみせた衣裳と美術そして撮影技術の進歩。湿り気のある空気や柔らかな光と渋めのトーンで統一された色彩処理など、その徹底ぶりには只ならぬものを感じさせ、この作品の雰囲気を余すことなく伝えることに成功している。【ドラえもん】さん 9点

2.前々から評判を聞いて見たかった映画でした。どの場面を切り取ったとしても絵になる素晴らしい作品です。この作品にたずさわった人達の衣装やセット、小物などのすべてにいきわたる心配りとこだわりにホントに圧倒されてしまいます。フェルメールの絵は光の使い方が素晴らしいと良く言われていますが、この作品の中の光の使い方もフェルメールの絵画と並ぶくらい美しく魅せられました。セリフは少ないですが、ストーリーを追わずとも映像だけで説得力のある作品で、久しぶりに本当にいい映画を見たなという思いがしました。「真珠の耳飾り~」の絵は、絵の中の少女の表情、しぐさ、様子からお腹の大きな奥さんにはほんとに酷な絵だったと思います。こんな表情をして自分の夫の前に長い間いたこと、そして描くためにじっと凝視していた夫の胸中.....そして自分だってもっとそんな風に見ていてもらいたいのに....という感情と思考がその絵を目にした一瞬で彼女の頭の中をごちゃごちゃにしてしまうほどの名画なのだということがラストの場面で怖いほど思い知らされました。また機会があったらゆっくりと鑑賞してみたい作品です。【ぱんた】さん 9点
3.1カットが永遠に見える。濃密な6000秒。素晴らしい!【k】さん [DVD(字幕)] 9点

4.《ネタバレ》 名画の誉れ高い絵画を発想の原点とした作品としては最高傑作だと私は思う。
史実を齧ってみると、諸説あるらしいが「真珠の耳飾りの少女」を世に残したフェルメールと言う画家の人となり・生涯に関しては未だに謎の部分が多く、ましてや彼の作品の背景などは謎ばかりらしい。 
一枚の素晴らしい絵画を前にしてあれやこれやと想像を働かせる事が絵画鑑賞の醍醐味で有り、中でも「真珠の耳飾りの少女」は題材とされた少女自身のその何とも表現のし難い儚さや透明感、複雑な心境で画家に相対しているであろう事を雄弁に物語る目の光など、鑑賞する人のイマジネーションを刺激するという意味では絵画芸術の最高傑作なのではと私は思っている。
翻って本作、この手の作品に必要不可欠な時代考証を緻密なまでに行った事の表れか、画面からは今にも強烈な生活臭が漂ってきそうだ。
掴みは充分な中、スカヨハ演じる架空の人物である女中のグリートは絵画のそれよりも少々骨ばった感は有るものの、絵画・そして映画の世界観にはぴったりで絶妙なキャスティングと言える。
コリン・ファースが演じるフェルメールパトロンに取り入らなければ生活が成り立たない家庭環境の中で、複雑な思いを抱きながら生きる一人の男を上手く演じていたと思う。
自らの生活に疲れ切り創作意欲も湧かなくなった男が、グリートの様な若いだけでは無い内に秘めたものを持つ女性に出会い、創作意欲を掻き立てられるのは至極当然な事。
アトリエで一緒に空を見る場面、二人で黙々と絵画用の画材を調合する場面等々、雄弁なセリフなど皆無ながら二人の間に流れる微妙な空気を表現する「間」がなんとも言えず素晴らしい。
そう、おどろくべき事に二人の間は終始プラトニックなもので、下世話な人間たちが期待する様な事は一切無い。
だからこそ、正婦人の耳飾りを下の身分である女中に身に着けさせる事の意味、それに対する家族の反応、そして本作の白眉とも言える耳飾りを付けるピアス孔を開けるシーンが、何とも言えず胸に迫る。
ラスト、フェルメールは家を離れ暮らすグリートに真珠の耳飾りを人づてでプレゼントする。
この行為の表す意味を考えると、ただただ私は切なくなるのみ。
半ば強制的に家で過ごさなければならないこの環境下、じっくりと映画に向き合うには最適な作品ではないだろうか。

蛇足 キリアン・マーフィーが何か悪い事をしでかすのではないかと終始ハラハラしていた(笑)
【たくわん】さん [インターネット(字幕)] 9点

 

最低点の1点をつけた方のレビュー

貧乏な家の少女がある芸術家の家に奉公に出る。その出自故、差別され、いびられはするが、やがて、その芸術家に才能を見いだされる。そんな二人に嫉妬し、周囲の目はさらに厳しくなるのだが…。■というわけで、この映画、実に真っ当なメロドラマ、昼メロ、通俗、大映テレビキョンキョンがピアノ引いてたの、「エースをねらえ」、なのだが、この演出家はどうも妙な野心があって、ゲージツに仕立て上げようと、すかした演出を施します。■そのあげく、物語の細部はよくわかんないし、泣かせどころとおぼしきシーンでも泣けないし、かといって芸術映画になるには、その才能も技量もない上、ゴダールの「パッション」を一度でも見ていたら、こんな演出しないよなぁ、こんな映画恥ずかしくて撮れないよなぁ、と「映画」センスも皆無。■と、実に中途半端な映画なのだが、お話は通俗メロドラマなので私はとても楽しめた。プロデューサー、あるいは脚本家は、こーゆーチンピラ監督に演出を頼むのではなく、増村保造川島雄三あたりに演出を依頼すべきで、あ、亡くなってるか、じゃ、極東のアルチザン、澤井信一郎に演出させるべきなのだ、こーゆーのは、きっと。【まぶぜたろう】さん 1点

 

【映画ルーム(150 ) マルタイの女 〜 社会派監督に合掌 7点】

【かわまりの映画ルーム(150 ) マルタイの女 〜 社会派監督に合掌 7点】 平均点:5.25 / 10点(Review 28人)   1997年【日】 上映時間:131分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=3966

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

女優磯野ビワ子が不倫相手との密会から帰宅した時、マンションの駐車場に一人の男が倒れ、逃亡する加害者らしい男の顔をビワ子ははっきりと目撃する。殺された男は宗教団体「真理の子羊」の実態を究明する弁護士で、ビワ子は報道陣の質問攻めに会うが事件担当の刑事達に捜査協力のイロハを教えられ口を慎む。翌日から捜査協力に加えて外出時には二人の私服警官が身辺警護に常時付き添い、ビワ子は自由に身動きできない生活を強いられる。しかしそれでも殺人事件の目撃者となったビワ子に「真理の子羊」の魔の手は忍び寄る。

 

【かわまりのレビュー】

この作品は今までのいくつかの女シリーズでのテーマだった単純な善悪ではないと私は思います。全編から「おまわりさん、ありがとう、ありがとう、ありがとう・・・(淀川長春のパロディーではありませんよ。)」という伊丹監督の叫びが聞こえてくるようで痛々しいです。考えてもみてください・・・「マルサの女」で血税をとる国税庁査察官の努力の姿を描きながら、「ミンボーの女」で暴力団をテーマにしたばかりに右翼に狙われ、妻宮本信子と夫婦ともども警察のご厄介になりながらの映画活動を余儀なくされたんですから・・・伊丹監督本人の生活を模写したこの作品の中で二人のスゴ腕の警官がその間他の仕事は全くせずに女優ビワ子に付き添い、当然のことながら結構な給料や超過勤務手当てをもらっているのですが、現実の社会では彼らの給与は国民の税金によって賄われているのです。「納税者のみなさん、私がやりたいことをやったばかりにみなさんの税金がこのように使われてしまっています。ごめんなさい・・・。」という伊丹監督の声も聞こえます。映画ファンとしては警官が10人付き添っても構わないからいい映画を作り続けてほしかったですが、その期待が伊丹監督の負担になったことは想像にかたくありません。「もう、勘弁してください。」とう伊丹監督の自殺予告の声まで聞くことができます。伊丹監督の自殺は惜しまれる死ではありますが、やるだけのことは果たした上での散り方だったと思います。合掌。

 

9点(最高点)の人のレビュー

なんかこれで伊丹の映画が最後というのが残念で仕方ない。なんやかんや言われながらも、伊丹の「女」シリーズはどれも発想、映像、脚本、撮り方など斬新で良かったものが多かったと思っている。伊丹の映画を見て驚きだったのは、演技派の俳優が実に多いことだ。彼の徹底した”映画の中のリアリズム”というのが良く現われていたし、意外に見えるタレントの起用が実はその意外性こそがリアルに映るという事を見せた人だった。そういう点で、この映画では伊集院光、ラッキー池田、なんてタレントが実に良い演技をしているのが面白い【奥州亭三景】さん 9点

 

3点(最低点)のレビュー

1.いつも思うのですが伊丹作品って中身の雰囲気が似てると思いませんか?・・・あんましおもしろくないし、そんなに好きでもない。【ピルグリム】さん 3点

2.この映画公開後に伊丹監督は亡くなられてしまい、「…の女」シリーズに終止符が打たれた訳で、実質これが遺作となってしまいました。興行成績が上がらなかったのは、もうそういう時代では無いからなのか…。私は単にこのシリーズは飽きただけ。毎回同じシチュエーションに興味が削がれるだけ面白いと感じません。それとは別に、作品に魅力を感じないのは価値観・感受性の違いなのかもしれない。個人的にどうしても“マルタイ”と聞くと、同名の愛食している簡易ラーメンしか浮かびません。
【_】さん 3点
3.当たり外れの極端な伊丹一三監督作品の中で、残念ながら、この映画はハズレ。最大の敗因は、脚本に三谷幸喜を起用したことのように思います。三谷の力不足もありますが、伊丹との映画製作へのスタンスの違いが大きかった。結果的に、伊丹はこの作品で命を縮めてしまいーーーそういった意味でも、とても残念な作品となってしまいました。【DONGYAOS】さん 3点

4.伊丹十三監督、最後の作品となってしまった本作..しかしながら..凡作..マンネリ化したストーリー展開..「マルサの女」の時のような斬新さは影を潜め..全く楽しめない...【コナンが一番】さん [CS・衛星(邦画)] 3点
5.《ネタバレ》 よかったところ。名古屋章の人情刑事。伊集院光の新米刑事。でも。劇中劇やら劇中映画やらと詰め込みすぎ。それは端折っていいので、法廷での証言のシーンは是非入れてほしかった。基本的には「証言者の勇気」を中心に動いている話だったと思いますが、初めの方は、今までの伊丹映画の「女シリーズ」のパターンから「カルト教団との戦い」が中心になるのか、と読み込んでしまいました。主演女優が年齢を聞かれて、ふてくされた後「44歳!」。一瞬息を呑みました。それならもう少し、無理のない女優を起用してよ。ラストのバイクとのカーチェイス。どんなアホな集団でも、あそこで証人出廷を妨害すれば、裁判で不利になること必至、なのはわかるはず。そういったわけで、これが遺作とはいろんな意味で残念です。【なたね】さん [DVD(邦画)] 3点

 

【独り言】

4作続けて伊丹十三監督の作品をアップしました。キャッチコピーは全て「社会派監督に合掌」ですが本作品のわたしのレビューでその意図はお分かりいただけたと思います。若い頃は国際派でヒーロー役(「北京の55日」の日本軍将校など)もこなし、年を重ねてもイケメンだった伊丹監督は「ミンボーの女」を発表した後に右翼に顔を切られて大怪我を負い、監督としての映画生命は残されていたものの俳優としての映画出演は叶わなくなったのだと思われます。しかしご本人と妻で女優の宮本信子の心労は顔の傷を超える多大なものだったでしょう。海外でも絶賛公開された「マルサの女」1と2では脱税者を忠実に追うタックスポリスたちが描かれていますが、そこには脱税者が善であるとか悪であるとかの主張はありません。タックスポリスたちはただ脱税者たちの強欲を戒めるための罰金を上乗せして払われるべき税金と利息を徴収して去っていきます。彼らの意図は払われるべき税金を払える者に払ってもらうことだけで脱税者の事業や経済活動を抹殺することではありません。納税が必要なのは何よりも、公権力でなければなし得ない正義の実行と悪の抹殺を可能にするためなのです。そしてその権限を公権力に委ねるのはわたしたち国民であり、わたしたち國民は公権力が正しく行使されているかどうかを常に監視する義務があるのです。「マルタイの女」が海外で公開されたという話は聞いたことがありませんが、海外でも人気を博した「マルサの女」2作とセットになってこそ、飛び降り自殺を遂げた伊丹十三監督の遺志が伝わると思います。

【映画ルーム(149) マルサの女2 〜 社会派監督に合掌 6点】

【かわまりの映画ルーム(149) マルサの女2 〜 社会派監督に合掌 6点】 平均点:6.52 / 10点(Review 50人)   1988年【日】 上映時間:127分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=1475

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

国税庁査察部でキャリアを積んでもおかっぱ頭とそばかすは健在の板倉亮子(宮本信子)と査察部の猛者達が心血を注ぐのは暴力団と結託した地上げ屋と信教の自由を振りかざす新興宗教。東大卒で駆け出し大蔵省キャリア官僚の三島を助手に従え、熱血査察官亮子が新興宗教団体「天の道教団」の教祖の夫(三国連太郎)と地上げとの関連、そして脱税ルートの解明に分け入るうちに、日ごろは書類と数字に没頭する国税庁の査察官達は思いもかけないアクション・シーンの真只中に・・・。金と権力に奢る集団に査察のメスが切り込む。

 

【かわまりのレビュー】

《ネタバレ》 一世を風靡した感があった前作と比べ、地上げ屋新興宗教を取り上げ、国会議員も登場させてちょっと手を広げすぎた感じがしました。わたしは本作品を確かニューヨークのマンハッタン、リンカーン・センターの近くの映画館で見た記憶があります。「あの石を3つ所有する者は世界を支配すると言われています。今のところ教祖様の他ではロックフェラー財団が一つ持っています。」と怪しげな教団勧誘者が言った時にはアメリカ人が殆どの館内がわっと湧きました。伊丹監督は異文化も充分意識したようです。ただ三国連太郎が扮する地上げ屋新興宗教の教祖の夫は前作で山崎努が演じた守銭奴のようにユーモラスではなく、「日本の東京がその国際的地位を奪われないように俺が汚い役をかって出る!」のような悲壮感のある決意がありながら自らの欲望のために少女の将来を台無しにするといったどちらかというと憎むべきキャラなのが前作とは異なり、悪役への感情移入を難しくしてしまったのが残念です。

 

9点の人のレビュー (10 点の人はいません。前作よりも少しテンションが下がったので前作の点数マイナス1点の人が多かったのかもしれません。わたしもそうです。)

1.一作目とはまた違った良さがある。期待を裏切らない作品。【林檎☆】さん 9点

2.《ネタバレ》 おもしろい!「マルサの女」は2のほうが断然よい!「ミンボーの女」と並んで、伊丹の二大傑作でしょう。【コウモリ】さん 9点

3.マルサの面々と鬼沢との攻防は、権藤との攻防に感じたワクワク感は無く、胸が塞がる様なハラハラする思いが続き、誰が悪の根源で彼らの実力が如何に強大かという現実を思い知らされるラストに、ため息をつきながら映画館を後にした事を今でも覚えています。あの時代にあの題材で作品を作り上げた伊丹監督は凄い方だったと思います。【The Grey Heron】さん 9点

4.この映画の異常なほどのテンポの良さ、分かりやすさを、邦画の製作者たちには見習ってほしいですね。【次郎丸三郎】さん [ビデオ(邦画)] 9点

5..前作と比べると少しパワーが落ちてる気がします。【doctor T】さん [DVD(邦画)] 9点

最低点(3点)の人のレビュー

《ネタバレ》 Ⅱがあるのを知って初めて観ました。Ⅰのような笑いや爽快感がまったくなく、巨悪のみが生き残るといった非常に不愉快な終わり方でした。現実はそうでも、もう少しスッキリとした終わりであって欲しかったです。【亜酒藍】さん [DVD(字幕)] 3点

 

ついでに最頻出点(6点)をつけた人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=7&TITLE_NO=1475

 

【映画ルーム(148) マルサの女 〜 社会派監督に合掌 8点】

【かわまりの映画ルーム(148) マルサの女 〜 社会派監督に合掌 8点】 平均点:7.79 / 10点(Review 113人)   1987年【日】 上映時間:127分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=1446

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

おかっぱ頭とそばかすがトレード・マークの板倉亮子(宮本信子)はベテラン税務署職員。亮子の手にかかれば姑息な所得隠しをするパチンコ店経営者(伊東四郎)などは真っ青になる。そんな亮子が目をつけたのはラブ・ホテル経営・・・所得隠しの手口を探ろうと亮子は経営者(山崎努)宅を訪ねるが、そこは相手もその道の達人・・・頭を抱える最中に国税庁査察部の検査官、通称マルサへの亮子の抜擢が決まる。税金調査に関する警察権を取得した亮子と査察部の猛者達はどのようにしてラブ・ホテルの所得隠しの謎に迫るのか ・・・。

 

【かわまりのレビュー】

あらすじを書いた後で直ぐにレビューを書かず、そのうち「こんな名作、みんなが寄ってたかって書くからいい!」というズボラ根性を発揮し、そのうち書いたような気になっていました。この作品、印鑑文化とか銀行通帳といった日本ならではの慣習をキーとして描写しながらも世界中、特にアメリカで大受けしたのはやはりタックスポリスと脱税者というお金だけを巡るせめぎ合いを描いたおそらく世界初の作品だったからでしょう。山崎努が演じる守銭奴の権藤は「奥さんに本当に惚れていたら離婚して慰謝料をガバっとやってから再婚するんだぜ。慰謝料は非課税だからな。」と合法手段での節税からきわどい手段までを駆使するなぜか憎めない男ですし、彼に相対するマルサの女も「再婚する前に奥さんが逃げちゃうかもね。」というなかなかのキレ者でこの二人のやりとりが最後まで息をつかせませんでした。

 

10 点の人のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=1446

秀逸なレビュー

1.  《ネタバレ》 伊丹十三作品の中ではタンポポと悩みましたが、WOWOWハイビジョン初放送でこちらのほうが先だったので満点つけてしまいました。あまりにも放送が待ち遠しくてD-VHSに録画しながらも、同時に生で見てしまいましたが、4:3放送だったのには唖然としました。画質はアップコンバートでなく、ハイビジョンだったのでまぁ許しますが・・・。と、映画の本来の話からちょっとそれてしまいましたね。
良いですね。もう20年近く前の作品とは思えません。キャスト(顔や人気だけの俳優)に頼らず、ここまでテンポの良い作品に仕上げているのが素晴らしいです。税金用語が分からない人への用語説明を俳優の会話の中に入れてみたり、脱税された陰湿な方法などを紹介してみたりと無駄なカット・シーンは一切ありません。どうしても小道具では年代車・黒電話・ショルダータイプ携帯電話・パチンコ台・各キャストが若いなど”歴史的古さ”は感じますが、カメラ割りとか音楽、編集技術など映画としての古さは全然感じないどころか、未だに追いつけていない邦画が多いことは、伊丹監督にはまだまだ作品を作って欲しかったなぁ~と感じます。
私はWOWOWの営業ではありませんが、伊丹十三監督作品が12月末まで随時放映されますので、皆で見ましょう!!(笑)【お好み焼きは広島風】さん [CS・衛星(字幕)] 10点

2.  《ネタバレ》 抜群に面白い!もぅTVでは何回も観てるけど今回大真面目に鑑賞致しました。エンターテイメントに振った娯楽性もさることながら、マルサと脱税をテーマにした着眼点が素晴らしい! そして的確な配役・効果的な音楽、、、間違いなく伊丹監督の代表作ですね。何度見ても面白い映画というのは、こういうものを言うのでしょう。もうホント素晴らしい!文句なしに満点でゴザイマス【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 10点

 

低い点数の人のレビューは最低点の4点の人のみ

テーマの珍しさはいいのですが、マルサ側が国家権力だけあって強いので
ドラマや緊迫感は弱い気がしました。私が子供なだけかもしれません。【Donatello】さん [DVD(邦画)] 4点(2017-07-25 11:06:47)

 

 

【映画ルーム(147) タンポポ 〜 社会派監督に合掌 7点】

【かわまりの映画ルーム(147) タンポポ 〜 社会派監督に合掌 7点】 平均点:7.21 / 10点(Review 126人)  1985年【日】 上映時間:115分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=1314

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

女手一つで小学生の息子を育てながら夫が残したラーメン屋「来来軒」をきりもする未亡人タンポポの、努力の姿は報奨物でもラーメンの味のほうは・・・。見かねたトラック運転手ゴローが助け舟にと味の特訓を開始する。やがて浮浪者相手のグルメ指導者、味通のお抱え板前、幼馴染の土建屋などが「タンポポ・ラーメン」開店に協力するようになる。下町のキャリア・ウーマン誕生のストーリーに「食と味」をテーマにしたコントをちりばめ、黒澤映画から西部劇に至るまでの東西の古典的名画のパロディーを盛り込んだ味の、いや映画作品の逸品。

 

【かわまりのレビュー】

私は大友柳太朗(巻頭のラーメンの先生)の食べ方のほうがおいしそうだと思います。(こんなこと主張しあうなんてしょうもな・・・。)大滝秀治加藤嘉中村伸郎、井川比佐志など超ベテラン俳優が惜しげもなく脇役やチョイ役に使われていい味を出している、配役の面でも贅沢な映画です。トンカツ屋のことで文句を言う浮浪者役も超有名な俳優さんのはずなのですが、名前が思い出せません。誰か教えてください。

 

10 点の人のレビュー… マカロニ・ウエスタンならぬラーメン・ウエスタンに満点をつけるレビュアーは本当に映画が分かる人たちなのではないかと恥入りました。

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=11&TITLE_NO=1314

良レビューを2つコピペしておきます。

1.  日本人に身近な食べ物を中心に、食にこだわった傑作とあたしは思ってます。でもって映画のベースになっているのがマカロニ・ウエスタンでしょ。山崎努と安岡力也の殴り合いなんて日活テイスト入りまくっているし、ラストのタンクローリーで颯爽と去っていくのなんか「シェーン」でしょ。ここまで他の映画のテイストを自分の映画に盛り込むというのは凄いことですよ。関係ないかもしれないけど、あの映画で浮浪者(あのシーンで私はノッポさん高見映)の声を聞きました)が作るオムライスは食べてみたかったです。(笑)【奥州亭三景】さん 10点

2.  もう30年近くも前の映画になるんだなぁ。もう何度観たことだろうか? ところが何度見ても面白い。こんな邦画はなかなか無い。

 ラーメンウエスタンとはよく言ったもので、話の流れはまさに西部劇にありそうな展開。それを意識した絵作りも面白い。

 しかし、単純かつ明快なストーリーだけの作品なら、この映画はよくある邦画の一本で終わっていただろう。伊丹監督の『マルサの女』や『スーパーの女』などは題材の取り方こそ面白いが、あとは普通の映画だ。
 この『タンポポ』を他の作品と一線を画したモノにしているのは、所々で差し挟まれるミニストーリーだ。役所広司黒田福美がエロい!w その他にも不条理モノがあったり、ショートコント的なネタがあったりとバラエティに富み、娯楽作品としては実験的でありながら、箸休め的な意味合いにもなっている。これは巧い作りだろう。
 そうそう、うまいと言えば……。よく「映画は監督のモノだ」などと言うが、この映画は、監督の力量一つでこうまで違うのか、と思い知らせてくれる。
 と言うのも、同じような題材を扱った『UDON』が冗長にして散漫なだけの退屈な映画であり、超うどん好きな私が2時間以上目の前でうどんを食いまくられても、観終わったあとに「ああ、うどん食いてぇ」と思わないのに対し、この『タンポポ』は「ああ、ラーメン食いてぇ!」と居ても立っても居られなくなる。さらには「オムライスも鴨南蛮も、ナンならお汁粉も食いてぇ!」とまで思ってしまう。それだけ撮り方が上手いと言うか、作中で効果的に使われてるんだな。
 とにかく、食を扱った作品では珠玉の一本でしょう。役者もみんなイイ味出してます。満点献上いたします。w【TERRA】さん [CS・衛星(邦画)] 10点

 

9点からも2つ。。。

1.  日本映画というと、たいがいの海外の人が思い浮かべるのは時代劇か、アニメか、怪獣特撮ということになるのだろうが、どっこいコメディも世界に十分通用するということを示した傑作。とはいえ、後の「Shall We ダンス?」のように日本人向けに作ったものが目利きの目にとまって世界で評価された、ということではなく、印象的なシーンで使われている食材は、卵だったり、牡蛎だったりして西洋でもなじみのあるもので固めているところなど、初めから海外で公開されることを(少なくとも監督個人としては)前提としていたのではないだろうか。スシやヤキトリ、スキヤキなど、日本食ステレオタイプを用いなかったのも成功の一因と思われる。生きているエビについても、エロティックなシーンに昇華させ、西洋人にとっては残虐と取られるかもしれない踊り食い自体はあえて見せていないところにしたたかな計算が感じられる。【南浦和で笑う三波】さん [ビデオ(字幕)] 9点

2.  《ネタバレ》 何度も見ている大好きな作品です。はやらないラーメン屋を再建する話をメインにして、役所広司黒田福美がホスト役。その間に食べ物にまつわる話を入れ込んだ設定。伊丹さんは、ラーメンストーリーよりも「食にまつわるエッセイ」の方が描きたかったのではないかなあと推測しています。その中でも一番のメッセージは「エロティックな食物たち」かなあ。いろんなシーンでそれを表現していますが、私が一番感じたのは、原泉おばあちゃんが津川店長と追っかけっこする場面(いつぞやのテレビ放映ではカットされていた)。カマンベールをグニュ~、桃をグチュグチュ、お汁がピュッってシーンです。ああ、食べ物はエッチなんだと理解したのです。エンディングの公園での授乳シーンの意味が最初見たときはわからなかったけど、何度目かに見たときに「ああ!母乳が生まれて最初の食べ物なんだ」とわかったときは嬉しかったなあ。一つ一つのシーンがとても丁寧に撮られていて、本当に美味しそう。食物の周りの人間心理もうまく描かれています。伊丹映画の中で一番好きな作品です。最後に大好きな台詞をご紹介。「だっておじさん、ラーメン食べるのはそのド素人なのよ。素人にわからない味のラーメン作ってどうするの」【ひよりん】さん [DVD(邦画)] 9点

9点の方のレビュー全部はこちらです。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=10&TITLE_NO=1314

【映画ルーム(146) フランケンシュタイン 〜 SFのはしり 6点】

【かわまりの映画ルーム(146) フランケンシュタイン 〜 SFのはしり 6点】  平均点:6.61 / 10点(Review 92人)  1994年【米・英・日】 上映時間:123分

クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。  https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=23593

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【あらすじ】

19世紀初頭。若きフランケンシュタインは、医学を究めるために当時の医療先進国スイスへ向かった。母の死に心を痛める彼は、科学の力で生命をコントロールしたいと願っていたのだ。そんな考えを諌めるクレンペ師の他界で、フランケンシュタインはかつて師が手を染め、封印した研究を続行させる決意をした。電気の力で、死者に生命を与える禁断の研究を…メアリ・シェリーの原作に最も忠実、かつ時代考証の徹底した『フランケンシュタイン』のリアルな映像化。【エスねこ】さん 【エスねこ】さんのページ: https://www.jtnews.jp/cgi-bin/revper.cgi?REVPER_NO=23593

 

【かわまりのレビュー】

点数をつけにくい作品。ホラー・ファンには不評のようですが、ブラナーのフランケンシュタイン博士は彼にぴったりだし、デ・ニーロは顔をぐちゃぐちゃにされて気の毒だけれど、元モーツアルト(「アマデウス」の主人公)、トム・ハルスが演じる博士の親友の凡才が登場する度になぜか心が和むし、ボナム・カーターは人形のようなきれいな顔をしているから終わりのほうの・・・これ以上書くとネタばれをオンにしなければいけないのでやめておきます。出演の俳優さんがそれぞれ個性を発揮したいい演技をしています。他の方のレビューの中で「中世は苦手」とかいうコメントがあったので一言。冒頭のテロップで簡単に触れられていますが、時代背景は19世紀始め、フランスは大革命を経験し、イギリスでは議会政治が成熟して産業革命が進行中、ジェンナーが始めた予防接種の科学的根拠が議論され、蒸気機関や電気も応用まであと一歩というところで、当時の知識人の科学に対する信頼と希望は現代人のそれを上回っていたのです。原作者メアリー・シェリーが後に夫となる詩人のP.B.シェリーと駆け落ちしてスイスに滞在していた時、P.B.シェリーがあまりに科学を信じていることに疑問を感じて書いた作品です。人造人間だのクローンだのはとても一人の科学者が達成できるものではなく、例えば遺伝子(DNA)の解明などといった関連の業績がある度にノーベル賞が奮発され、臓器移植にからむ脳死だのが倫理的に取りざたされてきたということを現在のわたしたちは知っていますが、人間による生命解明に対するわたしたちのこういった姿勢も、メアリー・シェリーが科学万能の考え方にいち早く疑問を投げかけてこのような作品を書いたからこそ生まれたのかもしれません。本作品はそこまで深くは考えさせませんが、原作は文学史上で不朽の地位を確立しているし、映像は美しいし映画化の価値は十分に認められてよい作品です。 原作では博士の弟を殺した罪でのジャスティンの裁判がしっかり書かれていました。この経緯が省略され、民主制の当時のスイスではまさかのような唐突な絞首刑のシーンがあって時代背景を中世だと思わせてしまう一因となっていますが、この減点は大きいです。

 

10 点をつけたレビューワーは2人のはずでしたがもう一人の方はどうされたのでしょうか? 平均点には加算されています。

劇場で見た当時は勿論、フランケンの立場で観ていましたが、2回目は色んな人の立場になって観れ、この映画に関しては主人公はそれぞれに設定できると感じました。どちらにせよ、悲しい結末...。
【フィャニ子】さん 10点(2003-06-29 23:33:25)

 

9点の方のレビューをざっと見て見ましょう。短いですが全部良いレビューです。

1.  本当に悲しくて、悲しくて、見てて辛い映画でした。一番恐かったのは、フランケンシュタインが死んだ奥さんを生き返らせるところかな、そこいらへんがホラーなんだと思います。【yuk】さん 9点

2.  この作品はホラーではない。ヒューマンドラマである。【きんた】さん 9点

3.  この映画のラストがどうしても哀しくなる・・。やっぱりフランケンにも「心」はあったんですね。【M・R・サイケデリコン】さん 9点

4.  ただ愛されたかっただけなんだってのが、すごく伝わってきて切なかったです。普通に作ると怪物映画の定番になってしまうところを、よく愛のドラマに仕立てたな~って感心してしまいました。
【カーマインTypeⅡ】さん 9点

 

7点(最頻出点)の方のレビュー

https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?POINT=8&TITLE_NO=1045

 

低得点(1点、2点、3点)をつけた方のレビュー

1.何これ?って感じでした・・・デニーロかわいそう・・・あんまり良い映画に恵まれなくて・・・
【阿瑠 派智野】さん 1点
2.  美術的に、中世ヨーロッパものは苦手なのかもしれない。ストーリーは及第点だが、フランケンシュタインが可哀相なのと、映画に輝きがないのと、色々といま一つ。【凛々】さん 1点(2003-10-30 22:33:37)(かわまりの口出し: エスねこさんのあらすじにありますが舞台は中世ヨーロッパではなく近代19世紀前半です。)

3.  俺の中で最低ホラー映画。フランケンシュタインマニアの俺としては、恥ずかしくなった。ジェームズ・ホエール監督のフランケンシュタイン(1931)とフランケンシュタインの花嫁(1935)を是非見て下さい。ゴッド・アンド・モンスターも見て下さい。フランケンシュタインの本当の感動が分かると思いますよ。ゴッド・アンド・モンスターだけでも見ると、ジェームズ・ホエール監督のオリジナルの意味が分かります。【だいすけ】さん 2点(2003-06-23 23:48:50)

4.  本題にはいるまでにやたら時間がかかっているのも問題ですが、その後の各登場人物の行動もありきたりで、見るべきところがありません。これでは、デニーロといえども腕の発揮のしようがないでしょう。全体的に、叫ぶような台詞回しが妙に多いのも気になりました。【Olias】さん 2点

5.  公開してたときに観に行ったんだけど、何かヌメヌメドロドロ暗い・・って印象しか残ってないんだな。中世のヨーロッパって何だか全体的に暗くてどうもこっちまで暗くなってしまう・・。【カズレー】さん 3点. 

かわまりの口出し: ここでも舞台が中世だという誤解が… 舞台が欧米で文明の力が見当たらず雰囲気が暗いと中世だと思ってしまう鑑賞者を責めるわけにはいきません。製作者の責任です。)

6.  《ネタバレ》 話は悪くない。まあ、ほぼ原作どおりだからね。『ドラキュラ』の1000万倍はマシ。でも、モンスターにデ・ニーロを使った時点で失敗でしょ。どのシーンを見ても白塗りした坊主頭のデ・ニーロにしか見えない……。orz 最期、モンスターは流氷に乗って流されて行ってしまうワケだが、「あ~あ、デ・ニーロ流れて行っちゃったよ。次の映画、大丈夫なのかな……」と思ってしまう辺り、どーなの?【TERRA】さん [ビデオ(字幕)] 3点

 

【独り言】

ひとつ前のエントリーは詩人のバイロンシェリー、そしてシェリーと駆け落ちした自由主義思想家の娘メアリー、メアリーと血の繋がりのない同じ年の妹クレアの男女2人づつ2組の恋人カップルのお話でした。そしてこの作品の原作者はご存知通りメアリーです。メアリーは後にシェリーと結婚してシェリーという姓に改名しますがミドルネームにはその時毒によって父の姓のゴッドウィンを採用したり母であるフェミニスト文筆家のウルストンクラフトを採用したりしています。ここまでは前置きでこれだけでもメアリーバイロン両親共に思想家です文筆家という優秀な血筋に生まれたということが分かりますが、更に特筆すべきなのは血の繋がりがない同じ年の妹(ウルストンクラフトがメアリーを出産して亡くなった後のゴッドウィンの後妻の連れ子)であるクレアが当時の女子としてはかなり高い教育を受けているのにメアリーは全く学校には通っていなかったことが挙げられます。もちろん無学ではありまsrん。メアリーは父からシェイクスピアの戯曲を全部読むことだけを言い渡されて後はほったらかしにされて育ちました。それは思想家ゴッドウィンと熱烈な恋愛の末に同棲に至ったウルストンクラフトが築いた書籍が溢れる家庭でメアリーが幼少の頃から本を貪り読んだからに他なりません。父のゴッドウィンは血を分けた娘の才能を自由に伸ばそうとして学校に通わせなかったのです。後妻の連れ子で養女のクレアの場合はそうではありませんでした。さて、この早熟の天才少女が思春期に達した時に出会ったのが下級貴族の跡取り息子でオックスフォード大学に入学しながら学内で無神論の冊子を配って退学処分になったシェリーでした。

 

 

【映画ルーム(145) 幻の城/バイロンとシェリー 〜 好材料もこれじゃあ… 4点】

【かわまりの映画ルーム(145) 幻の城/バイロンシェリー 〜 好材料もこれじゃあ… 4点】 平均点:6.33 / 10点(Review 3人)   IMDB 平均点:  5.9 / 10点(Review 898人)   1988年【英・スペイン・ノルウェー】 上映時間:96分.  今のところjtnewsでは情報が少ない作品ではありますが、将来情報が増えることがあるかもしれません。 クレジット(配役と製作者)などについては次のURLをご覧ください。 https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=6128

 

このブログの内容全ての著作権はかわまりに帰属し、映画タイトルの次、"〜"のすぐ後ろのキャッチコピー、【独り言】と【参考】を除く部分の版権はjtnews.jp に帰属します。平均点とレビューワー数はアップロード時のものです。

 

【3人しかいないのでいきなり全員集合してレビュー】

1.  まだとてもお綺麗(!?)だった頃のヒュー映画。隠れた傑作。幻想的な映像と詩的な台詞まわし、ハリウッド映画にはない淡々としたストーリー運びに魅せられます。【ともとも】さん 10点

2.史実はめちゃくちゃ、荒唐無稽で何を言いたいのかわからない作品。バイロンシェリーの身にふりかかった不幸が全部メアリー・シェリーの空想のせいにされているようであんまりです。自由奔放なシェリーはメアリーとクレアの両方を愛しながら共に文学を目指す伴侶としてはメアリーを選び、クレアはメアリーに対する競争心からこれより数ヶ月前に妻との不仲で悩んでいたバイロンに近づいて妊娠(シェリーの子だという説も有り)、同年暮れに出産。バイロンはこの頃、不幸な結婚のせいで精神的にぼろぼろ、シェリーらの一行と美しい自然になぐさめられ、以後に数々の大作を書くための英気を養ったのですがフランケンシュタイン(?)が登場する代わりに四人の間の葛藤やクレア以外の三人の創作上の悩みなどが全部カットされています。「幻の城」という題名はバイロンシェリーが一緒に見学した、中世に自由主義者を閉じ込めたチロン城を指すのかと思ったら違うし・・・史実を知らない方にとっては史実との食い違いや作品の深みはどうでもいいことでしょうが、同じ俳優陣、美術/カメラ陣、音楽を使っていろんな要素がもっとうまく表現できたはずです。映画の上では中年になっているポリドリの自殺の動機も薄弱です。ポリドリはこの時、実際には21歳の蒼白い秀才で人間関係が苦手なので文学をめざしたものの、バイロンシェリーという二人の天才のいじめに合って傷つき、四年後に自殺していて、事実どおりに描かれていれば作品に深みを与えたはずなので残念です。また、足が不自由だったバイロンが足を使わないスポーツを全てこなす行動派でシェリーが思索型の人間だったという事実も反対に描かれています。ヒュー・グラントの演技は脚本への忠実度という点ではよいのでしょうが、ギリシア彫刻のような美男だったと伝えられるバイロンを彼が演じているのは顔だけ見ているぶんにはまるでパロディーでした。【かわまり】さん [ビデオ(字幕)] 4点

3.詩人バイロンと詩人シェリー、シェリーと駆け落ちしてきたメアリーとバイロンの愛人でありメアリーの妹であるクレア、そしてバイロンの主治医のポリドリ。この男女5人がバイロンの別荘にて、暇をもてあましそれぞれが怪談話を創作しようということに。不屈の名作「フランケンシュタイン」と「吸血鬼」が誕生する歴史的一夜である。映画はその文学史上最も重要なこの史実を発端にその後それぞれに訪れる不幸とメアリーが生み出したフランケンシュタインを結びつけて物語ってゆく。もともとバイロンシェリーはもちろんメアリー・シェリーのこともよく知らないので配役云々は違和感を覚えることなく鑑賞できました。フランケンシュタインをメアリーの幻想として描かずに、メアリー以外の人物にも見える、ほんとうに想像上の怪物が一人歩きしてゆくような実態を伴っているのが独創的。ただ、それぞれの葛藤がストーリー上でなぞられるだけなので感情移入の余地など全く無いし、そもそもいったい誰を中心に話が進んでいるのかが話が進行するたびに変わってて全体的に散漫な印象。もっと長尺にするかメアリーの描写を中心とした短いお話にするか、どっちかにしてもらわんと。【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 5点

 

【独り言】